ビル・工場の省エネツール(オフィスビル)
※月刊「環境ビジネス」2006年12月号 特別企画「検証!ビル・工場の省エネツール」の内容を掲載しています。
掲載内容は、2006年11月時点のものです。
中部電力/部分更新対応型ビル管理システム
ビル管理システムを低コストでリニューアル
中小規模建物の管理システムを部分更新
社会的なCO2削減、消費エネルギーの削減の機運が高まっている中で、槍玉に挙げられているものの一つが建築物だ。依然としてオフィスビルや商業施設などで消費されるエネルギーは多い。今後、建物の環境配慮化は避けられない状況だ。

「協調コントローラ」と「信号入出力装置」によって、エネルギー管理機能と遠隔監視制御機能を低コストで追加できる「部分更新対応型ビル管理システム」を開発した。
既存システムはそのまま
低コストで管理機能を向上
建物の省エネ化のために有効なシステムと言われているBEMS(※)を既設の建物に採用するには、建物ごとの「ビル管理システム」を改造する必要があり、その費用も決して小さくない。また、設備の運転管理費を抑えるには遠隔監視制御による一元管理が有効だ。
中部電力では、中小規模建物(延べ床面積2万m2以下)の既設のビル管理システムはそのままで、エネルギー管理機能と遠隔監視制御機能を低コストで追加できる「部分更新対応型ビル管理システム」を開発した。
同社土木建築部建築設備・エネルギーグループの担当者は、「省エネシステム自体を新しく開発したのではなく、すでにある省エネシステムを既設のビルにも適応しやすくする仕組みを開発した」と語る。
※ BEMS(Building and Energy Management System)
機器コントローラと設備の間に「協調コントローラ」を導入
建物の省エネが求められるようになり、建物内で稼動する電気・空調・熱源等の設備を総合的に制御し、さらに省エネを図る高性能のビル管理システムへのニーズが高まってきた。
しかし既設の建物に設置されているビル管理システムの大半はメーカーの独自仕様のため、改造するにはどうしても同一メーカーへの特別注文となる。また、機能を追加したい場合、中小規模のビルに適した高機能システムが少なく、いずれにしても高コストとなってしまう。
そこで同社は、管理システムの核となる「中央監視装置」を改造するのではなく、機器コントローラと各設備をつなぐ間に注目した。
同社は「協調コントローラ」、「信号入出力装置」を開発。コントローラと各設備の間に導入することで、既存のビル管理システムとの協調連携制御ができるようにし、低コストでのリニューアルを可能とした。
例えば、空調と熱源ポンプといったように、省エネを図りたい設備に「信号入出力装置」を設置。「協調コントローラ」に接続することで、既設のビル管理システムと協調連携した制御ができ、省エネ制御や遠隔操作が可能となる。つまり、この新システムの導入によって、必要な部分から段階的な更新ができる。
また、全面更新にも対応可能で、その場合は既設のビル管理システムを撤去し、すべての設備を協調コントローラと管理サーバが監視・制御するようになる。協調コントローラには主要な中央監視機能と機器制御機能が集約された形となり、従来の装置よりも大幅なコンパクト化が実現できる。
改修費用は20〜30%削減
自社ビルに導入し検証
同社開発の新システムは、従来よりも低コストで改修をすることが可能だ。
部分改修の場合、新システムでは、協調コントローラ(協調連携制御機能)と信号入出力装置を設置するだけ。従来のビル管理システムの改修方法と比較し、約20%のコスト軽減ができる。全面改修の場合は、同比約30%のコスト削減を実現する。
実際に、約7000m2の同社の自社ビルで全面改修を行ったところ、従来方式では約2000万円かかるところが、新システムによって3割コストダウンできたという。
同社では2005年7月以降、自社ビルに導入後の省エネ効果について検証を続けている。自社ビル内の事務室の換気量をCO2制御で変化するように設定したところ、最も効果の高いところで、室内負荷を40%削減することができた。

協調コントローラの設置状況。床面積約7000m2の物件に2台設置した。

信号入出力装置の設置状況。各種信号のやり取りができる。
他にも、遠隔地の汎用パソコンからWebブラウザによる監視・制御(運転スケジュール、温度設定など)ができ、さらに協調コントローラで取得したデータを収集・分析し制御に反映させれば、より最適な運転の設定に変更できる。

(左)協調コントローラの操作画面。Web画面上で監視・制御ができる。
(右)分析グラフ。熱源機01(紫線)は同じ性能の熱源機02(緑線)と比較しCOPが低い。劣化の可能性があることが分かる。
メーカーと協力し販売強化
ホテル・学校・病院へも提案
そもそも、このシステムの開発の目的は、同社の自社ビルの消費エネルギーと設備管理の手間を低減させることだった。
実証試験の結果、新たなサービスとして提案できるものができ、一方で、低コストで建物の省エネ化を図りたいというビルオーナーのニーズが高まりつつあると判断し、8月に新システムを発表。すでにホテルやビル管理会社、設計事務所などからの引き合いがあるという。
また、なかには見積依頼もあるが、建物の規模や管理点数、施工方法によっても費用に大きな幅が出るので、目安となる金額を提示しづらいという。関係各社と調整し、体制づくりをしていかなければならないようだ。
「協調コントローラ」は松下電工、「信号入出力装置」は渡辺電機工業へ製造委託した。今後、関係各社と協力しながら、新システム導入を提案していく方針だ。
いずれシステムの販売が軌道に乗れば、幅広い分野での活用が見込めると考え、オフィスビルや商業施設だけでなく、学校や病院などへの提案も視野に入れる。低コストで既存建築の省エネ化を図ることができる新たなエネルギーソリューションツールとして、今後さまざまな施設・建物関係者から注目を集めることになりそうだ。
■ビル・工場の省エネツール
・ビル・工場の省エネツール(建物の環境配慮)
・ビル・工場の省エネツール(中部電力/部分更新対応型ビル管理システム)
・ビル・工場の省エネツール(三菱電機/設備用ロスナイ床置形)
・ビル・工場の省エネツール(アゼリア/水和物スラリ蓄熱空調システム)
・ビル・工場の省エネツール(日清製粉グループ/ニューマエコ)


