“緑との共生”をコンセプトに、100年後も鮮度の高い都市空間の創造を目指して建設されたのが「赤坂インターシティ」だ。
東京、赤坂・六本木エリアに建設された地上29階、地下3階建ての複合施設で、低層階がオフィス・商業、高層階は賃貸住宅の「ホーマット バイカウント」になっている。周囲はホテルや住宅が混在した閑静な地域のため、敷地面積の6割以上を植栽にこだわった庭園にすることで環境に配慮し、またこれにより低層階と高層階の動線を分離した。
庭園は地下駐車場の屋上部分を利用したもので、南側の斜面緑地との一体化を図り、また発泡スチロール製のかさ上げ材で加重の軽減を図るなど、緑地化するための工夫をほどこしている。こうした緑化技術が評価され、第5回屋上・壁面・特殊緑化技術コンクール(主催・都市緑化技術開発機構)で表彰されている。

建物外壁のテラコッタルーバーが太陽光の照射量を制限し、屋内のエネルギー消費を抑える。
建物の外壁はマリアテレジアイエローのテラコッタタイルをルーバー状に取り付けることで、建物全体に自然の風合いを強調し、ややもすると周囲に威圧感を与えがちな高層ビルにぬくもりを与え、またそれが高級感を醸し出している。建築デザインは2005年のグッドデザイン賞の建築・環境デザイン部門で受賞している。
一方、赤坂インターシティはパブリクスペースや外観だけでなくビル管理でも環境対策を入念に行っている。
そのひとつが地域冷暖房(DHC)と天然ガスコージェネレーションシステム(CGS)の連携だ。この両者を組み合わせることにより、街区単位での効率的で合理的な利用を可能とし、消費エネルギーを軽減させた。
熱源のうち蒸気、冷水は赤坂・六本木エリアで行われている「アークヒルズ」の地域冷暖房から供給を受ける。また、CGSの発電で発生する蒸気は、一度DHCへ供給し、赤坂インターシティや周囲のビルへDHC経由で供給するシステムになっている。このため、休眠設備である非常用発電機のCGSとしての効率的で安定した運転が可能となる。
赤坂インターシティでは昨年1年間で900万kWの電力を消費しているが、このうちの6割を東京電力からの供給で賄っており、残りの4割が自家発電となっている。このDHCとCGSについては、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)からの支援対象にもなっている。
施設内で消費される電力では空調と照明用電力がかなりのウエートを占めるが、このうち空調については「自然換気ダンパー」をオフィスフロアに設置することで省電化に結び付けている。
これは春や秋といった季節の中間期に一定の条件が揃うと、ダンパーを開けて外気を取り込むことができる装置で、これを利用すれば空調機に負荷をかけずに室内の涼房効果が期待できる。また、昼間だけでなく空調が停止したあとの残業や休日出勤、非常時においても室内の自然換気が可能である。

自然換気ダンパーをオフィスフロアに設置。外気を取り込み、空調機に負荷をかけずに室内の涼房効果をもたらす。
照明用電力については、オフィスの天井照明を自動的にコントロールすることで明るい昼間の照度を落とし、省電化を図っている。
また、電力とともにビル管理でコストがかかるのが水だ。なかでも、トイレの洗浄水や植生用散水など、いわゆる雑用水はその使用量も多い。
そこで同施設では、中水処理システムを導入し、雨水だけでなくDHC関連の冷却塔排水、空調加湿時の排水(空調ドレン)なども有効利用している。このシステムによって、年間消費量が1万4000tの雑用水のうち、その半分にあたる7000tを中水処理した水で賄っている。
興和不動産によれば、省エネを含めた環境対策は「緑との共生というエリア開発のコンセプトから必然的に導き出されたもの」としているが、それでも総エネルギー消費量に換算すると年間15〜16%の削減になっているとみられ、費用対効果は十分にあるようだ。
環境に配慮したロハス的な赤坂インターシティは、将来にわたり赤坂・六本木エリアのなかで色あせることのない建物となりそうである。

(左)地下駐車場の上を緑地化することで、エネルギー消費量の抑制につながっている。
(右)建物1階にあるテクニカルサポートセンター。全国各地にある興和不動産のビルでのBEMSをネットワーク化して、ここで管理する。
■赤坂インターシティ
(ホーマット バイカウント/高層部)
建築主/興和不動産
所在地/東京都港区赤坂一丁目11-44
設計・監理/日本設計
施工/鹿島建設・大林組共同企業体
規 模/地上29階、地下3階 高さ134.77m
延床面積/74,592.86m2

地域冷暖房(DHC)は、あるひとまとまりの地域において、熱供給設備で作り出した冷水・温水・蒸気などを、配管を通じて複数の建物に供給し、給湯や冷暖房などを行うシステム。ごみ焼却熱などの排熱や未利用エネルギーを有効活用することも可能になる。DHCを活用すれば、システムの大規模化によりエネルギー効率が向上し、熱供給設備を個々に設置する場合に比べ、省スペース化を図ることもできる。都市部においては、排熱によるヒートアイランド現象を解消する手段としても期待されている。
配管の整備など初期投資が大きくなる点や、建物間の距離が離れると効率が下がるというデメリットもあるが、ビルの省エネのための一手法として、今後普及が進みそうだ。
・ビルの省エネ事例(ソーラーパネルと屋上緑化)
・ビルの省エネ事例(地域冷暖房)
・ビルの省エネ事例(自然換気と氷蓄熱システム)
・ビルの省エネ事例(複合熱源と熱搬送)
・ビルの省エネ事例(高断熱)
※月刊「環境ビジネス」2007年7月号 特別企画「巨大複合施設に見るエコビルの条件」の内容を掲載しています。
掲載内容は、2007年6月時点のものです。
・改正省エネ法とは
・行政情報/改正省エネ法
・東京都環境確保条例のポイント
・省エネ関連事業の補助金
・省エネ関連事業の融資
・LED照明の補助金
・LED照明 メーカー一覧
・エコキュートとは
・エコキュートの補助金
・建物の環境配慮
・中部電力/部分更新対応型ビル管理システム
・三菱電機/設備用ロスナイ床置形
・アゼリア/水和物スラリ蓄熱空調システム
・日清製粉グループ/ニューマエコ
すぐ効く運用改善と補助金活用法
「改正省エネ法対策」
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選ばれる補助金事業申請のポイント
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7月31日の提出期限間近
「エネルギー使用量届出書の書き方」
78店舗の電力使用量を見える化 運用改善だけで2年で4800万円を削減
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「LED照明の使い方」
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