フクヤマパスタージャ日立工場はオール電化のパスタ工場だ。 蒸気を使い、巨大な釜で麺をゆでる従来の食品工場の方式を一転。 IHによる微妙な加熱のコントロールで、でんぷんを壊さない臨界水分率61.8%のパスタを生み出した。 工場は月に50万食生産できる能力を備えながら非常にコンパクトかつ快適な環境。 これまでの食品業界の常識を覆した工場の出現に、次世代工場の姿が見えてきた。
工場内は蒸気がなく快適。オール電化のため従業員4名で月50万食がまかなえる
フクヤマパスタージャの親会社であるフクヤマ食品が20年かけて研究してきたのは、製造過程ででんぷんを壊さない臨界水分率61.8%のパスタ「パスタージャ」だ。 このパスタージャの製造には微妙な温度調節を必要とするため、湯で乾麺をゆでる従来の方式で作ろうとすると、設備にこれまでの1.5倍の面積が必要で、さらに麺を最適な状態でゆでるための職人技的なオぺレーションが必要だった。 「10トンの水を同じ温度に保つことは、とても難しい。 どうしても熱のムラが出てきてしまい、同じ品質が保てませんでした」とパスタージャのレシピを2ヵ月間ラボにこもって作り上げたフクヤマ食品開発室の樺山麗子氏はその苦労を語る。
その後数年かけて蒸気を使った方式で商品化できるレベルのパスタージャを作ることに成功したが、「コスト的に、とてもビジネスにはならなかった」とフクヤマ食品社長の福山照康氏は言う。
そこで選択したのがオール電化という道だ。 電気で細かな温度制御が可能なIHの特徴を生かし、パスタをゆでる際の微妙な加熱具合を調整。 そしてそれをヒートポンプで冷却するという仕組みを生み出した。 蒸気による製法のムラが解消され、一定品質のパスタージャ製造が可能に。 排水量も少なく、CO2の排出量も、蒸気で製造した場合の1.3%と大幅に削減された。
さらに設備機器の立ち上がりも早く、30分程度しか準備にかからない。 「以前の工場では立ち上げに2時間、製造終了後の掃除に2時間かかりました。 さらに5時間で、ゆでるために使っていた湯が使えなくなるので、一日4000食製造するのが限度だったのですが、オール電化にしたら一日中ずっと稼働できて、生産能力が格段に上がりました」と樺山氏。 このフクヤマパスタージャ日立工場は2008年12月より稼働を開始。 最初に乾麺を水と一緒に密封してしまうなど、これまでにはない新たな方式を採用している。
(日立設備エンジニアリング試算)
パスタージャと冷凍うどん製法・製造装置比較例
冷凍うどんの製造装置(製麺から… 60万食/月)を100とした時のパスタージャ製造装置の比率
「電気があったからこそ実現した、まったく新しい製法です。 従来の食品工場は、いわば家庭での調理法を巨大にしたようなもの。 ゆでたり冷やしたりすることはムダも多いのですが、化石燃料はコストが安いので効率の悪い製造工程でもそのまま踏襲されてきました。 ですからこの工場で実績を出して、食品業界のスタンダードにしていきたいですね」(福山氏)
・電化ファクトリー目次
・従来の蒸気タービン方式ではエネルギーが無駄に消費される
・ビールの発酵熱を回収して年間400トンのCO2を削減/サッポロビール
・1分以内に600℃まで急速加熱 厚板の高品質化と省エネルギーを両立する誘導加熱設備/JFEスチール
・電線のサイズアップで送電ロスが半減/日本電線工業会
・ヒートポンプで実現 15トンボイラ1基分の蒸気レス化/日野自動車
・パスタ製造工程のオール電化でCO2 99%削減を達成/フクヤマパスタージャ
・気化式加湿器導入で不良品率3%未満を目指す/市光工業
・水熱源・空気熱源のヒートポンプ併用で生産工程導入が可能に/加ト吉
※月刊「環境ビジネス」2009年8月号 巻頭特集「電化ファクトリー」の内容を掲載しています。 掲載内容は、2009年6月時点のものです。
・改正省エネ法とは
・行政情報/改正省エネ法
・東京都環境確保条例のポイント
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・中部電力/部分更新対応型ビル管理システム
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・アゼリア/水和物スラリ蓄熱空調システム
・日清製粉グループ/ニューマエコ
すぐ効く運用改善と補助金活用法
「改正省エネ法対策」
補助金活用事例
選ばれる補助金事業申請のポイント
「見える化」の進め方
7月31日の提出期限間近
「エネルギー使用量届出書の書き方」
78店舗の電力使用量を見える化 運用改善だけで2年で4800万円を削減
性能、パフォーマンス急上昇で新時代
「LED照明の使い方」
最新!省エネ照明活用法
高効率照明の選び方
LED関連補助金一覧