失敗しないO&M選定

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より安定的に20年間発電するためのO&Mに関心が集まっている。そこで、太陽光発電で10年以上先行しているドイツの実情に詳しく、世界に通じた基準で製品・サービスを国内に提供しているヨーロッパ・ソーラー・イノベーションの土肥氏とエヌ・ピー・シーの伊藤氏に実情と対策を伺った。

日本のO&Mに必要なことは?

土肥 宏吉 氏
土肥 宏吉 氏(どひ こうきち)
ヨーロッパ・ソーラー・イノベーション株式会社 代表取締役
一橋大学商学部卒。遠心分離機メーカーの巴工業株式会社にて、調達・海外市場開拓・海外プロジェクト営業等に従事、その後ドイツ・ミュンヘンにて太陽光関連企業を設立・経営。日本帰国後の2012年7月ドイツ太陽光最大手であるSolarWorld社の日本総代理店ヨーロッパ・ソーラー・イノベーション社を設立。2014年4月、独立系O&M会社で世界No.1の独greentech社と業務提携を開始。
土肥

現在、太陽光発電において、O&Mに関心が集まりはじめていますが、みなさんO&M=遠隔監視、エラーメッセージの配信、あるいは草刈りやパネルの清掃、緊急駆けつけサービスなどと考えています。

確かに大事な要素ですが、全体的、包括的に10年20年と時間軸も含めてとらえている方は多くはありません。O&Mとは、パネルなどのハード面から現場でミスが発生しないようにする管理体制の確立、チェック体制、スムーズなオペレーション体制まで長期間効率的な発電を維持するための一連の作業のことを指します。

現在、太陽光パネル初期不良率世界平均10%と衝撃的な報告もあり、「自分の発電所は本当に20年間無事発電できるのか」と不安に思っている事業者が非常に多いです。弊社では、全国の施工・メンテナンスのプロ集団とパートナーシップを組み、中立的な立場からパネルの診断サービス、竣工検査、プラント検査など様々な取組みを行っており、ユーザーからは高い評価を得ています。エヌ・ピー・シー様はプロ集団の一員としてメンテナンスに関するご相談をさせていただいております。

伊藤
伊藤 雅文 氏
伊藤 雅文 氏(いとう まさふみ)
株式会社エヌ・ピー・シー代表取締役社長
東証マザーズ上場、事業内容/太陽電池製造装置の開発・設計・製造・販売・太陽光発電システムの検査装置や保守メンテナンスサービス提供等

当社は、太陽電池の製造装置や検査装置を提供している装置メーカーですが、パネルを検査する事業も展開しております。日本各地に設置されている太陽光パネルの初期不良は、部材だけでなく施工方法にも課題があると思います。太陽光パネルは皆さんが想像するよりも非常に繊細であり、一点に力が加わった場合や、応力がかかった場合などに品質の低下を引き起こしてしまう可能性があります。

まだ新しい市場ということでパネルの特性が充分に認知されていないことが原因の一つとして挙げられると思います。太陽電池市場の健全化に向けてO&Mのレベル向上、作業の均一化が必要であり、業界の基準やスタンダード化をいち早く定めるべく取り組んでおります。


メンテナンスでの注意点は

土肥

太陽光発電プラントは、完工3年以内に検査すると初期不良の50%以上を発見できるというドイツの実績がありますので、初年度のチェックがとても大事になってきます。しかし、故障として多いマイクロクラックなどの専門的な原因を見極められるオーナー様はあまりいません。

そこで、重要となるのがプロのメンテナンスです。たとえば、マイクロクラックを調べるにはパネルに電気を通電させて、写真を撮り、パネルの発光状態からマイクロクラックなどの不具合を見つける方法-EL検査が有効です。EL検査は、レントゲン写真を見るようなもので、医学部の学生が見るのと、十年二十年のベテラン医師が診るのとでは見方がぜんぜん違うように、熟練の技術やノウハウが必要です。さらに、発電ロスを最小限に抑えるには、迅速かつ効率的なメンテナンスをしなければなりません。我々では熟練の職人をネットワーク化し、最新の検査機器を使用することでプロの竣工検査、プラント検査を行っています。

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