省エネハウスの普及に向けて 自然エネルギーとテクノロジーを融合

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茨城県で10年以上前から、オール電化や高効率システムを利用した省エネ住宅を提案してきた不二建設。ZEHビルダーとして2020年度までに、受注の60%をZEHとする目標を掲げている。ZEHに欠かせないのが太陽光発電システム。不二建設の目指すZEH普及の一役を担う重要なパーツだ。

高い品質を保持しながらコスト低減をはかる

不二建設は、1993年の設立以来、一貫して高性能住宅の施工を行ってきた。不二建設の提唱する高性能住宅とは、断熱性・気密性・日射遮蔽などを強化し、自然エネルギーの活用や省エネ設備の導入などにより、快適かつ経済的で、長く使い続けることのできる家だ。

茨城県龍ヶ崎市に本社を構える不二建設株式会社
茨城県龍ヶ崎市に本社を構える不二建設株式会社

「日本の住宅の省エネルギー基準では、1999年に定められた「次世代省エネルギー基準」が最も新しいが、不二建設の家づくりは、この基準をクリアするものを標準としている。不二建設営業部の桜庭義海部長は「ZEHの基準を視野に入れた場合、家の断熱性能をしっかりと確保することが重要となります」と話す。

特に窓の断熱に力を入れており、アルミサッシが標準の時代から既に樹脂タイプを採用。相対的に断熱性の悪い窓の断熱強化が、エネルギーの効率化に最も大きく寄与すると考える。

また、自然エネルギーの活用では、会社設立当初の太陽光発電設備が3kWで約700万円した頃から太陽光発電を提案してきた。「設立当初から性能にこだわった家を提案してきました。太陽光を入れることによってゼロエネルギーに近い家を造ることを目指してきたのです」。昨年、受注した物件の約半数に太陽光発電を設置したという。

2050年型低炭素住宅

(左)不二建設株式会社 営業部 部長 桜庭義海 氏 (右)不二建設株式会社 営業部 課長 吉田基生 氏
(左)不二建設株式会社 営業部 部長 桜庭義海 氏 (右)不二建設株式会社 営業部 課長 吉田基生 氏

不二建設は1997年、P.V.ソーラーハウス協会を設立した。P.V.ソーラーハウス協会では、「2050年型低炭素住宅」を目指した取り組みを進めている。「2050年型低炭素住宅」とは、住宅の高断熱化、設備の高効率化、太陽光発電などの自然エネルギーを最大限に活用し、「エネルギーゼロ」、「CO2排出ゼロ」、「光熱費ゼロ」のトリプルゼロを実現するソーラーハウス。2050年時点でも十分に資産価値のある長寿命住宅、温暖化対策住宅として、全国への普及を目指す。

協会の活動と合わせ、不二建設では、P.V.ソーラーハウスシステムを提案している。同システムは、日本の住宅性能に起因するヒートショックを防止するため、24時間の全館冷暖房を前提とし、温熱環境と空気環境の充実を図る。太陽光発電、エコキュート、IHクッキングヒーター、パッシブ蓄熱、高性能エアコンなどを組み合わせ、快適さと経済性、環境性を両立させる。

この省エネシステムは、一般社団法人 環境共創イニシアチブによる補助金(高効率エネルギーシステム推進事業等)の利用も可能だ。また、2050年型省エネ住宅のモデルプランなども構築。自然エネルギーの積極的な利用と先進の技術を融合し、大幅なCO2削減と、新たな住宅の提案を目指す。

標準的でも省エネな家

「高くていいものではなく、手の届くもので性能を担保するのが基本的な考え方です」。省エネ住宅、ZEHに欠かせないのが、自然エネルギーとしての太陽光発電設備だ。住宅全体としての性能、コストなど、トータルバランスを考えたうえで使いやすいのが、トリナ・ソーラーのモジュールだという。

トリナ・ソーラーの太陽光パネルは、屋根のスペースを最大限に活用するよう設計されているのが特長だ。スペースが限られた条件下でも投資収益性(ROI)が最大になるよう設計されているため、たっぷり発電することができる。実際に、トリナ・ソーラーのパネルを設置したユーザーからは、事前の発電シミュレーション結果よりも、多くの発電をしていると好評だという。

太陽光を設置するのは30代くらいの顧客が多い。去年、一昨年くらいからは、あえて提案しなくても「太陽光を」という顧客が増えてきているという。「社内でもZEHに対する意識が高まっています。ZEH=太陽光発電という発想になりますから、性能と予算を合わせて考えると、トリナ・ソーラーを進めることが多くなると考えられます」。不二建設は、ZEHビルダーとしてZEHにはこだわっているが、ZEHだけにこだわっているわけでもない。

「トータルバランスの中で標準的に造る家の基本性能が高い。世の中で言われる〈いい家〉の基本性能は当然、全て満たしている。結果的にいい家だけれども、特別な家ではなく、普通の家だというレベルで、ZEHに限らず、省エネハウスを普及させていきたいと考えています」

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