ビルの省エネ事例(高断熱)

環境建築を実現する新技術―断熱―
窓の内側に取り付けるだけで高い省エネ効果
高断熱の二重窓が冷暖房費を大幅抑制
◆YKKAP「プラマードU」

短期施工と低価格を実現 住環境で高い省エネ効果

 建物の環境配慮、特に省エネを図るために重要視されているものの一つが断熱性。建物内の気密性を高め、冷暖房効果を上げることが、消費エネルギーの低減にもなる。建材メーカーのYKKAPでは、高断熱の樹脂製二重窓「プラマードU」を販売。建物の省エネについての関心の高まりを背景に販売数を伸ばしている。
 プラマードUは、既存の建物で、現在使っているアルミ製の窓の内側に取り付ける樹脂製の内窓。断熱性・遮音性、防犯性の3つの効果を持つのが特長だ。

プラマードU

高断熱の樹脂製二重窓「プラマードU」。 夏の熱気や冬の冷気を遮断し、冷暖房による消費エネルギーを抑制できる。


 同社が樹脂製の二重窓の開発を始めたのは約20年前。当時の二重窓は、防音対策などで一部のユーザーから需要はあっても、現在のような省エネ面での注目度は低く、手入れが簡易な複層ガラス(内部に空気層のある2枚ガラス)の方が人気は高かった。
 しかし、省エネ意識の高まりから、再び二重窓が注目されるようになり、同社では改良を加え、4年ほど前から新たな商品開発と販売に力を入れ始めている。
 同社総務部広報グループ担当部長の長山博行氏は、「プラマードUは、新築住宅の着工数が減少し、住宅のリフォームが増加している最近の市場動向を鑑み、今ある窓に加える形の窓を開発した」と、現在の消費者ニーズに合わせた商品であると話す。
 また、一戸建てよりも窓の数が少ないマンションでは、より高い省エネ効果が発揮されることから、マンションのリフォームを販売ターゲットの対象としている。
 また、長山氏は「使用している窓を壊すことなく取り付けるだけなので、内側からの簡単な工事で済む」と指摘し、約1時間で完了するスピード施工による利便性もユーザーにアピールしていきたいとしている。



窓から失われる熱量を抑制 冷暖房費を大幅削減

 建物内の熱は窓からの出入りが一番大きく、冬は37%もの熱が窓から外に逃げているという。そのため、冷暖房によるコストの削減を図るには、建物の弱点であるこの窓の部分に、断熱性の高い樹脂製の内窓を付けることは効果が高いとされる。
 一般のアルミサッシ窓の場合、一冬に窓を通して失われる熱量は848万kcal、これに対し、プラマードUを内窓として併用した場合の同熱量は300万kcalで、約3分の1に抑えられるという。つまり一冬に灯油616リットル分もの節約となるのである。
 また、既存のアルミ窓(単板ガラス)と内窓を設置した場合とを比較すると、窓の大きさにもよるが、約4万円台から3万円台もの年間総冷暖房費の違いが表れるという。
 商品価格は、サイズや材質などでかなり違いがあるものの、単板ガラス使用で2万円台から、複層ガラスで3万円台からとなっており、「設置条件にもよるが、冷暖房費の削減によって、約1年で設置コストの元が取れる」と長山氏は、低価格で効果の高い点に自信をのぞかせる。


防露・防音の効果も強調し消費者から選ばれる商品へ

 樹脂性二重窓の設置は、同社が手掛ける窓のリフォームによる売上の中で現在約7割を占めているという。プラマードUは、高い省エネ効果があるだけでなく、マンションにありがちな結露の解消や防音・防犯といった面でも効果が高いことから、ユーザーの関心は高まっており、同社は今年度のプラマードUの売上を昨年比10%増と見込んでいる。
 「プラマードUは、一般ユーザーにも直接アピールしていきたい商品。今後は、マンションの管理組合や工務店などを中心に消費者に直接その良さに触れていただく機会を増やし、販売拡充していきたい」(長山氏)。
 環境や省エネに対する消費者の意識が高まる中、同社は今後も、このように消費者の目で直接選ばれる環境商品の販売に力を入れていきたいとしている。



ユーザー側からの視点
マンションでもESCOの活用
サッシの2重化や外断熱を導入

NPO法人 全国マンション管理組合連合会事務局長 谷垣千秋 氏
 住宅リフォームは8兆円市場、そのうちマンションリフォームは3兆円市場とも言われるほど規模は大きい。環境配慮に対する住民の意識の向上とともに、マンションの補修・改築の際に、環境配慮型の建材や設備の導入を業者に指示する管理組合も増えてきているようだ。
 最近では、使用する塗料について、有機溶剤ではなく水性塗料の使用を指定したり、電磁波の影響を懸念して携帯電話のアンテナの設置を拒否したりするマンションも多いという。
 省エネについては、一昨年あたりから、経済産業省によってマンションでもESCOの活用が推奨されている。ESCOを用いて消費電力の低減を図り、削減できた分をサッシの2重化や外断熱の導入などに充て、断熱性の向上させる取り組みが行われている。
 ESCOを導入しているマンションはまだごくわずか。新築マンションでは取り入れている所も増えているようだ。
 外断熱は、冬の寒さを防ぐだけでなく、夏の暑さも遮り、冷房の省エネ効果もある。湿気対策についての住民の意識が高くなっている。
 民生部門のCO2削減・省エネの取り組みは今後避けられない状況。こうしたマンションでの環境配慮は一気に増えることはないが、段階的にこれから増えていくと考えられる。
 冷暖房をいかに使わないようにする工夫をするか、外断熱化がどのくらい進むのかが今後のマンションの課題でもある。CO2削減・省エネをさらに進めるためには、助成金など政策的な誘導が必要になる。(談)

プラマードU
使用している既存の窓の内側に取り付けるだけなので、設置は約1時間で完了する。


ビルの省エネ 事例集

ビルの省エネ事例(ソーラーパネルと屋上緑化)
ビルの省エネ事例(地域冷暖房)
ビルの省エネ事例(自然換気と氷蓄熱システム)
ビルの省エネ事例(複合熱源と熱搬送)
・ビルの省エネ事例(高断熱)

※月刊「環境ビジネス」2007年7月号 特別企画「巨大複合施設に見るエコビルの条件」の内容を掲載しています。 掲載内容は、2007年6月時点のものです。