北九州市、地域資源の循環でSDGs達成を目指す新プロジェクト始動

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エプソンが福岡県北九州市の支援を受け、同市八幡東田地区で進める『紙の循環から始める地域共創プロジェクト(愛称:「KAMIKURU(カミクル)」プロジェクト)』。産学官民が連携し、紙の地域循環システムの構築を目指す、北九州市のSDGs達成に向けた新たな取り組みだ。プロジェクトのキーパーソンに活動内容や想いについて聞いた。

※北九州市で行われている「紙の循環から始める地域共創プロジェクト」の概要について詳細資料を公開しています。こちら、もしくは文末よりダウンロードできます。

きっかけは SDGsイベント

2020年10月、エプソンは北九州市八幡東田地区で、同社が開発した水を使わずに(※)古紙から新たな紙を再生する『PaperLab(ペーパーラボ)』を中心とした、紙の地域循環システム構築の実証実験を開始した。同地区の九州ヒューマンメディア創造センター1階に『ペーパーラボ』を設置し、地域の自治体・企業・学校から発生する古紙を回収、新たな紙に再生しプロジェクト賛同団体へ還元配布する。古紙の回収、選別、再生は、障がい福祉サービス事業所を運営するNPO法人『わくわーく』と連携して行うほか、再生した紙のアップサイクル品の作成・供給などもあわせて行っていく。

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地域内における産学官民の連携で紙の地域循環システムの構築を目指す
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網岡 健司 氏 八幡東田まちづくり連絡会会長 紙の循環から始める地域 共創プロジェクト 推進フォーラム 代表
網岡 健司 氏
八幡東田まちづくり連絡会会長
紙の循環から始める地域共創プロジェクト
推進フォーラム 代表

エプソンが製品開発センターとしての拠点を北九州市・八幡東田地区に立地して20周年を迎えた2019年に、同じく東田地区にある北九州市民のための環境学習・交流総合拠点施設『環境ミュージアム』で、SDGsをテーマとした企画展を開催、ここで『ペーパーラボ』を使った紙の再生の実演や、再生紙を使ったペーパークラフトのワークショップなどを行ったのが、プロジェクト立ち上げのきっかけだ。八幡東田まちづくり連絡会会長で、現在『紙の循環から始める地域共創プロジェクト推進フォーラム』代表を務める網岡 健司氏は「一過性の企画展で終わらせるのではなく、社会実証プロジェクトにつなげることができないかを相談させていただきました」と話す。

産業都市から環境モデル都市へ

プロジェクトの舞台となる北九州市には、産業興隆時代の公害問題に対し全国に先駆けて環境改善に取り組んできた歴史がある。現在では国が推進する『SDGs未来都市』に選定され、その中でも先導的な取り組みとして「自治体SDGsモデル事業」にも認定されたほか、OECD(経済協力開発機構)の『SDGs推進モデル都市』にもアジアで唯一選ばれるなど、国内外から世界の環境モデル都市としてSDGsをけん引する役割を期待されている。

2015年に『明治日本の産業革命遺産』の一つとして、ユネスコの世界遺産に登録された官営八幡製鐵所関連資産を有する北九州市。我が国の産業革命発祥の地である本市では、今でも世界最先端の鉄鋼生産の拠点であると共に、自動車、ロボット、IT産業などの高度かつ多様な集積を誇る産業都市であり、また、スマートコミュニティ創造事業や水素社会実験などを使った先駆的な実証実験も数多く行われるなど環境都市としても発展を続けている。

「このような意味で、北九州市/八幡東田の革命は、過去形ではなく現在進行形であり、この地は『世界進化遺産』だと申し上げています」(網岡氏)

戦後の復興、高度経済成長に貢献してきた八幡東田地区だが、一方で深刻な公害に対し、市民と企業、行政が三位一体となり青い空と青い海を取り戻した歴史も持つ。

「産業革命の発祥の地であるこの場所から、今度はグリーン革命、SDGs革命を起こしていくのが、歴史的な使命だと信じています。イノベーションを通じた社会価値の創造と、産学官民のパートナーシップがカギとなる今回のプロジェクトは、まさに、この地のミッションに相応しいものであると感じています」(網岡氏)

【「紙の循環から始める地域共創プロジェクト」の概要資料】ダウンロード資料イメージダウンロードはこちら

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