行政情報/バイオマスタウン加速化戦略


バイオマスタウン構想加速へ戦略骨子案
収集運搬市場拡大、排出量取引導入も

13の具体的方策(案)

「『バイオマスタウン加速化戦略』の基本的考え方(案)」(以下、骨子案)が2月4日に公表された。

バイオマスタウンは京都議定書の目標達成に欠かせない事業として、さらにはエネルギーセキュリティーの確保地方経済の活性化にもつながる“救世主”として農林水産省が2004年度から推進してきた。バイオマスタウン構想の策定数は、2010年度までに300地区とする目標に対し、今年1月末時点で163地区と約5割に達しており、道半ばという状況である。しかし、バイオマスタウン構想を策定した市町村数の伸びはやや足踏み状態。本誌の約1年前の調査では、構想を策定した地区でもバイオマスの事業化については約6割が未着手だった。

こうした現状を打破するため、13の具体的方策(案)が骨子案に示された。民間企業の技術やノウハウなしに実現できない方策も多く、関連市場の拡大が期待される。

全国のバイオマスタウンの公表状況

北海道地方 北海道(24件)
東北地方 青森県(8件)、岩手県(6件)、宮城県(1件)、秋田県(6件)、山形県(7件)、福島県(5件)
関東・甲信越地方 茨城県(1件)、栃木県(2件)、群馬県(3件)、埼玉県(0件)、千葉県(5件)、東京都(1件)、神奈川県(1件)、山梨県(4件)、長野県(4件)、静岡県(1件)
北陸地方 新潟県(8件)、富山県(3件)、石川県(2件)、福井県(3件)
東海地方 岐阜県(2件)、愛知県(3件)、三重県(1件)
関西地方 滋賀県(2件)、京都府(3件)、大阪府(1件)、兵庫県(7件)、奈良県(0件)、和歌山県(0件)
中国地方 鳥取県(2件)、島根県(5件)、岡山県(4件)、広島県(2件)、山口県(2件)
四国地方 徳島県(1件)、香川県(0件)、愛媛県(3件)、高知県(3件)
九州地方 福岡県(3件)、佐賀県(1件)、長崎県(2件)、熊本県(6件)、大分県(2件)、宮崎県(3件)、鹿児島県(6件)、沖縄県(4件)


廃棄物処理業者の活躍に期待

まず注目されるのが、収集・運搬市場の動向だ。食品廃棄物や林地残材などバイオマスの多くは広く薄く分布していることから、その収集・運搬を効率化できるか否かは、バイオマス事業の成否を左右する重要な要素である。ゼロから収集・運搬システムを確立することも不可能ではないが、まとまった“量”を捌かなければならないことを考えると、経験豊富な既存の一般廃棄物あるいは産業廃棄物の収集・運搬業者に軍配が上がる。

バイオマスタウン関連でビジネス支援を手掛ける船井総合研究所環境ビジネスコンサルティンググループの下川譲氏は、「一般家庭から食品廃棄物を集める場合、効率的な収集・運搬を確立させることは当然のこと、いかに分別回収に向けた仕組みを構築できるかが市場参入のポイントとなる」と見ている。

収集・運搬業に加え、大量の廃棄物を処理してきた廃棄物処理業者の経験も、バイオマスタウン構想の実現に欠かせない要素の一つ。廃棄物処理業界にとって、バイオマスタウンの加速化はビジネスチャンスの拡大につながりそうだ。



企業に問われる提案力

一方、方策(案)に示されたカーボンオフセットの枠組み検討のゆくえも気になるところ。バイオマスタウンにある事業者が削減したCO2を他の地区の企業が購入する、排出量取引の枠組みなどを検討するとされている。

バイオマスタウン構想を策定した自治体は優先的に地域バイオマス利活用交付金を得られるが、イニシャルコストに対する補助率1/2の残りと事業のランニングコストは自治体側が調達しなければならず、構想実現の足かせとなっている。このコスト負担を緩和するため、民間資金の確保は急務だ。環境省が進める国内排出量取引制度とバイオマスタウン構想をうまくリンクさせれば、大手企業や民間金融機関の投資を呼び込むことも可能。地域経済活性化の一方策となりうるか、今後の議論に注目したい。

いずれにしても、バイオマスタウンは自治体が構想を策定してからがスタート。その自治体の体力が低下している今、構想策定を指をくわえて待っているだけでは時間が過ぎるばかり。民間企業からの事業提案への期待は大きい。その際には提案内容の質もさることながら、「補助金がもらえなくても本業との相乗効果を図りながら地域の中でバイオマスを循環させたい、という理念」(下川氏)も重要。バイオマスタウン関連市場を狙う企業は今後、バイオマス利活用策を自治体に提案し、自ら事業全体をコーディネートできるか否かの力量、そして地域への愛着が問われることになる。



「バイオマスタウン加速化戦略」の基本的考え方(案)
に示された主な具体的方策(案)

@取組事例のHP紹介

A各種メディアの活用

B環境教育への積極的参加

Cバイオマス関連技術の低コスト化、効率化(次世代バイオ燃料開発、食料と競合しないバイオマス利活用システムを対象とした革新的な技術開発など)

D収集・運搬の効率化(効率的な収集・運搬技術、システムの開発、作業道などの基盤整備、一般家庭の廃食用油を効率的に回収する工夫、ソフト的な仕組みの支援など)

E可搬型処理プラントの検討

F民間の専門技術者等の積極的活用

G表彰制度、PR機会の設置

H都道府県の参画

I都道府県レベルでの情報共有など

J評価ツールの整備(事業実施前後のCO2排出量など環境指標の客観的評価ツールの開発など)

K民間資金の確保(カーボンオフセットの今後の展開として、バイオマスタウンにある事業社が削減したCO2を他の地区の企業が購入するような枠組みの検討など)

L東アジアにおけるバイオマスタウン加速化

Mバイオマスタウン協議会(バイオマスタウン構想を策定した市町村担当者を対象として協議会を設立し、意見交換を支援するなど)

出典:農林水産省




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