JFEスチール西日本製鉄所では2003年12月より誘導加熱(IH)方式を用いた厚板オンライン熱処理設備を導入している。 従来のガス燃焼炉方式よりも大幅なCO2削減を実現し、さらに製造能力のアップ、工期短縮、品質向上も実現。 2009年に鉄鋼業界として初の「新機械振興賞」経済産業大臣賞も受賞した同社の電化への取り組みを探った。
JFEスチールではこれまで、高強度厚鋼板を製造する際、焼戻し処理をオフライン(製造ラインから外れた場所)でガス燃焼炉を使って行っていたが、2003年からは同社の西日本製鉄所に誘導加熱(IH)を利用した厚板オンライン熱処理設備を導入。 熱処理を製造ライン内に組み込むことに成功した。
1998年から同設備の工場導入に携わった担当者は導入に踏みきった経緯をこう話す。
「ガス燃焼炉は効率が悪く、製造ラインと同じスピードで処理する設備を作ろうとすると、幅40m×長さ100mの巨大な燃焼炉が必要になります。 工場内ではそのような設備を組み込むスペースはなかなかとれませんので、誘導加熱設備を検討することになりました」
誘導加熱方式であれば、幅5m×長さ4〜10mのコンパクトさで、幅40m×長さ100mの炉と同様の機能を実現することができる。 また、加熱速度も従来のガス燃焼炉の約70倍のため、立ち上がりも早い。 「ガス燃焼炉は1分間で9℃しか上がりませんので、厚板が600〜650℃になるまで70分ほどかかりました。 一方、誘導加熱設備では600℃まで上げるのに1分もかかりません」と、本設備の導入を推進してきた厚板セクター部長の多賀根章氏は話す。
オフラインガス加熱炉とオンライン誘導加熱設備の比較
※板厚25mmの鋼板を室温から600℃まで加熱
さらに従来のガス燃焼炉は厚板をまとめて加熱していたため、全体の熱処理時間にばらつきが出たが、誘導加熱設備は一本一本を電気で細かに制御しながら同じ条件で加熱できるため、高品質な製品作りが安定してできているという。
一方、生産ライン内に誘導加熱設備を導入するにあたり、技術者を悩ませた点は、厚板が通る間口の広さの設計だった。 誘導加熱設備は、厚板を囲む形の誘導コイルにしたため、コイルと厚板の間が離れるほど電力が必要になる。 コイルを極力厚板に近づけつつも、圧延された厚板が曲がるなどして装置に引っかかってしまわないような最適な間口の大きさと、安定した形状の厚板が製造できるようなライン内設備のコントロールを行った。
誘導加熱設備の工場内の様子。1分もかからないスピードで600℃まで加熱できるため、すぐに真っ赤な厚板が出てくる
この誘導加熱設備導入は、厚板の高品質化のほか、10日間の工期短縮、6万トンから18万トンへの生産量拡大ももたらした。 さらに加熱効率もガス燃焼炉の25%から90%へと高まり、省エネ・省CO2に大きく貢献している。
・電化ファクトリー目次
・従来の蒸気タービン方式ではエネルギーが無駄に消費される
・ビールの発酵熱を回収して年間400トンのCO2を削減/サッポロビール
・1分以内に600℃まで急速加熱 厚板の高品質化と省エネルギーを両立する誘導加熱設備/JFEスチール
・電線のサイズアップで送電ロスが半減/日本電線工業会
・ヒートポンプで実現 15トンボイラ1基分の蒸気レス化/日野自動車
・パスタ製造工程のオール電化でCO2 99%削減を達成/フクヤマパスタージャ
・気化式加湿器導入で不良品率3%未満を目指す/市光工業
・水熱源・空気熱源のヒートポンプ併用で生産工程導入が可能に/加ト吉
※月刊「環境ビジネス」2009年8月号 巻頭特集「電化ファクトリー」の内容を掲載しています。 掲載内容は、2009年6月時点のものです。
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・日清製粉グループ/ニューマエコ
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「改正省エネ法対策」
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選ばれる補助金事業申請のポイント
「見える化」の進め方
7月31日の提出期限間近
「エネルギー使用量届出書の書き方」
78店舗の電力使用量を見える化 運用改善だけで2年で4800万円を削減
性能、パフォーマンス急上昇で新時代
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