粒子状物質(PM)や窒素酸化物(NOx)などの大気汚染物質を多く排出することから、日本では敬遠されてきたディーゼル車。CO2排出量が少なく、ガソリン車に比べ燃費が2〜3割いいという利点があるものの、現状ではガソリン車が国内の主流だ。新車販売に占めるディーゼル車の割合は1%にも満たないと言われている。
新長期規制(平成17年排出ガス基準)に加え、2009年10月には、更に厳格な基準を設けた平成22年排出ガス規制(ポスト新長期規制)も施行。このポスト新長期規制は、欧米の規制レベルと同等の世界最高水準の規制となっており、乗用車についてはガソリン車の規制値とほぼ同程度の厳しい基準だ。
一般的に、このポスト新長期規制に適応する、PMやNOxの排出量が少ないディーゼル車を「クリーンディーゼル車」と呼ぶ(※)。
※経済産業省「クリーンディーゼル普及推進方策」内での定義
日本国内では、乗用車のクリーンディーゼル車はあまり多くない。いち早く発売されたのは、日産自動車「エクストレイル」のクリーンディーゼル仕様車(20GT)。今まではMT車のみだったが、2010年7月にはAT車が発売となる。メルセデス・ベンツは、2010年2月にクリーンディーゼル車「E350 BlueTEC(ブルーテック)」を発売。輸入車として、日本で初めてポスト新長期規制をクリアした。続いて、5月には「M」クラスのクリーンディーゼル車「ML 350 BlueTEC 4MATIC」も発売し、日本でのクリーンディーゼル車普及に力を入れる。
欧州では長距離移動が多く、燃料価格が高い。それに加えMT車が主流であることから、ガソリン車よりもディーゼル車にメリットが多く、普及が進んでいる。発売されている車種も豊富で、今後は、2014年から施行の「EU6」規制に適応する車種も増えそうだ。
クリーンディーゼル車の特徴は、その排出ガス浄化システムにある。下記はその一例。
・SCRシステム:尿素を使ってNOxを浄化するシステム。尿素水(アドブルー)を排ガス中に噴射してNOxを浄化するが、尿素水をためるタンクが必要なため、トラックなどの大型車への適応が中心。マツダやBMWが採用。
・HC・NOxトラップ触媒:HC(有害ガス)と酸素を使って、NOxを還元させ、無害なN2として排出する。日産が採用。
・走行時のCO2排出量が少ない。
・従来のディーゼル車に比べ、PMやNOxの排出量が少ない。
・ガソリン車に比べて2〜3割燃費がいい。
・ガソリン車よりも価格帯が高い。
・ディーゼルエンジンが重いため、車体が重くなる。
・騒音や振動がある。
エコカー補助金や減税など、政府の補助制度だけでなく、日産やメルセデス・ベンツが、日本で主流のAT仕様のクリーンディーゼル車を発売していることから、徐々に消費者への認知度も高まりそうだ。
他社の動きとしては、現在新長期規制適合のパジェロを販売している三菱自動車が、新たにポスト新長期規制に対応し、排ガス性能を高めた新型「パジェロ」を2010年後半に発売する。また、アウディも「Q7」のクリーンディーゼル車を2010年中に発売予定。2010年以降、クリーンディーゼル車が次々と日本国内市場を賑わわせることになりそうだ。
日産自動車
三菱自動車
マツダ
ホンダ
メルセデス・ベンツ
アウディ
BMW