新電力で「自社の強み」を活かしたビジネスモデルを構築

  • 印刷
  • 共有

電力小売全面自由化で特高・高圧分野でも新電力のシェアが伸びる。代理店営業で手数料を得るとともに、本業のドアノックツールにも。電力自由化によって拡がるビジネスチャンスについて、ITとエネルギーを融合させたビジネスを提唱し、近著に『3時間でわかるこれからの電力業界』、『1時間でわかる電力自由化入門』等がある株式会社リミックスポイント 社外取締役 江田健二氏(一般社団法人エネルギー情報センター理事)に話を聞いた。

※電力業界のこれからについて、江田氏が講演したセミナー資料を環境ビジネスオンライン限定で無料公開をしています。

こちら、もしくは文末より資料ダウンロードできます。

▲「電力業界の今後のビジネスチャンス」 セミナー資料

新電力営業活動はキーマンへのドアノックツール

――特別高圧・高圧分野で新電力のシェアが1割を突破しました。

江田 まだ1割ですが、逆に言えば、7.5兆~8兆円規模の市場の9割が手つかずで残されているということです。コンビニエンスストアの市場規模が10兆円なので、その大きさに近い市場が目の前に開かれています。

しかも、シェア1割の内訳は、2000年代初頭から電力事業に参入した、いわば新電力老舗企業が、関連先の企業・団体等を開拓したもので、現状は多くの高圧需要家が、新電力への切り替えをようやく検討し始めたという段階です。

今後5年ぐらいの間に、新電力のシェアが3割ぐらいに拡大するとみています。

ただハードルとなっているのが、いまだに既成概念に捕らわれ、電力会社を切り替えることに不安感を抱いている需要家がいることです。

しかし、今後電力会社同士の競争が激しくなり、現在、通信キャリアが絶えずテレビCMを流しているように、新電力の広告やCMが日常的に流れるようになれば、そうした不安は払拭されると思います。

また、電力の代理店事業へ参入することは、本業のビジネスを拡充することにもつながります。

江田健二氏

株式会社リミックスポイント
社外取締役 江田健二氏

たとえば、省エネ商材を扱う事業者が新電力会社と代理店契約を結ぶ。すると、事業者にとって、新電力の営業活動が、じつはお客様へのドアノックツールとなる。新電力提案と組み合わせて、LED、空調、EMS等の省エネ商材を活用する提案を、お客様のキーマンまで届ける機会を作り出すことができるのです。お客様側としても、新電力提案はイニシャルコストをかけることなく電気料金を削減できるという話であり、リスクはほとんどない。しかも電力自由化は旬の話題であり、興味のあるテーマでもあります。

IT系や小売関連等、様々な業種で培われたノウハウが活かされる

――商材・サービス提供等、お客様と何らかの接点をもつ事業者であれば、インバランスなど新電力の知識や経験がなくとも新電力事業や代理店事業に参入できるということですか。

江田 現在、登録された小売電気事業者は約350社にものぼり、電力供給プランの幅も広がっています。たとえば、低圧小売では、お客様と密な接点をもつ東京ガス、大阪ガスなどが数字を伸ばしています。

高圧の場合でも、自社がそうした密な接点をもっていれば、ビジネスチャンスがあります。また、東急パワーサプライのように地域を限定し東急沿線エリアにターゲットを絞る「地域・エリア密着型」も、当初の目標を上回る実績をあげています。つまり、全国区で代理店営業を展開しなくても、地域を絞って深掘りすることで成果をあげることも可能ということです。

それから、今後は、料金プランを柔軟に考えることでもっと魅力のある提案が出てくると思います。たとえば一人ひとりが契約するのが当たり前であった携帯電話では、家族割や友達割のサービスプランがあるように、遠く離れた家族と電力会社を統一して割引き優遇を受けるなど可能になってくると思います。

オーストラリアでオンライン電力小売りを手掛けるパワーショップという電力ベンチャーは、料金の先払いプランや後払いプランも用意しています。

つまり、既存の、たとえば20円/kWhに対抗し、「ウチは19.5円/kWh!」というような価格競争を脱して、IT系、小売関連、通信関連、生協等のように様々な業種で培われたノウハウが盛り込まれたサービスがどんどん出てくるでしょう。

代理店がお客様のニーズを把握し、電力事業で拡がるサービスを反映させた、美容院向け、飲食店向け、病院向けなどのプランがあってもいいと思います。

▲「電力業界の今後のビジネスチャンス」 セミナー資料

バナー広告に関するお問合せはこちらまで!
株式会社リミックスポイント(東証二部上場)
特設ページ「省エネ営業 提案のコツ」公開中

次ページ →電気を売るだけでなくプラスαの付加価値を創出