水素エネルギー社会の実現に向けて

Power−to−gas技術による再生可能エネルギー由来水素の活用可能性(第2回)

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固定価格買取制度や設備導入補助金等の政府各府省庁による経済的支援を背景に、急速に導入が進んでいる水素についても、製造でのCO2排出量を削減する必要性が指摘されており、これらの双方の課題を解決する技術としてPower−to−gas技術に注目が集まっている。本稿では、2015年度~2016年度にかけ、経済産業省資源エネルギー庁の水素・燃料電池戦略協議会の事務局運営を支援していた野村総合研究所の副主任コンサルタントである佐藤弘幸氏に、同技術の活用可能性について、現状を踏まえつつ展望してもらった。

本コラム第1回で述べたように、昨今では再生可能エネルギーについては局所的な大量導入により生じる各種系統問題の解決が、水素エネルギーについては製造段階からのCO2排出量削減が求められており、その解決手段としてPower-to-gas技術が期待されている。再生可能エネルギー関連では、発電設備の導入を後押しした固定価格買取制度(以下「FIT」という。)が複数回見直されている他、ピークシフトを促す仕組みとして需要サイドからのアプローチであるネガワット取引市場が2017年4月1日に開設される等、様々な政策面での対応策が従前から検討・実施されている。一方、水素エネルギーについてはアプリケーションの導入促進を主眼に規制緩和や補助金の導入が行われているが、これまでは利用する水素自体を低炭素化するための具体的な政策の検討や取組はあまり見られなかった。しかし、昨年度より、経済産業省資源エネルギー庁の水素・燃料電池戦略協議会の下に組成されたCO2フリー水素ワーキンググループを中心に、政府各府省庁が主導する複数の協議体が活動を開始した。また、技術開発予算が計上されて複数の実証試験も各地で行われはじめる等、低炭素水素の導入・普及に向けた制度・政策面での動きが加速している。

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