新型蓄電システム「EIBS(アイビス)」日米同時発売

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田淵電機は、太陽光発電・蓄電池両方に使えるハイブリッドパワーコンディショナと、蓄電池ユニットがセットになったシステム「EIBS(アイビス)」をこのほど日米で同時発売した。太陽光発電と深夜の安い電力のベストミックスを可能とし、停電時には3日間の日常生活ができる容量を備えた。

太陽光とリチウムイオン蓄電池が連動

田淵電機株式会社 常務執行役員 パワーエレクトロニクス事業推進本部統括 坂本幸隆氏
田淵電機株式会社 常務執行役員
パワーエレクトロニクス事業推進本部統括
坂本 幸隆氏

太陽光発電用パワーコンディショナ(パワコン)の開発を手がけ20年、住宅用パワコンの累計出荷実績は4.7GWとなる同社。2011年、「創エネ」「省エネ」「蓄エネ」でエネルギー課題のソリューションを提供するブランド「EneTelus(エネテラス)」を立ち上げた。今回発売した「アイビス」では、不安定な太陽光発電をいかに使いやすくするかをテーマに、太陽光発電とリチウムイオン蓄電池のパワコンを一体化。太陽電池とリチウムイオン電池を連動させることにより、太陽光発電をベースとしながら、電力会社の電力とミックスして使うことにより、平常時だけでなく停電時も電気を効率的に活用できるようにした。 

3日間の停電に備え10kWh級に

「アイビス」では、状況に応じて経済性の高い「ノーマル」、系統からの買電を極力抑える「節エネ」、万一に備えて常に満充電状態にする「蓄電」の3つのモードが使い分けられるようになっている。

実証実験グラフデータ(節エネモード)

実証実験グラフデータ(節エネモード)

最も使われる「ノーマルモード」は、昼間の太陽光発電中は家庭内で使用した以外の余剰分を売電し、家庭内の負荷電力が高くなる夕方は負荷相当分の放電をする。料金の安い深夜の時間帯は電力会社から電気を買って、余剰分は充電をする仕組み。年間の最大需要電力を抑え、需要を平準化、契約電力を低く設定することで料金を下げることができる。さらにクラウドの遠隔監視サービス「EneTelus-cloud(エネテラスクラウド)」が利用可能で、発電・充放電の状況がストリング単位で細かくチェックできる。今後は「パワコン見守りサービス」へ発展させ、オプションで保守サービスを展開していく予定だ。

蓄電池は国内メーカー製リチウムイオン蓄電池を採用し、屋内型ユニットとした。コンパクトながら9.89kWhと十分な容量を装備。温度のばらつきが少ない屋内に置くことで長く効率的に使えるという。「阪神大震災と東日本大震災の経験で、災害発生から3日目には電気が復旧することが分かりました。最低限の日常生活で使う3日分の電気は供給できることを考えました」と同社常務執行役員、パワーエレクトロニクス事業推進本部統括の坂本 幸隆氏は説明する。アイビスは満充電の状態で、照明、冷蔵庫など蓄電池からの給電のみで3日程度使用でき、太陽光発電と組み合わせると継続して電気が使用できるという。

「EIBS」システム 設置・接続イメージ図

「EIBS」システム 設置・接続イメージ図

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逆潮流制御機能で一歩リード

同社は「アイビス」の発売に先駆けて、すでに2012年から燃料電池もしくは蓄電池と太陽光発電を連携させたシステムを他社にOEM供給してきた。開発を行う上で課題となったのは、蓄電池に貯められた電力が電力会社の電力系統に逆流しないこと。家庭での消費電力より太陽光で発電された電気の量が上回ると、その余剰電力は電力会社側に流れる設定になっているが、燃料電池、蓄電池ではそれが認められていない。同社では製品の開発を進める中で、独自の逆潮流制御機能を開発。これは日本市場で大きなアドバンテージになっており、米国においてもパワコンの系統連系にかかわる安全規格(UL・CSA)を他社に先駆けて今年4月に取得するなど、北米市場でも先行している。同社では北米の寒冷地や離島の住宅を対象に日常生活における売買電および蓄放電のデータを集約し、ネット・ゼロ・エネルギーハウスの実現性も検証している。「こうしたデータは北海道や沖縄での事業展開にも応用できます」と坂本氏は将来の広がりについても期待を寄せる。懸案になっている出力制御ルールの問題についても対応は万全だ。

「今後は、住宅用から産業用、さらには大規模発電用までを扱うオールラウンドプレーヤーのポジション確立を目指します」と意気込む坂本氏。ニーズを考え開発された「アイビス」は、市場での存在感をますます増していきそうだ。

【「EIBS(アイビス)」について】
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田淵電機株式会社 田淵電機株式会社
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ニッセイ新大阪ビル


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