メガではなく中規模・太陽光導入で勝つ戦略

中小製造業本社屋上に太陽光発電

 今年の2月28日、本社工場の社屋屋上に最大発電出力64kWのパワーを持つ、大規模な太陽光発電設備の稼動を発表した、レーザー加工機など自動機の製造販売を行うレザック。同社は1982年より大阪府・八尾市でCADシステムをはじめ、サンプルカット機やレーザー加工機、刃物自動曲機・切断機から印刷紙器のブランク部とカス部を自動に分離させるブランキングシステムなど抜き型関連機器などを製造販売してきた。

 2008年、大阪八尾市内の3箇所に点在していた工場を本社工場に集約させ、敷地面積1652平方メートル、建築面積は3階建ての970平方メートルという大規模な工場へと成長させた。太陽光発電設備は社屋の屋上。全面に敷き詰めて設置するという。



節電対策+売電の価値を重視

 「2002年、我々はISO9001を取得していますが、その基準を突き詰めていくと、節電対策は必要不可欠です。当初は社内の電球をすべてLEDに変更しようと考えていましたが、太陽光発電は節電だけではなく、余剰電力は売電できるという利点も。その可能性を考慮し、昨年度、思い切った大規模な設備投資を決行したのです」というのは、代表取締役の柳本忠二氏。

 総工費は約4500万円。そのうち、約1/3は経済産業省の補助金を得ている。本年度で新規の補助金制度は廃止されたものの、レザックはぎりぎり期間内に間に合った企業のひとつ。

 「屋上すべてにモジュールを敷き詰める大規模な設置を考えていただけに、この補助金はとても大きい。ますます電力事情が深刻化する今、太陽光など自然エネルギーは、産業界をはじめ多くの企業が注目しています。そんな中で補助金の廃止は企業にとって大きな痛手に思う」と柳本氏は語る。


多結晶シリコンタイプ、64kWを導入

 屋上に敷き詰められたモジュールは大手のOEM 製多結晶シリコンタイプで合計312枚。1枚当たり205Wの発電容量があり、最大約64kwを発電する。これは関西電力東大阪支局の管轄で最大級だという。この電力があれば、季節や時間、天候にも大きく関わるものの、工場で使用する一部の電力をまかなうことができる。

 また、休日も稼動するため、余剰電力を電力会社に販売することもできる。レザックはこの売電に注目し、大規模な設置を踏み切った。「企業のイメージ工場やCO2削減などの環境に対する配慮も大事だが、震災後の電力確保は深刻です。売電もひとつの社会貢献。自社の電力をまかないながらも、微力ではあるが、何か社会の力になれればいいと思う」(柳本氏)。



投資回収10年以内に可能に

 現在、設置費用の回収には15年かかると予定していたが、現段階の様子を考慮すると、10年以内に可能だと柳本氏はいう。それは、間接的ではあるが、電気代以外も節約できる点がいくつかあるからだ。

 「広い土地でできるだけ、効果を得られるには屋上への設置しか考えられなかった」と柳本氏がいうように、モジュールを屋根全体に敷き詰めることで、「設置当初、考えていなかったビルの防水・斜熱効果も出ている」という。

 「315枚も敷き詰めたのに、耐荷重も少なくメンテナンスもそれほどかからない。現在、夏前なので、詳しい効果・検証はできていないものの、モジュールが隙間なく敷き詰められているということは、ビル内の遮熱ができています。これによってビル内の1~2℃社内の温度が下がるため、大幅な節電対策ができると予想しています。また、雨が直接ビルにかからないことで、ビルに負担がかからず、メンテナンスにも大きな影響を与えると考えています」(柳本氏)。


太陽光が社内外で大きな話題

八尾市の田中誠太市長も見学して、
災害時の電源確保にも役立つと関心を示した

 設置するにあたって社員の間でも半信半疑の声があがった。しかし、発電状況をリアルタイムで知ることができる「太陽光発電計測システム」のモニターが社内や入り口に設置されていることで、社員の節電への意識は日に日に変わっているという。

 また、大規模な設置を行ったことで、企業の見学、メディアの取材も増えているという。そして、3月17日に行われた完成セレモニーでは田中誠太八尾市長も出席した。

 「モニターを覗くことで、今まで数量として捉えられなかった電気の存在が一目瞭然になりました。このことで、社員が節電を意識するようになったのはとてもうれしいこと。また、社内外問わず、太陽光設備に関する会話やお問い合わせも増えています。これは実質的な効果よりも大事なこと。今後も一企業として、社会に何ができるかを追求し、ひとつひとつ行動を起こしていきたい」(柳本氏)。


仕事に役立つ環境ビジネスのニュースを毎日配信!

月刊「環境ビジネス」単品購入ページ 月刊「環境ビジネス」の編集部がおくる、
ホットな環境ビジネスニュースが無料で読める!

無料登録はこちら