汐留芝離宮ビルディング(東京都港区海岸)は、近年、開発著しいJR浜松町駅前に位置し、旧芝離宮庭園、浜離宮庭園、東京タワーやレインボーブリッジが眺望でき、景観上からも抜群のロケーションである。ビルの施主は飯野海運・日本土地建物、設計・監理は竹中工務店、監修・監理は日建設計が行った。
地上21階、地下3階の同ビルは、B1〜3階が店舗、4階の設備機械室を挟んで5〜20階がオフィス、21階に産業支援施設がある複合ビル。環境配慮の面でも最先端の技術と設備機器が導入されている。
ビルの外装ガラスには高遮断熱性のLow-eペアガラスを使用。外光の熱を遮断した上で、簡易エアフロー方式を併せて採用し、オフィス内の窓際の専用空調を不要とした、快適な執務環境と省エネを実現した。

高断熱性のLow-e(低放射)ペアガラスを採用。快適な執務環境と省エネを実現。
ビル内には1フロアに18カ所、16フロアに採用した自然換気装置がある。これはOA機器などから出てオフィス内にこもった熱を外気と入れ替える。室内より外気が良い状態の時に、自然換気でビル内を冷ます仕組みとなっている。建物内の蓄熱を冷却し、冷房によるエネルギー消費量を低減する。
設備設計を担当した竹中工務店設計部の左勝旭氏は、自然換気装置を採用したことについて次のように話す。
「自然換気は簡単にいえば窓を開けることと同じ。窓を開ければ換気性と快適性は上がる。しかし近くにJR、高速道路が走っている立地条件では音の問題がある。また海に近いからことから塩害にも配慮し、この自然換気装置を開発した」。
また、オフィス内の明るさについては、昼光制御装置のセンサーが感知して、オフィス内の照明を自動的に調整する。こうした装置の導入によって、空調と照明で消費するエネルギー量の削減が可能だ。

昼光制御装置がオフィス内の照明を自動的に調整する。
地下3階の熱源機械室にはガスコージェネレーションシステムがある。電熱併給のコージェネレーション(容量350kW)の排熱を吸収式冷凍機に投入、空調用の冷水、温水に使用している。冷房時はガスの消費を抑え、暖房時は排熱を暖房に使用するという省エネ効果があり、コスト面でも大きなメリットがある。
「コージェネレーション設備の導入は高額投資になるため、エネルギーサービス事業社と受託契約を結ぶケースが増えている。今回は、設備を所有するエネルギーアドバンスと受託契約し、電気と排熱をビル全体に提供するスキームを採用した」(左氏)。

屋上には1,758kWのターボ冷凍機を2台設置。
ビル屋上階には氷蓄熱タンクがあり、午後10時から翌朝8時までにタンクに氷を作り、昼間に解氷しながら冷房するシステム。夜間の電力を使用することで電気料金の負担を軽減、運転コストの削減に効果を上げる設備だ。
その他にも同ビルでは、広域再生水をトイレ洗浄用にする中水設備を採用するなど、環境に配慮した各種の設備を導入している。また、ビル内部だけでなく、敷地内には歩行者デッキ・通路、広場などを設け、敷地内の緑化を進めている。
環境に配慮した設備設計について左氏は次のように語る。
「設計作業に入って1年間は設備と設計について検討した。従来の技術の展開で、コージェネレーションや氷蓄熱システム、ペリメータシステムなどを採用した。さらに、計画段階からビル完成までは3年を要するので、竣工後でも目玉となる技術も導入しようと考え、当時はテナントビルでは導入するビルがあまりなかった自然換気にも挑戦することにした。環境配慮に理解のある施主が自然換気に関しても前向きだから実現できた」。
環境配慮の設備を導入する場合、施主側は設備投資した分をランニングコスト削減分で回収しなければならない。今回の自然換気やコージェネレーションの採用によるコストメリットは大きく、今後の環境配慮型ビルの開発の参考になる前例となったはずだ。
■汐留芝離宮ビルディング
建築主/飯野海運、日本土地建物
所在地/東京都港区海岸1-2-3
設計・監理/竹中工務店
監修・監理/日建設計
施 工/竹中工務店・清水建設共同企業体
構 造/鉄骨造、鉄骨鉄筋コンクリート造
階 数/地上21階、地下3階
延床面積/35,015m2

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※月刊「環境ビジネス」2007年7月号 特別企画「巨大複合施設に見るエコビルの条件」の内容を掲載しています。
掲載内容は、2007年6月時点のものです。
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