東日本大震災をきっかけに、非常用電源用途を中心として、
蓄電池への関心が企業・家庭の双方で高まっています。
NECはすでに7月から容量6kWhの大型家庭用蓄電池を約250万円で
住宅メーカーなど企業向けに限定販売。ソニーは家庭用蓄電池として
300Whのリチウムイオン電池「CP―S300E(W)」を
10万円台の価格で10月に発売すると発表、
東芝やパナソニックも家庭用蓄電池への参入を公表しています。
今後の蓄電池の動きについて、東京大学大学院・宮田秀明教授は次のように見込んでいます。
「まず小型とする5~20kWhは住宅メーカーと蓄電池メーカーにより
11~12年にスマートハウスとして登場する。
中型の100kWh~1MWhは電池メーカー、気象会社、ITベンダー、
電気機器メーカーによって12年にスマート事業所やオフィスビル、マンションの電源として一部使用されるようになる。
このケースでは
ソーラー発電をより効率的に行うためその発電量の予測と電力経営を
気象会社とITベンダーが受け持つだろう。
また大型とされる1MWhは14年にも登場しメガソーラー発電所や火力発電所、ウィンドファーム、環境未来都市で積極的に利用されるようになるとする。
ここには電気機器メーカー、デベロッパー、ITベンダー、
社会システム設計会社などが絡んでくる」。
宮田教授は被災地の東北に定置用蓄電池の量産工場建設を提言する
シンクタンクの東日本未来都市研究会を6月に立ち上げ、復興と環境問題、
産業育成とエネルギー安保を同時に解決するシナリオを訴えています。
シナリオでは、量産工場は、東北にEV4万台相当にあたる1GWhの規模の
工場を建設し売上高で年間300億円、雇用で関連事業を含め2000人を
生み出そうという計画。
10 GWh まで生産規模が拡大すれば2万人の雇用に結びつくだけでなく、世界に先駆けた量産化で国際競争力もつけられるといいます。
スピーディーな開発技術競争が求められる分野だけに、
宮田教授の構想ならずとも、投資を集中させ、コストパフォーマンスの
高い次世代蓄電池を生み出すことが欠かせないでしょう。
価格的には、「将来的には、一般家庭で20kWhタイプが60万円程度で
購入できるようになるかもしれない。ソーラー発電システムなら
200~250万円で設置できるので合計300万円ほどで自家発電所ができ、
電力会社に頼らずに済むようになる」と宮田教授は話します。
蓄電池の普及はスマートグリッド構築の礎ともなるだけに、
その機能は単なる自家発電所にとどまりません。
日本企業の開発力に期待が高まります。
リチウム蓄電池開発のフジメディテックとファインフーズは、どのような停電でも一戸建住宅丸ごと一軒分の電力をカバーできるリチウム蓄電池「スーパーテラスタメル」を販売開始した。
大和ハウス工業は、10月1日、家庭用リチウムイオン蓄電池、HEMS(ホーム・エネルギー・マネジメント・システム)、太陽光発電システムを搭載したスマートハウス第一弾「スマ・エコ オリジナル」を発売する。
JX日鉱日石エネルギーは、家庭のエネルギー診断サービス事業を開始するとともに、来夏に蓄電池システムを市場投入するなど、家庭向け創エネ事業について、ソフト・ハード面でのサービスを拡充すると発表した。
関西電力は、太陽光発電所が連系する石津川変電所(堺市)構内に、蓄電池を設置して、蓄電池の充放電を利用した本格的な電力需給制御システムの研究を開始した。
武田薬品工業は、今後の電力不足に陥った場合のリスクを軽減させるために、生産拠点や研究所に、蓄電池や自家発電の設備を新設・拡充する。合計で約50億円を投資する。
ソニーは、コンパクトデザインで、簡単操作で使える家庭用蓄電池(ホームエネルギーサーバー)「CP-S300E」(50Hz出力)、「CP-S300W」(60Hz出力)を10月より発売する。
本コカ・コーラと財団法人コカ・コーラ教育・環境財団は、「コカ・コーラ 復興支援基金」より15億円を拠出し、東日本大震災の被災地の公立小中学校へ太陽光発電と蓄電池の設置費用を助成すると発表した。
積水化学工業の調査研究機関である住環境研究所は、「太陽光発電(PV)採用者 震災後の意識と行動に関する調査」を行った結果を発表した。本調査により、東日本大震災を契機に、太陽光発電を導入した住宅が、特に「蓄電池」、「節電促進メニュー」への関心が一層高まっていることが浮き彫りになった。