クール・ネット東京の無料省エネ診断を受けた東新小岩井店。吉野家では、2008年度から郊外店舗を中心にカウンター形式からテーブル形式にした「新フォーマット店舗」の設置や牛丼以外の定食メニューの拡充を図り、ファミリー顧客の獲得に向けた店づくりを展開している。環境への取り組みは、他社との差別化になるため、社外に向けてもっとPRしていくことも必要だと考える。
「牛丼」で知られる吉野家は1958年の創業。2007年にホールディング体制になり、事業会社として現社名に変更した。国内店舗数(08年11月末)は、直営831店、FC285店の合計1116店。
同社では、2008年3月から新店舗や店舗の改装時にLED看板やガスコージェネなどを導入し、省エネ化を進めている。クール・ネット東京の省エネ無料診断を知り、「機器の導入というハード面での対策は実施していたが、それ以外に投資をせずにできるソフト面での対策があるのではないかと考えた」と同社CSR推進本部の榎本博政氏。各店舗の規模が小さいため、中小企業を対象とした無料診断のケースに該当をすると判断され、実施に至る。
LEDを初めて導入した独立店舗モデルの東新小岩井店と、ビルイン店舗の新宿一丁目店で診断を受けた。両店舗で改善提案を受けたのは、ガス給湯器の温度設定と室外機の設置環境だった。
東新小岩井店では、給湯器の設定温度を44℃から42℃にすると、ガス使用量が10%削減され、年間7.2万円のコストダウンになると提案された。さっそく新宿一丁目店で1週間実験。「そこの設定は43℃だったので41℃にすると6%のガス使用量が削減できた。マニュアルには設定温度は40℃前後としか記載していなかったので、さっそく各店舗に41℃で通達を出した」という。
室外機の環境については、給湯器の排気口とエアコンの取り込み口が近いため、冬期はいいが、夏期は200℃近くになる給湯器の排気を取り入れて冷やしているため、季節で取り外しができる仕切り板などをつけてはどうか、というアドバイスを受けた。改善効果は年間4000円と試算されたが、工事費は3万円。説明時に開発担当者にも同席してもらい、新店舗や改修時などに対応し、今後は店内だけでなく店外も含めた店づくりを検討していくことになった。「クール・ネット東京の診断は、具体的な数値で効果を示してくれるので説得力がある」と榎本氏は評価する。

2008年3月から新店舗や店舗の改修時にLED照明やガスコージェネなどを導入。同取組みにより、12月に2008年度「地球温暖化防止活動環境大臣表彰」を対策技術導入・普及部門で受賞した。

新宿一丁目店のエアコン(手前)と給湯器の室外機。ビルイン店舗なので、給湯器の熱気もこもりやすい。

クール・ネット東京の提案を受け、1週間の実証実験で効果を確認後、全店舗に給湯器の温度設定
店舗は短期で入れ替わるアルバイトが多いため、従業員のオペレーションも省エネのカギを握る。同社ではISO活動の推進として、従業員の評価内容に環境項目を設けている。
現在の「ゴミの分別ができる」や「グリストラップの仕組みがわかる」などに加えて、「止水」や「消灯」などの項目を増やし意識を高めていきたいという。また、来年度からは高効率照明器具や屋根の断熱材、雨水利用などを採用したモデル店舗を設置し、イニシャルコストと効果を検証後、優先順位を決めて店舗に導入していく計画だ。直営店で効果が得られたらFCオーナーにも提案していきたいと考えている。
・ビルの省エネ診断(ユカインダストリーズ)
・ビルの省エネ診断(ドトール日本橋浜町店)
・ビルの省エネ診断(吉野家)
※月刊「環境ビジネス」2009年3月号 大特集「省エネ対策」の内容を掲載しています。
掲載内容は、2009年2月時点のものです。
・改正省エネ法とは
・行政情報/改正省エネ法
・東京都環境確保条例のポイント
・省エネ関連事業の補助金
・省エネ関連事業の融資
・ソーラーパネルと屋上緑化
・地域冷暖房
・自然換気と氷微熱システム
・複合熱源と熱搬送
・高断熱
・建物の環境配慮
・中部電力/部分更新対応型ビル管理システム
・三菱電機/設備用ロスナイ床置形
・アゼリア/水和物スラリ蓄熱空調システム
・日清製粉グループ/ニューマエコ
すぐ効く運用改善と補助金活用法
「改正省エネ法対策」
補助金活用事例
選ばれる補助金事業申請のポイント
「見える化」の進め方
7月31日の提出期限間近
「エネルギー使用量届出書の書き方」
78店舗の電力使用量を見える化 運用改善だけで2年で4800万円を削減
性能、パフォーマンス急上昇で新時代
「LED照明の使い方」
最新!省エネ照明活用法
高効率照明の選び方
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