資金力と人材力で太陽光発電の未稼働案件に対応 FIT24円で案件実行が可能

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ジャパン・リニューアブル・エナジー(JRE)は、2012年にゴールドマン・サックスグループ関連会社の出資を得て設立。国内で太陽光・風力発電事業を展開し、バイオマス発電も計画している。常務執行役員 電源開発本部長の指宿 正氏に、2017年3月末に失効する太陽光案件の状況や同社が展開する案件買取り事業などについて話をきいた。

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同社は、2016年5月現在、太陽光109MW、風力16MWの稼働済発電所を所有。今年度は新たに太陽光150MW、風力29MW、バイオマス24MWを建設予定している。2020年までに合計1GW超の発電所を建設・運営することを目標としており、積極的に新規開発をおこなっている。内訳はおおよそ太陽光500MW、風力440MW、バイオマス他で60MWを検討する。「2020年に向けて従業員も引き続き増やしていく計画で積極的に募集を行っています」と指宿氏。

JREの強みは大きく分けて資本力と人材力の2つがあるという。「資本力に関しては自己資金200億円をベースにプロジェクトファイナンスによる融資を受けることで大きな事業資金を生み出すことが可能です。プロジェクトファイナンスによる資金調達は高度な専門知識が必要となりますが、当社は金融機関でのストラクチャードファイナンス経験を有するスタッフ等が銀行交渉を担当、これまで全案件でプロジェクトファイナンスを組成し、総額は500億円超の実績があります。また電気・機械・土木系の技術者に加え、太陽光・風力・バイオマスの各業界経験者も在籍しており、発電所建設用地の選定・EPC業者との交渉等において専門知識を活かすことにより案件開発スピードを上げることが可能です」と指宿氏は強みを語った。同社では、潤沢な資金と専門知識を活かして2017年3月末に失効する太陽光案件の買取り事業に力を入れている。

2017年3月末の太陽光案件失効に向けて、案件買取りを強化

「2015年12月時点で設備認定を取得しているが稼動していない案件が1MW以上のクラスでも32GW存在しており、2017年3月に権利失効する量もそれなりになることが想定されます。その中には立地条件は優れているが下記のような理由で案件開発が進んでいないケースが散見され、当社ではそのような案件の査定・買取りを積極的に実施させて頂いております。立地条件の良い案件に関しては太陽光モジュールメーカーの変更、配置計画の最適化などを実施、結果としてFIT単価は24円に低下してしまいますが、当社はその場合でも案件を実行することが可能です」と、指宿氏は同社の取り組みを語った。

案件が停滞している主な理由当社提案買取単価の変更
1 太陽光モジュールメーカーの銀行与信が低く融資が受けれない パネルメーカーの変更 24円/KWhへ変更
2 案件規模が大きく事業資金が不足 案件の継承、共同事業化 既存FIT単価のまま継承
3 パネルレイアウト不備(過剰パネル配置にて実行不可) レイアウトのやり直し 24円/kWhへ変更
設備仕様変更により買取価格を24円に変更して案件実行する場合の予想スケジュール
設備仕様変更により買取価格を24円に変更して案件実行する場合の予想スケジュール
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FIT単価24円以下も案件実行

資材コスト削減 × 最適設計力 × ファイナンス力
  1. ソーラーフロンティア社と戦略的パートナシップ
  2. 国内外パワコンメーカーとのアライアンス
  3. 架台等資材一括調達によるコストダウン
 
  1. 大手ゼネコン出身技術者による、土木計画の最適化
  2. 大手電機メーカー&EPC出身技術者によるレイアウト最適化
  3. 最先端技術の導入検討(1500V、追尾式など)
 
  1. 自己資金(+準備金) 200億円
  2. ファイナンス専門家チームによるプロジェクトファイナンス組成

1)資材コスト低減

  • ソーラーフロンティア社との協業により、実発電量が高く、経年劣化率の低い太陽光モジュールを戦略的価格にて調達することにより発電所建設コストを下げ、実発電量を増加させることが可能
  • また発電所に使用するパワコン、受変電設備などの機器類、架台、ケーブルなどの資材を統一規格として一括購入することでコスト低減を図る

2)発電所最適設計と最新技術の積極活用

  • 太陽光発電所建設のボトルネックになる林地開発、大規模造成に関して、コストを最小限に抑えつつ、土砂崩れ防止などの安全性を如何に担保するかという命題に対して大手ゼネコン出身技術者が専門知識を活かした造成設計を実施
  • 傾斜地への太陽光モジュール設置に関しては、大手電機メーカー出身技術者、EPC出身技術者により、発電量低下を極力抑えるような最適レイアウト設計、パワコン等の選定を実施。また更なる高電圧(1500V)化、太陽光追尾などの最先端技術の採用に関しても積極的検討を実施し、より高効率で低コスト発電所の開発にチャレンジ
  • 特高発電所における送電線ルート計画においても、電力会社に任せきりにするのではなく、電機・電設出身の技術者によりコストと工期の両面において最良となる案を自社検討

3)ファイナンス力

  • ファイナンス専門チームによる綿密な事業計画により迅速にかつ、好条件でプロジェクトファイナンス組成が可能、また無制限抑制案件に関しても対応が可能

同社では以上のような取り組みを実施することでFIT単価24円以下でも案件実行が可能だという。「当社の資金力、人材力で、太陽光発電の失効案件も稼働させ、日本の再生可能エネルギーの勢いを止めることなく、さらに拡大していきたいと考えています」と指宿氏は今後の抱負を語った。

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