電力自由化・地域エネルギー事業プロジェクト研究 第3期研究生の村井 哲之氏が、プロジェクト研究という場を通して「何を学び、何を考え、何を実践し、何を得たか」を書き連ねるスーパーライブコラム。前回は食品リサイクル法の改正により、食品スーパーから排出される生ごみを原料として発電する循環型エネルギービジネスが実現可能になった背景を紹介した。今回は特別号として電力小売事業を有意義なものとするため、販売形態と収益構造の解説を行う。
本来なら今回は10年前の「電気」の“見える化”に続く、「廃棄」の“見える化”との衝撃の出会いの話をする予定でしたが、次号にさせて頂きます。事業構想大学院大学の研究員としての学びの成果として、ここで読者の皆様に自らの気付きに基づき、“急ぎ”、“強く”伝えたいことが出てきました。
「デマンド制」あってこその「新電力ビジネスモデル」であることを知る
年間電気代数十億円の流通小売業は、削減提案を持ってきた新電力に切り替えても電気代が安くなるどころか、上がる可能性があるということで一旦検討を止めました。その理由を下記の仮定をもとに紹介します。
リアルなデータで書き出します。食品スーパーマーケットチェーンの郊外店舗をイメージしてください。(全て税抜)
- 契約電力 300kW 年間使用電力量 1,400,000kWh
- 契約電力単価 1,800円/kW 電気使用量単価 17円/kWh
- 一般電気事業者の特別割引 電気使用量の6%
年間電気代総額が数十億円もあれば、これくらいの条件を10大電力会社は出しています。さて、ここが新電力への切り替えを検討し始めた場合、新電力はどういう条件で、どのような見積りをもってくるでしょうか?
負荷率が50%前後の食品スーパーですから、見積りを出せるのは大手新電力に限られます。少し前までは「部分供給」での提案でしたが、競争が激化している今は新電力も全量供給できます。
おそらく、以下のような内容の見積りを持ってきます。
契約電力単価 700円/kW(▲61.1%)電気使用量単価 18円/kWh (5.9%UP)