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2007年大賞
「海洋温度差発電(OTEC)」/ゼネシス

海洋温度差発電(OTEC)実証プラント
写真は佐賀大学海洋エネルギー研究センターの実証プラント。海洋温度差発電(OTEC)は、海の表層の温海水で沸点の低いアンモニア水を温め液体を蒸発させ、その蒸気でタービンを回し発電する。蒸気を深層の冷海水で冷却し凝縮させ、これを繰り返して発電するため、CO2の排出が極めて少ないクリーンな発電設備である。さらに温海水を減圧し低温で蒸発させ、蒸気を冷海水で冷却・凝縮することで大量の淡水を得ることもできる。約10〜30℃の温度差があれば発電可能。天候の影響を受けにくく、安定した電力を供給することができる。佐賀大学では1973年からOTECの実用化を目指した研究を続けてきた。


「阪神・淡路大震災直後の瓦礫の山のなかで、わが社の社員と家族が1人残らず無事だったことへの感謝の気持ち、そして被災したお年寄りを助ける若者たちの姿が私を『環境ビジネス』へと駆り立てたのです」
そう語るのはゼネシスの代表取締役社長、里見公直氏だ。同氏は「事業を通じて社会に貢献したい」という大いなる決意とともに海洋温度差発電(OTEC)の実用化に着手した。

OTECは海の表層の温海水と深層の冷海水を取水管からくみ上げ、その温度差(熱エネルギー)で発電を行う。この原理は百年以上前に考案されていたが、従来のシステムではエネルギー変換効率が上がらず、実用化は難しいとされてきた。
しかし、里見氏と前佐賀大学学長の上原春男氏の出会いが科学の常識を覆した。上原氏の開発した「ウエハラサイクル」なら高効率で建設コストも低く抑えられ、CO2排出のきわめて少ない究極のクリーンエネルギーを創出できるという。

ゼネシス代表取締役社長 里見 公直 氏

ゼネシス代表取締役社長
里見 公直 氏
Company profile
◆1989年設立。最高顧問:出井伸之。1997年、U-TECエネルギー事業部創設。1999年、佐賀大学に50kW温泉水温度差発電装置(STEC)を納入。2000年、インド国立海洋技術研究所にOTEC用チタン製熱交換器を納入。2003年、佐賀大学海洋エネルギー研究センターに30kWのOTEC実験装置等を納入など。


eco japan cupは新しい技術や中・長期的視点に対し、暖かい眼差しで見てくれる。もちろん、実用可能性という現実を直視していないわけではない。しかし、非常に頭の柔らかい方々が審査員であったから、大賞をいただけたのでしょう」と里見氏は大賞受賞の喜びを語る。

同社のOTECは15℃の温度差で電気が、5℃の温度差で大量の淡水が得られる。温度差があれば熱源・温度帯は問わないため、工場等からの排熱利用も可能だ。「捨てるから排熱、上手に使えばお宝」と里見氏は強調する。

排熱を利用して発電するとともに海水の淡水化も行える排熱温度差発電システム(DTEC)のプラントが千葉県袖ヶ浦市の製油所で稼動している(同製油所では発電のみ)。昨年5月にはクウェート国営石油会社(KNPC)と同システムの建設に関する覚書を交わしている。現在では、海外の政府系巨大企業をはじめ、国内外からの問い合わせが相次いでいるという。

里見氏は、eco japan cup大賞受賞は、評価の定まっていない事業を進めている者にとって、その正当性が評価されたものと感じているという。無名のベンチャー「ゼネシス」と、それを後押しするeco japan cupは世界のエコ化推進に大きく動きだしている。

ウエハラサイクルのシステム模式図
ゼネシスが採用するウエハラサイクルのシステム模式図。海洋温度差発電(OTEC)はこれまでにランキンサイクルとカリーナサイクルというシステムが開発されたが、ウエハラサイクルはその進化系ともいえるもので、タービンを二つに増やし、加熱器、アフターコンデンサーを加えることで取水管の小口径化、凝縮器の小型化が可能になった。工場等の温排水を利用した温度差発電(製鉄所、化学プラント、原子力、火力発電所)や、熱源に船舶の機関排熱を用いる舶用機関排熱温度差発電などさまざまな応用技術に期待が寄せられる。



■eco japan cup ベンチャー オープン受賞者たちのいま

2007年大賞「海洋温度差発電(OTEC)」/ゼネシス
2007年敢闘賞「見えタロー®」/コスト削減総合研究所


※月刊「環境ビジネス」2008年8月号の内容を掲載しています。


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