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中部電力、発電ダムの設計・運用を見直し発電量を3~28%もアップ

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中部電力、発電ダムの設計・運用を見直し発電量を3~28%もアップ

設計の最適化、新技術の適用
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中部電力(愛知県名古屋市)の勝野哲社長は、7月28日の7月度定例記者会見で、既設水力発電所の発電電力量の増加に向けた、「設計の最適化・新技術の適用」と、コストがほとんどかからない「運用変更」の2つを柱とする取り組みについて発表した。

設計の最適化・新技術の適用で発電電力量が3~28%増加

水力発電は、河川などの水のエネルギーを利用し、水車を回転させることにより発電するが、従来は国から許可を得た最大流量時に最大の発電効率となる設計をしていた。

これを同社は設備更新のタイミングで、年間を通じて取水できる頻度が高い流量時に、最大の発電効率を出せる設計に見直すことにより、発電電力量の増加を図ることとした。

加えて、水車に流れる水の動きを解析技術によって可視化し、設計に反映することで、水車の羽根の形状を、水のエネルギーが最も効率よく伝わる形状に変更した。

同社では、この策の実機への適用を2007年度から開始し、これまでに9箇所の水力発電所で実施し、発電電力量が3~28%増加した。9箇所の発電所で増加した発電電力量の合計は年間で約1,760万kWh、一般の家庭の約5,600世帯分に相当する。

運用変更による3つの改善策で発電電力量増加

これは発電所の運用方法を見直しすることで、発電能力を高める策であり、コストはほとんどかからない。

同社では、「最大出力の変更」「河川増水時の発電停止期間の削減」「ダムの高水位運用への変更」などを実施することにより、発電電力量の増加を図っている。

「最大出力の変更」は、発電設備の性能をあらためて詳細に確認し、その能力にあわせた最大出力に届け出を変更することで、発電電力量の増加を図るもの。

「河川増水時の発電停止期間削減」では、ダム管理で培ってきたノウハウを活かし、河川増水時の発電運転の可能な条件の見直し等を行うことで、なるべく遅く運転を停止して、なるべく早く再開することで、発電電力量の増加を図っている。

河川増水時の発電停止期間の削減

河川増水時の発電停止期間の削減
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また「ダムの高水位運用による水の落差の増加」では、高度化された雨量予測の活用と、ダムへの流入予測といったきめ細かい水位運用を実施することにより、高い水位での運用を可能とした。これによって、水の落差が大きくなり、発電電力量の増加を図っている。

ダムの高水位運用による水の落差の増加

ダムの高水位運用による水の落差の増加
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記者会見では運用変更による改善策を3つ紹介したが、1つ目の策は、新しい技術の活用によるもの、2つ目、3つ目の策は「貴重な水を無駄にせず、少しでも有効に活用すること」に長年にわたり取り組んできた現場の経験によって成果を挙げたものと説明している。

同社はこれらの改善策により、2016年度までに、年間で約1億7,400万kWh、一般の家庭に換算して約55,800世帯分の発電電力量の増加を図ってきた。

水力発電所の開発について

今回の記者会見では、水力発電所の開発状況についても説明した。水力発電所の新たな開発地点は小規模化、奥地化してきており、経済性を有する新規開発は限定的になっているという課題があるという。

新規開発が難しくなる中、同社ではさまざまなコストダウンを積み重ね、現在、新規開発地点として、清内路(せいないじ)水力発電所(出力5,600kW)と安倍川水力発電所(出力7,100kW)の2件名を、いずれも2022年度に営業運転を開始する予定で準備を進めている。

多目的ダム開発計画の中で建設した徳山水力発電所を除き、同社単独での新規の水力発電所の建設は、平谷発電所以来、実に20年ぶりの開発となる。

同社は新規地点の開発の他、既設ダムからの放流水の利用など、未利用エネルギーを活用した水力発電所の開発も進めてきており、これまでに6カ所、合計出力で1,430kWを開発している。2017年度には、新奥泉水力発電所(出力290kW)の営業運転を開始する予定。

先月、国が公表した「ダム再生ビジョン」でも、既設ダムを「『より永く』『より賢く』使う」ことで、既設水力発電所の利用拡大を目指す方針が打ち出された。同社でも、従来から積極的に、既設水力発電所の発電電力量を増加させる取り組みを行っている。

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