ビルの省エネ大賞:新日鐵都市開発

1つの目的にみんなで取組む一体感が大きな成果につながった
新築と築38年のビルでW受賞した新日鐵都市開発

NS大分ビル・鉄鋼ビル
省エネルギー管理優良ビルとして表彰されたNS大分ビル(左)と、
省エネルギー管理向上ビルとして表彰された鉄鋼ビル(右)


新日鐵都市開発は、二つのビルで受賞を果たした。それは、1971年に竣工された大分鐵鋼ビルディング(以下、鐵鋼ビル)と、大分県で初めてのPFI事業として2003年に建設されたNS大分ビルだ。

同社は日本ビルエネルギー総合管理技術協会(以下、ビルエネ協会)のアンケートを通じてこの表彰制度を知った。それまで、全社を挙げて環境負荷の低減に取組んでいたため、取組みの成果が具体的な数字として出れば一層励みになると判断して参加を決めた。


エネルギー効率大幅に“向上”した竣工38年の鉄鋼ビル

「省エネルギー管理優良ビル」を受賞した鐵鋼ビルは63のテナントを有する商業ビルだ。長い付き合いの関係者が多いので、協力体制はすぐに整った。

古いビルなので、電気をインバータ化するなど、設備を省エネタイプに更新するだけで、ある程度効果は出る。まずは費用をかけずに効果を出そうと、優先的に節電に取組むことにした。まず、種別を業務用Aから負荷率別に、電力を600kWから520kWに契約変更した。その上で、エレベーター4基のうち1基を休止。駐車場の照明は時間制御にし、不要箇所を消灯するなどして節電に努めた。



数字で示す“見える化”が励みになり、目標に向いビル関係者に一体感

「省エネルギー管理優良ビル」を受賞したもう一つのビルは、最新の省エネ機器を備えたNS大分ビルだ。

同ビルでは、共用部の照明の数を天気によって管理人が調節することで節電に努めている。たとえば、廊下の照明なら、晴天時にはほとんどの照明を消し、曇天時には点灯本数を減らし、夜間や雨のときには点灯するなどといった対応を行っている。また、昼休み時の室内消灯、エアコン温度の制限など、細かい対策を積み重ねた。

一番の課題はビルを使う人の意識改革だった。電気料金などの具体的な数字をテナント会議で報告したことで、意識が変わった。活動の成果が数字で見えることによって、それが励みとなり、テナント関係者の省エネ意識が次第に高まった。 新日鐵都市開発九州支店大分業務グループマネージャー 蛇嶋修二氏は、受賞までの省エネの歩みを振り返り、「コスト削減効果も大きかったが、一つの目的に向かい、皆で協力する一体感が生まれたことが非常に良かった」と、感想を述べた。



参加企業を増やし、表彰制度の価値と認知度の向上を

取組の結果、2005年度の電気料金を基準として、鐵鋼ビルでは2006年度300万円減、2007年度35万円減。NS大分ビルでは、2006年度190万円減、2007年度34万円減という大きな成果をあげた。温暖化問題は地球規模の問題として注目度が高い。真面目に取組み、効果をあげることは企業PRにも繋がる。だがBAMS登録しているビルの数はまだまだ少ない。蛇嶋氏は「表彰制度の価値を高めるため、多くの企業に参加してほしい」と話す。

今後の課題は、いかに継続して効果をあげていくか。蛇嶋氏は、「未着手の箇所を見つけて、さらに省エネを進めたい」と抱負を語った。



省エネ事例

避難誘導灯

避難誘導灯

2008年11月、LED高輝度誘導灯(三菱電機)が発売になった。価格は7万7300円と従来品より12%ほど高いが、消費電力は最大45%抑えられ、大幅な省エネが可能。リモコンによる定期点検も可能な手軽さが好評。


水洗機器

水洗機器

水洗機器は、給水量を一定に保てる自動式のほうが節水効果も高い。水道料金は使用量が多くなるほど単価が高くなる(例:東京都なら使用量30m3以内なら224円/m3だが、500m3では525円/m3)。つまり、高層ビルほどコスト削減効果は高い。


トイレ水洗機器

トイレ水洗機器

自動式のトイレ水洗機では、センサーが必要な水量を感知するため、手動式よりムダな流水を抑えることができる。同社が採用したのはビル全体のウォーターマネジメントをトータルに手がける日本カルミックのシステム。


廊下照明

廊下照明

左から、晴天時・曇り時・廊下全照明入り時

ビルのエネルギーコストのうち、約3割を占める照明は、省エネの重要なポイント。天候に応じて点灯本数をコントロールするだけで、新たな設備投資なしで2〜3割程度の電気代の削減ができる。オフィス内や店舗でも同様に晴天時には照明の点灯数を減らすことが推奨される。さらに、設備更新時に蛍光灯のインバータ化などを行えばコスト削減効果は高まる。


表示方法

照明スイッチ
照明スイッチ
テナントの空調スイッチ部分/駐車場通路部ダウンライト
テナントの空調スイッチ部分(左)・駐車場通路部ダウンライト(右)



※PFI(Private-Finance-Initiative:プライベート・ファイナンス・イニシアチブ)とは

公共事業を実施するための手法の一つ。民間の資金と経営能力・技術力(ノウハウ)を活用し、公共施設等の設計・建設・改修・更新や維持管理・運営を行う公共事業のこと。
PFI導入による効果として、
1.国民に対して、安くて質の良い公共サービスが提供されること
2.公共サービスの提供における行政の関わり方が改善されること
3.民間の事業機会を新たに創り、経済の活性化に貢献すること
などがあげられる。

PFI事業のコスト抑制効果を評価する指標としてVFM(Value For Money)がある。従来の方式と比べてPFIの方が総事業費をどれだけ削減できるかを示す割合で示される。PFI導入の検討段階で計算する“シミュレーションのVFM”と落札者が決まってから計算する“実際のVFM”とがある。
多くの場合、実際のVFMはシミュレーションVFMを上回ることが多く、期待されたほどのコスト削減効果を得られないケースもある。そのため、最近ではランニング段階を含むLCC(ライフサイクルコスト)を重視する傾向がある。その意味では、PFI事業におけるエネルギー管理、高効率化はこまで以上に重要な課題といえる。


■ビルの省エネ大賞

ビルの省エネ大賞(日土地ビル)
・ビルの省エネ大賞(新日鐵都市開発)
ビルの省エネ大賞(茨城県庁舎)

※月刊「環境ビジネス」2009年3月号 大特集「省エネ対策」の内容を掲載しています。 掲載内容は、2009年2月時点のものです。