求む、太陽光のスペシャリスト ― 逆風下も事業拡大へ採用強化

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2016年に設立されたアフターフィット社。社名からも想像つく通り、「FIT制度の後」という意味が込められている。買取価格の低下により事業縮小の声も上がる中で、採用を強化するという同社の考え方や取り組みについて聞いた。

買取価格42円に憤り

「2012年に決まった買取価格は42円。FIT制度とは高い買取価格という餌により、あえてバブルを発生させ事業者の参入を促し、競争環境を作り上げる事で産業を活性化させる制度です。高過ぎる買取価格下でバブルが発生したマーケットでは、過剰利益による問題や社会批判が生まれてしまいます。これでは産業として育つ前にマーケットが潰れてしまい、再生可能エネルギーが社会悪として認知されて終わるようになるかもしれない、と憤りすら感じましたね」と代表取締役社長の谷本貫造氏は当時を振り返る。

10年以上前に始まった欧州のFIT制度には以前から注目していただけに、日本でFIT制度が始まる前から、もっと低い買取単価で十分に収益が出ると計算していたのだ。

そのため、買取価格が21円になった現在でも、太陽光発電ビジネスにまだまだ多くの可能性があると考えている。それを確信して立ち上げたのがアフターフィット社だ。

一部の間では「FIT制度はもう終わった」「太陽光発電事業はもう収益が上がらない」といった声も出るなかで、谷本氏は明確にそれを否定する。「できるはずだ」と声高に言うだけでは説得力がないので、谷本氏は実際にできることを、独自の理念をもって現場で立証しながら事業を進めている。

「みんなが主役」想いを1つに創立メンバー現場視察研修 2017年6月
「みんなが主役」想いを1つに創立メンバー現場視察研修 2017年6月

分析と試験で発電所をより良く

多くの事業者が既にサービス提供をしているO&M事業。同社のメンテナンス事業は、その中でも異例といえる。

まず、『何が適切なメンテナンスなのかは、まだ業界内で確立されてない』という前提で、研究開発をしながら進めている。社内に分析チームを設置し、メンテナンス部隊は外注せず全て自社内で行いナレッジを蓄積している。

「分析や実験そのものも決して簡単ではありません。弊社で実施している各社のパワコンの性能比較実験でも、同じ条件の元で比較しないと実験結果が信頼できないものとなってしまいます。そこで1年以上、どのような天候でも毎日ほぼ同じ発電量である事が証明されている隣接した発電所を抽出した上で、それぞれ別のパワコンに差し替え、発電量を見比べる実験を開始しました」と谷本氏。

実験結果は図1にある通り。発電量で最大11.4%の差がついた。実験結果からは、定格電圧時の変換効率の差以上に、日射量が強くなる状況や朝夕・曇りのような日射が弱い状況で大きな差が発生している。買取価格が40円と36円の差が10%であるから、パワコンの選択で、それ以上の差があらわれるということになる。

図1 同じ条件の発電所でパワコンのみを変えた低圧発電所の出力比較
図1 同じ条件の発電所でパワコンのみを変えた低圧発電所の出力比較
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晴れの日、曇りの日
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事業拡大へ採用を強化

同社は1年にも満たない短期間で、既に120MW分の太陽光の権利を取得しており、更なる事業拡大に向けて採用にも積極的だ。

「他社の撤退や規模縮小はチャンスです。この5年でノウハウを蓄積した各種太陽光スペシャリスト達が市場に放出されます。弊社の事業は急ピッチで拡大しており人手不足で、優秀な人材さえ集まれば更に大きなビジネスを構築できます。FITの20年間だけでなく、その後でさえ問題ありません」と谷本氏。

企業スローガンとして掲げる『20年後のその先へ』という思想を具現化し、太陽光発電事業を通して、脱炭素社会を実現する事で持続可能な社会をつくる、これが谷本氏の大いなる目標だ。

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