ビル・工場の省エネツール(建物の環境配慮)

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※月刊「環境ビジネス」2006年12月号 特別企画「検証!ビル・工場の省エネツール」の内容を掲載しています。 掲載内容は、2006年11月時点のものです。

「建物の環境配慮」に待ったなし!
整備されてきた建築の省エネ対策ツール
求められる施設特性に合致した省エネサービス

社会的なCO2削減、消費エネルギーの削減の機運が高まっている中で、大量のエネルギーを消費し、批判対象となっているものの一つが建築物だ。依然としてオフィスビルや商業施設などで消費されるエネルギー量は大きい。今後、建物の環境配慮化は避けられない状況だ。


6%削減の目標達成には建築の省エネ対策が必須

京都議定書の発効によって日本は、08年〜12年の温室効果ガス排出量を、90年比で6%削減することが求められているが、むしろ排出量は増加。日本での温室効果ガス排出量の約9割はエネルギー起源のCO2で、02年の日本のCO2排出量は、13億3000万tCO2に達し、90年度比で約12%増となっている。

エネルギー消費量とエネルギー起源CO2排出量の推移を分野別に見ると、ともに民生分野での増加の割合が大きい。02年の時点で、CO2排出量は前年比の約33%増。民生分野の中でも、特に住宅・建築の省エネ化が急務とされている。

エネルギー消費とCO2排出量の分野別の推移

エネルギー消費とCO2排出量の分野別の推移
民生分野(家庭、業務その他)においては、エネルギー消費量の増加に伴い、二酸化炭素(CO2)排出量も増加。


富士経済は2006年9月、業務分野でのエネルギー需要の実態を把握する調査を行い、その結果をまとめた。
オフィスビルやスーパー・コンビニ、ホテルなど6分野200社を対象に05年度のエネルギー需要量の消費実態について分析を行った結果、オフィスビルでのエネルギー需要量は132億ギガカロリーと最も大きく、次いで既設数が最も多くエネルギー需要量も8300万ギガカロリーと大きい飲食店、さらに8100万ギガカロリーの宿泊型滞在施設、6500万ギガカロリーの公共・文教施設と続いている。

特にオフィスビルでのエネルギー消費は、「照明やOA機器などの内部発生熱量の増加により冷暖房消費の割合が高い。空調のエネルギー源は、小規模施設ではほとんど電気、大規模施設ではGHP(業務用ガスヒートポンプ)が導入されている場合が多い」と分析し、省エネ機器・省エネサービスの必要性を示唆している。


2005年度対象6分野のエネルギー需要と規模推移

エネルギー需要量(百万Gcal/年) 2005年度既設数(千件) 2010年度既設数予測(千件) 10/05年度
オフィスビル 13,225 1,905 1,905 05年度並み
飲食店 83 175 176 05年度並み
宿泊型滞在施設 81 20 21 7%増
公共・文教施設 65 81 79 2%増
レジャー施設 48 18 17 6%増
小売店 37 64 70 9%増



サステナブル建築の普及へ建築物を5段階で評価

今後のビルの省エネ対策を促すものの一つとなるのが、ビルの省エネ対策をトータルで評価・管理できるシステムツールである。 建築物の省エネ化に関する調査・研究を行っている財団法人建築環境・省エネルギー機構(IBEC)では、以下の要件を満たした建物をサステナブル建築としている。

@建築のライフサイクルを通し、省エネルギーや有害物質排出抑制を図ることができる建築物。
A周辺地域の気候・伝統・文化・環境と調和している。
B将来に渡り、人間の生活の質を維持・向上させていける建築物。
同機構では、こうしたサステナブル建築を推進するために、建築物総合環境性能評価システム「CASBEE」を提供している。「CASBEE」は、エネルギー消費、資源循環、地域環境、室内環境の4分野で、5段階評価ができる。
すでに名古屋市や大阪市などでは「CASBEE」を利用した環境評価制度を行っており、同機構は「CASBEE」を提供し、サステナブル建築の普及を図っていく方針だ。



建物で消費する全エネルギー、床面積当たりの消費量を算出

建物の計画時の省エネルギー基準として年間熱負荷係数(PAL)や空調のエネルギー消費係数(CEC/AC)や機械換気設備・給湯設備・照明設備・昇降機について係数が定められている。

使用時の空調や照明設備などのエネルギー消費の実数値を把握し、現状のエネルギー消費を評価するため、省エネルギーセンターは、オフィスビル、商業ビル、病院、ホテルの全エネルギー消費(空調、照明、給湯、冷凍冷蔵,調理など)を予測計算する原単位管理ツール「ESUM」を開発した。エネルギー消費構造の正確な把握ができず、定量的な評価ができないために、省エネ対策の推進が難しいといった建物オーナーが抱える課題を解決するツールである。

ESUMを使用し、建物で消費する全てのエネルギーを実気象に照らして計算し、エネルギー消費原単位(床面積当たりの年間エネルギー消費量)が算出できる。ツールには過去の年間気象データや現在販売されているさまざまな省エネ機器のデータが組み込まれており、例えば「空調に全熱交換器を採用した場合」、「冷房を1℃上げた場合」といったシミュレーションも可能だ。

今後同センターでは、実際の計算業務の事業化も予定しており、省エネ推進策の評価ツールとしてさらに注目を集めそうだ。

建築物の省エネ化は今後益々求められるようになり、それが新たなビジネスチャンスを生み出すことにもなる。
富士経済は、「今後、業務用施設での省エネルギーサービス市場は、小売店や飲食店などの小規模施設へと徐々に拡大されていくと考えられ、施設特性にマッチしたサービスの構築が求められる」と指摘する。


原単位管理ツール「ESUM」の適用範囲

空調以外のエネルギー消費の計算は、第二種管理指定工場以上の事業所の実測調査から得た実態値や回帰式を用いているため、空調以外の計算値は第二種管理指定工場以上の施設の計算に適している。

オフィスビル 商業ビル 病院 ホテル
エネルギー消費規模 第二種エネルギー管理指定工場に順じたビル 第二種エネルギー管理指定工場以上が理想的 第二種エネルギー管理指定工場以上が理想的 第二種エネルギー管理指定工場以上が理想的
建物規模 延床面積
6,000m2以上
延床面積
25,000m2以上
延床面積
25,000m2以上、
ベッド数200床以上
延床面積
15,000m2以上
施設内容 一般オフィス
事務所、売店、飲食店
百貨店
総合スーパー
ショッピングセンター
(食品スーパー、コンビニは対象外)
一般病院
特定機能病院
(精神病院、老健福祉施設除く)
リゾートホテル
シティホテル
フィットネス
プール
宴会場
レストラン
(ビジネスホテルは適用外)



省エネ関連ビジネスは拡大ESCOは10年度に780億円

また、今後の省エネルギー機器導入動向については、契約電力の大きい大規模施設は省エネ設備の投資意欲が高いが、業態特性としてコスト意識が高いため、導入機器の低コスト化が必須の課題となると分析している。省エネに関する包括サービスを行うESCOの市場規模は、小売店などエネルギー需要の小さい施設や自治体の需要拡大が見込まれ、10年度に780億円まで拡大すると予測している。

政策面でも省エネ支援策が進められており、06年4月から改正省エネ法が施行され、新築・増改築時だけでなく、大規模修繕を行う場合にも届出が義務付けられ、省エネ措置の維持保全状況の定期報告が義務付けられた。

一方、建築物の省エネ化に関する支援制度として、設備導入に際する低利融資制度、税制優遇措置などがあるが、06年度からこの税制優遇の対象設備に、ビル用設備が追加された。


建築物の省エネルギー性能の向上

具体的な対策 建築物の省エネ性能の向上
対策評価指標
<2010年度見込>
・新築建築物の省エネ基準(平成11年基準)達成率
<8割(2006年度)>
国の施策 ・省エネルギー法に基づく建築主等に対する省エネ措置の努力義務、一定規模以上の建築物(非住宅)の建築・大規模修繕時等の省エネ措置の届出義務付け等
・グリーン庁舎の整備、グリーン診断・改修の推進
・既存官庁施設の適正な運用管理の徹底
・総合的な環境性能評価手法の開発・普及
・日本政策投資銀行の融資、税制等による支援
・先導的技術開発の支援
・設計・施工に係る技術者の育成
・業務ビル等の省エネ化補助
・学校エコ改修の実施
・関係業界の自主的な取組の促進
対策効果
排出削減見込量
(万t-CO2
約2,550

京都議定書目標達成計画




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