FIT買取価格18円 ― 仮になっても事業性を担保する太陽光発電所開発

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約10年前に太陽光発電事業に参入し、それまでの主要事業であった建設・土木工事業でのノウハウやネットワークを活かして架台メーカーとしての地位を確立。その後、顧客ごとのニーズに呼応する提案を行うことで、EPC・ディベロップメント事業、ZEB事業など多岐にわたる分野において積極的な事業展開を行い、今後の再エネ業界を牽引する存在へと成長してきた。

多岐にわたる事業で太陽光発電市場を牽引

株式会社大辰 環境設備事業部 営業本部長 五角哲司氏(ごかく・てつじ)
株式会社大辰 環境設備事業部
営業本部長
五角哲司氏(ごかく・てつじ)

2008年に太陽光発電事業に参入した大辰は現在、架台、EPC・ディベロップメント事業、海外事業、ZEB事業など、再エネを軸とした多岐にわたる分野において積極的な事業展開を見せている。

建設・土木工事業で実績を重ねた後、同分野で培ったノウハウと『つながり』を活かして、架台メーカーとして成長。現場や顧客ごとのニーズに対して最大限にメリットの出る形でオーダーメイド提案を行ってきたことが、結果として自社の事業開発につながり、『建設』という強みを土台とした独自の事業形成につながった。

その一例として挙げられるのが、ビルやマンションの外壁や屋根の改修工事だ。改修の際に新たに太陽光モジュールを設置することによって、売電収入で工事費をまかなうというような提案などを行っている。日本の太陽光発電市場の頭打ち傾向にあるという見方もある一方で、こうした新たな観点から幅広い事業展開を行い、営業本部長の五角哲司氏は「太陽光発電はまだまだこれから」と力強い成長を確信している。

好条件な土地の選定から高品質な設備の提供まで包括的なサポート

近年とりわけ注力しているのがEPC・ディベロップメント事業だ。発電システム全体の設計から太陽光モジュール、パワーコンディショナ(パワコン)、架台などの部材・資材などの選定・調達、トータル施工管理、アフターフォローまでを一貫して提供。さらに不動産会社と連携しながら土地開発をも手掛けている。

発電事業者と地主を直接つなぎ、中間の手数料をもらわないことで開発コストを抑えて、FIT買取価格が仮に18円に下がったとしても採算が取れるような発電所の建設を実現。「いい条件の土地の方が太陽光についてもメリットがあるので、土地開発は第一の条件だと思います」と課長の河野正克氏はディベロップメント事業の重要性を語る。

太陽光モジュールやパワコンに関しては、厳格な品質およびコスト評価を実施したうえで数社のメーカーを選定。そこから、土地や顧客の要望に合致した製品を提案している。「単純に安さだけを求めるのではなく、メンテナンスに強いメーカーを選ぶなど、20年間安定的に効率よく発電を続けられる発電所の建設を目指しています」と五角氏。

一方、架台は、傾斜地に適した鋼管架台「オーダーメイドパワーフレーム」や造成した土地や平地向けのZAM®素材架台「オーダーメイドゼットフレーム」、高架型の鋼管架台「フリートラスシステム」などの自社ラインナップを揃えており、これらはすべて純国産品。

「鋼管に関して言えば、塗装やメッキ処理の仕方、溶接方法などが、国産のものと外国製品では大きく異なります。これらが当社製品の品質を支えている差別化要因だと言えます」と五角氏は強調する。

同社の自社発電所「DSパーク三木」(左)と、「DSパーク小野」(右)
同社の自社発電所「DSパーク三木」(左)と、「DSパーク小野」(右)

架台メーカーが提供するO&M事業

5年ほど前からO&Mの分野にも取り組んできた大辰。来年から本格的に事業化し『守りのO&M』だけでなく『攻めのO&M』も展開していく方針だ。

「メンテナンスで現状の発電量を維持するのが『守りのO&M』だとしたら、『攻めのO&M』ではセカンダリー(転売)取引のための診断を実施していきます」と五角氏。

投資家が償却の終わった発電所を売りに出すケースも多く想定され、同社は架台メーカーとして培ってきた設計や強度に関する知見を活かして転売の適否や補修の有無を査定。発電所が20年間は故障なく安定稼働できるように、電気分野はその道の専門会社と業務提携をしており、メンテナンスにおいても手厚いサポートを提供していく。

ベトナムで建設+太陽光発電事業を展開

株式会社大辰 環境設備事業部 営業課 課長 河野正克氏(こうの・まさかつ)
株式会社大辰 環境設備事業部 営業課
課長 河野正克氏(こうの・まさかつ)

来年4月には、ベトナム・ホーチミンに支社を開設する予定である。

「まずは、建材の販売を足掛かりとして、日本と同様に建設事業と太陽光事業を組み合わせたビジネスを展開していきたいです」と河野氏。同社にはベトナムから技術者や職人を受け入れる制度があり、これまでに何人もの人材を育成してきた。

同制度を通じて日本で建築の知識やノウハウを学んだ人材が自国で活躍できる場を構築するとともに、それを土台として同国での事業展開を狙う。


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