「ポストFIT時代を牽引する」注目企業の次なる一手は

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SUNGROWはいまや世界の太陽光発電市場をリードするグローバル企業。中国のみならず世界でも高いシェアを持つ同社は、日本市場を強化する方針を発表。とくにコストパフォーマンスの高いパワコンを中心として、SAMSUNGと合弁会社を設立し、次世代蓄電池・監視システムなど研究・開発。新しいソリューションでも攻勢をかけようとしている。

上海で開催された世界最大級の太陽光展示会「SNEC2017」に参加していた環境ビジネス編集部は、同社の強みや今後の展開について話を聞いた。

研究開発力に強み

1997年に中国で設立されたSUNGROW。これまで中国市場の急速な発展とともに、同社は太陽光発電事業を中心に着実に成長。直近では2016年に、グローバルでの太陽光発電出荷量11.2GWを達成。設立20年目を迎える現在、世界の太陽光発電市場をリードするポジションを確立するまでになった。

同社は太陽光発用インバーターやエネルギーストレージソリューション事業を展開しているが、強みとしているのは「研究開発力」だ。もともと創業者で会長の曹仁賢氏は、元々は大学の教授で、太陽光発電向けの部品や設備の研究開発からスタートした経緯がある。現在、全従業員1800人のうち実に35%以上の従業員が研究開発に従事。太陽光関連からエネルギーストレージソリューションまで、多様な製品、システムの研究開発に注力している。

Sungrow 本社(中国・合肥)
SUNGROW 本社(中国・合肥)

国内では、浙江大学、合肥工科大学、中国電力技術研究所等の政府系研究機関との共同研究を推進。国外でも、北米、南米、EMEA、アジア太平洋、アフリカ地域で16拠点を持ち、それぞれの地域、国々の電力事情や様々な規格に対応できる製品開発をグローバルに展開している。

また、545件の特許を取得し、その内の139件は2016年に取得したものだ。「全世界の太陽光発電市場に対応できる技術力を我々は持っている」とSUNGROW 副会長 趙氏は自負する。

SUNGROW 副社長 チョウ氏
SUNGROW 副会長 趙 為氏

SUNGROW×SAMSUNG 次世代蓄電システムを共同開発

アジア最大級の規模で展開された太陽光展示会「SNEC2017」にSUNGROWも出展。1階は製品展示スペース、2階は商談ブース分かれており、大勢の人でにぎわいを見せていた。

印象に残ったのは20フィートのコンテナに産業用パワコンシステムを一式詰め込んだパッケージソリューションだ。空調設備が不要で、設置や保守メンテナンスが容易なため、運用と保守のコストを大幅に低減。また、初期投資を低く抑え、かつ自由度の高い設計も可能になるという。

展示会は主に中国市場に向けた展示ということで、日本ではまだ本格的に導入がされていないSUNGROW社製のモジュールや、蓄電池なども展示されていた。これらの製品の日本発売の可能性を趙氏に聞くと「審査をクリアできたら、ぜひ発売したい」と語っていた。

「SNEC2017@上海」SUNGROWブースの様子
上海で開催された「SNEC2017」SUNGROWブースの様子

また、編集部はSUNGROWの本社工場も見学した。まず驚くのは何よりも工場の規模が非常に大きいこと。工程ごとに分かれており、工場内は近代的な設備を完備。製造ラインはほとんどオートメーションで構成されており、一部電子部品の組み立てや最終チェックなどの作業に専門職が投入されている。

同じ場所に本社が建てられており、屋上に上がらせてもらい見渡してみて驚いた。全ての工場・ビルの屋根には太陽光パネルが搭載され、なんとその量は4.1MW。自社製品開発や他社製品との比較など、様々な研究開発に活かされているという。

SUNGROW 本社工場 屋根上に広がる6MWのメガソーラー
SUNGROW 本社工場 屋根上に広がる4.1MWのメガソーラー

本社工場のほど近くに、蓄電池の製造開発をメインとしたSAMSUNGとの合同工場を建設。この工場では、主に自家消費向けの蓄電池を製造開発していくという。趙氏は「この工場は、蓄電池における世界戦略の旗艦としていきたい」と語った。

次世代の蓄電システムを開発する「SUNGROW SAMSUNG」工場
次世代の蓄電システムを開発する「SUNGROW×SAMSUNG」工場
次世代の蓄電システムを開発する「SUNGROW×SAMSUNG」工場
SUNGROWが製造開発する蓄電システム。日本への本格展開はこれからだ。
SUNGROWが製造開発する蓄電システム。日本への本格展開はこれからだ。

今後SUNGROWは、グローバル、日本市場ともに自家消費市場に目を向けて、注力していきたいとしている。趙氏は「日本は原子力発電が止まっており、電力供給に問題を抱えている。我々は太陽光発電に関するソリューションをフルラインでそろえており、日本市場では特に住宅向けのパワコンや蓄電池ソリューションを展開していきたい」と説明。すでに、準備している蓄電池については、日本市場の最安値の競合製品に比べても、非常に安価な価格設定を見込んでいる模様。「競争力のある良い製品を普及させることで、地球環境全体への貢献を目指したい」と意気込みを語った。

※「製品スペック一覧」を環境ビジネスオンライン限定で無料ダウンロードできます。

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