1979年に制定された省エネ法(正式名:エネルギーの使用の合理化に関する法律)は、工場や建築物、機械・器具についての省エネ化を進め、効率的に使用するための法律。工場・事業所のエネルギー管理の仕組みや、自動車の燃費基準や電気機器などの省エネ基準におけるトップランナー制度、運輸・建築分野での省エネ対策などを定めている。
経済産業省は、産業部門に加えて、大幅にエネルギー消費量が増加している業務・家庭部門での対策を強化するため、省エネ法の改正案を2008年の第169回国会に提出、2009年4月1日から施行されることが決定した。
最大の狙いは、全温室効果ガス排出量の3割を占め、CO2削減効果の排出量が増えている民生(家庭+業務)部門における住宅や建築物に関する省エネ対策を強化することだ。
今回の改正で、チェーン展開する流通業界や外食業界などが新たに規制対象となる。これにより、省エネ法の規制対象となる企業は、改正前の10%から、改正後には50%程度まで拡大するとみられている。
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出所:「我が国の温室効果ガス排出量の実態及び京都議定書目標達成計画について」
(平成18年10月25日 経済産業省産業技術環境局)
改正前は、2,000m2以上の大規模な住宅・建築物の場合のみ、建設時に省エネの取り組みに関する届出をする必要があった。改正法では、大規模建築物だけでなく、中小規模(300m2)の住宅・建築物もその対象となっている。
また、住宅の建築・販売を行うハウスメーカーやデベロッパーに対しても、省エネ性能の向上を促す内容となっている。加えて、販売業・賃貸業を行う事業者は、住宅・建築物の省エネ性能の表示を行うなど、顧客への情報提供に努める必要がある。
@対象:
床面積の合計が2,000m2以上の大規模な建築物
A内容:
対象建築物は「特定建築物」に指定され、新築、大規模改修を行う際、所管行政庁に対して省エネ措置の届出をする必要がある。
また、維持保全状況を定期的(3年ごと)に報告しなければならない。
@対象:
現行法の対象となっている大規模建築物、及び一戸建ての住宅
A内容:
大規模建築物:
届出の際の省エネ措置が不十分な場合、所管行政庁は改善命令を下すことができ、従わない者に対しては罰金を科す(100万円)。
一戸建て住宅:
住宅事業建築主に対して省エネの向上を促す措置を導入し、省エネ性能の見える化なども推進する。
@対象:
中小規模の建築物(床面積合計300m2以上)
A内容:
新築の際、所管行政庁に対する省エネ措置の届出と、定期報告が義務付けられる。
改正前は、事業所や工場ごとに、年間エネルギー使用量が1,500kL以上の場合にエネルギー管理などの義務を課していた。改正後は、対象が事業者単位に変更され、企業全体のエネルギー使用量が1,500kL/年以上であれば、規制対象となる。
例えば、スーパーやコンビニなど、店舗ごとにみるとエネルギー使用量が多くない場合、これまでは規制対象となることはなかったが、改正省エネ法の施行によって、企業全体として管理する必要が出てくる。
管理が事業者ごとになるため、事業者(企業)単位でエネルギー管理の責任者の選出、定期報告などが義務付けられる。
@対象:
燃料・熱・ガス・電気などのエネルギーを一定規模以上使用する工場や事業場。
エネルギー使用量(原油換算値)が3,000kL/年以上の場合、
第一種エネルギー管理指定工場、1,500kL/年以上の場合、第二種エネルギー管理指定工場となる。
A内容:
エネルギー管理指定工場ごとに、エネルギー管理者・管理員を選任し、
エネルギー使用状況等の定期報告書や中長期計画書の提出、設備ごとのエネルギー管理などを、工場・事業場単位で行う。
@対象:
工場や事業場単位でなく、企業全体のエネルギー使用量が1,500kL/年以上の企業。本社、工場、支店、営業所に加え、コンビニエンスストア等のフランチャイズチェーンも対象となる。また、エネルギー管理指定工場の指定については、現行法が引き継がれる。
A内容:
対象となる企業は、国への届出を行い「特定事業者」の指定を受ける。フランチャイズチェーンの場合は、本部が「特定連鎖化事業者」の指定を受けることとなる。その上で、企業単位でエネルギー管理統括者とエネルギー管理企画推進者を1名ずつ選任し、定期報告書・中長期計画書の提出をすることが義務付けられる。エネルギー管理指定工場ごとの定期報告・中長期計画書の提出も、企業単位の提出となる。
これに伴い、企業全体でのエネルギー使用量の把握を、平成21年4月より行う必要がある。期間は平成21年4月1日〜平成22年3月31日。その結果、エネルギー使用量が1,500kL/年以上の場合は、平成22年度に経済産業局へ届け出る。届出をしなかった場合、または虚偽の届出をした場合は、50万円以下の罰金が科せられる。
また、エネルギー使用効率を毎年1%以上改善するよう、努力義務が定められているため、毎年その値を算定し、報告する必要がある。
省エネ法でのエネルギーは、燃料、電気、熱を指し、廃棄物からの回収エネルギーや、風力・太陽光発電などによる自然エネルギーは対象外。
1. 燃料
・原油及び揮発油(ガソリン)、重油、その他石油製品(ナフサ、灯油、軽油、石油アスファルト、石油コークス、石油ガス)
・可燃性天然ガス
・石炭及びコークス、その他石炭製品(コールタール、コークス炉ガス、高炉ガス、転炉ガス)
・燃焼、その他の用途に供するもの(燃料電池による発電)
2. 電気
・1の燃料を使った電気
※対象外:1の燃料を起源としない太陽光発電、風力発電、廃棄物発電などの電気
3. 熱
・1の燃料を熱源とする熱
※対象外:1の燃料を熱源としない太陽熱及び地熱などの熱
エネルギー管理統括者
中長期計画の作成を行うほか、各現場の情報を総合して、事業者全体として一貫した管理が行われるようエネルギー管理業務を統括する者。事業全体の鳥瞰的なエネルギー管理を行える者が担う。
エネルギー管理企画推進者
エネルギー管理統括者の補佐を行う。エネルギー管理員講習修了者か、エネルギー管理士の資格を有する者でなければいけない。
定期報告書
特定事業者が、毎年度7月末(平成22年度は11月末)までに提出する書類。省エネに関する年度ごとの報告事項を記入する。「事業者全体の報告」部分と「特定事業者が設置するエネルギー管理指定工場等ごとの報告」部分から構成される。
中長期計画書
特定事業者が、毎年度7月末(平成22年度は11月末)までに提出する書類。省エネに関する今後の具体的な取り組みや期待される効果を記入する。
改正省エネ法の施行で、対象となるのは、「使用エネルギー量が原油換算で1,500kL/年」以上の事業者だが、具体的には、どの程度の規模の事業者が対象となるのだろうか。その目安は以下の通り。
■電気代でみた場合
全店舗・施設・営業所の電気代合計が、800万円/月
→ほぼ間違いなく対象
■業態でみた場合
・コンビニエンスストアなら30〜40店舗
・ファストフード店なら25店舗
・ファミリーレストランなら15店舗
・居酒屋、スーパーマーケットなら8店舗
・スポーツクラブなら8店舗
・ホテルなら300〜400室
・病院なら500〜600床
→これ以上であれば、対象となる可能性が高い
※経済産業省の資料などをもとに作成
省エネ法の改正で大きく変更された点のひとつが、各種届出書・報告書の提出や、エネルギー管理者の選任が「義務化」された、ということ。これらに従わなかった場合、あるいは虚偽の届け出をした場合には、罰則として罰金が科せられることになる。
また、対象事業者が省エネルギー化への取組みを行っていない、あるいは判断基準に比較して不十分である、と判断した場合、国は事業者に対して、改善命令を出すことができる。更に、改善命令に従わない場合は、罰則として、名前が公表される・罰金が課せられるなど、厳しい対応を迫られることになる。
■改正省エネ法に違反した場合の罰則
・エネルギー使用状況届出書
届出をしなかった、虚偽の届出をした場合 → 50万円以下の罰金
・定期報告書・中長期計画書
届出をしなかった、虚偽の届出をした場合 → 50万円以下の罰金
・エネルギー管理者
選任・解任の届出をしなかった、虚偽の報告をした → 20万円以下の過料
選任しなかった → 100万円以下の罰金
■「年1%」のエネルギー使用効率の改善が達成できなかった場合の罰則
達成できなかった場合の罰則は、基本的にはない。
ただし、判断基準の遵守・省エネ化への改善策が極めて不十分である場合は、
1. 行政による報告徴収や立ち入り調査
2. 結果により、エネルギー使用の合理化計画の作成「指示」
3. 指示を守らない場合に企業名を「公表」
4. 従わない場合に「命令」
5. 更に、100万円以下の罰金を科せられることもある
すぐ効く運用改善と補助金活用法
「改正省エネ法対策」
補助金活用事例
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「見える化」の進め方
7月31日の提出期限間近
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・行政情報/改正省エネ法
・東京都環境確保条例のポイント
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過去、取り上げた内容は下記の通りです。
・(2010/11/30) あの会社の"上手い"省エネ方法を公開!
・(2010/07/06) 改正省エネ法の届出書提出〆切が間近!省エネ対策はどうする?
・(2010/03/30) 「改正省エネ法」「東京都環境確保条例」の違いとポイント
・(2009/03/03) 省エネ法改正間近!省エネ新製品が目白押し
・(2008/07/22) 間に合うか?CO2 -6%に向けて動き出した「オフィスビルの省エネ」
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