原子力発電の廃炉費用の問題が世間を賑わせています。この廃炉費用が託送料金に上乗せされ、新電力(正確には新電力と契約している電力消費者)にもその料金が課せられるという議論が進行中です。この議論に対して、すでにさまざまな立場からさまざまなコメントや批判が出回っていますが、ここでは本コラム連載でこれまでたびたび取り上げてきた市場の「公平性(フェアネス)」の観点から、何が本質的な問題なのかを分析したいと思います。
まず、少し肩の力を抜くために、この問題を野球やサッカーのようなスポーツ観戦に例えてみます。一国の将来を左右するエネルギー問題をスポーツ観戦に例えるのは「如何なものか」というご意見も頂きそうですが、筆者自身は現在のように荒れたエネルギー論争の方がむしろ「如何なものか」という状態だと思っています。何がフェアネスかを再確認するには、スポーツマンシップに学ぶのが一番です。