電力ビジネス基礎講座4大市場解説【欧米比較編】

欧米諸国の市場設計と日本の制度的変遷を対比し、 将来の電力市場における「収益構造の変革」と「ビジネス機会」を紐解く
日本の電力市場制度は、諸外国の多様な先行モデルを背景に、国内特有の電源構成や系統運用を考慮した独自の進化を遂げてきました。将来のビジネス機会を見極めるためには、国内のルールを追うだけでなく、グローバルな市場設計のトレンドとそこから得られる教訓を体系的に比較・理解することが不可欠です。
本講座では、卸電力、需給調整、容量、環境価値の「4大市場」を軸に、欧米の先行事例と日本の市場設計を比較・分析します。 前半では、各国の電源構成、地域間連系線、電力政策などの前提整理から始まり、容量市場を持たず需給ひっ迫時の価格高騰リスクを受け入れるテキサスや豪州の卸電力市場のボラティリティ動向、イギリスやドイツで導入が進む「慣性力市場」などの独自商品、そして先行国で共通して顕在化している「蓄電池の飽和」が系統用蓄電池ビジネスに与える影響など、海外のリアルな市場動向から日本市場の現在地を客観的に捉えます。
後半では、日本でも導入が予定される「同時市場」にも焦点を当て、米国(PJM等)のスリーパート情報(起動費・最低出力費用・限界費用)に基づくコスト登録方式や、SCUC/SCEDによる同時約定メカニズムを解説。日本の相対契約を活かす「自己計画電源」の取り扱い、大手電力への「適取ガイドラインによる全量限界費用での入札義務」、混雑管理の課題、そしてメリットオーダーの厳格化に伴う「限界費用ベースの戦い」へのシフトによる収益構造の激変を詳説します。さらに、米国PJM市場における「マイレージ評価」による収益補正の仕組みから、日本市場における蓄電池ビジネスの新たな収益源の可能性についても言及します。
本講座を通じて、国際的な市場動向に照らし合わせた日本市場の合理性と独自課題を整理し、中長期的な投資判断や事業戦略の策定に資する視座をお届けします。
このような方に
- 卸電力市場(kWh市場)のボラティリティ動向とリスクテイクの実態を学びたい方
欧米諸国・地域のスポット市場における平均価格やボラティリティの動向を横比較し、容量市場を設けず需給ひっ迫時の価格高騰を受け入れるテキサスや豪州など、特徴的な国・地域の市場設計と事業者が直面するリスクのリアルを理解したい方
- 需給調整市場(ΔkW市場)の独自商品と「蓄電池飽和」の影響を把握したい方
イギリスやドイツで導入が進む「慣性力市場」など独自に設定されている商品(慣性力など)の傾向を掴むとともに、諸外国で顕在化している「蓄電池の飽和」による影響と、それを踏まえた系統用蓄電池の最新ビジネス動向を把握したい方
- 「同時市場」導入による収益構造の激変に備えたい方
米国(PJM・NYISO)の起動停止計画(SCUC)と経済負荷配分(SCED)のメカニズム(Three-Part Offer)を学び、同時市場の導入によって約定価格がシングルプライス化しメリットオーダーが厳格化する中で、これまでの「固定費を織り込んだ調整力入札」が通用しなくなる実務的な影響を予測したい方
- 日本特有の市場ルール(ハイブリッド運用)と混雑管理の課題を知りたい方
米国モデル(ノード別LMP等)とは異なり、エリア制を維持する日本の混雑管理とローカル系統混雑との協調という今後の課題、大手電力会社への「余剰電力の全量限界費用での入札義務(適取ガイドライン)」による価格規律、さらに相対契約を活かす「自己計画電源」の取り扱いなど、日本独自のハイブリッド運用の実態を理解したい方
- 容量市場の国際比較と、日本の「長期脱炭素電源オークション」への移行を理解したい方
独(戦略的予備力)や仏(分散型容量市場)の多様なアプローチと、日・米・英が採用する「集中型容量市場」の違いを整理し、ドイツや豪州なども段階的に集中型への導入・移行を検討しているグローバル潮流、Net CONE(純新規参入費用)の考え方、日本における「長期脱炭素電源オークション」への発展的移行プロセスを整理したい方
- 環境価値取引の最新潮流と、需要家の再エネ調達戦略への影響を予測したい方
欧州の属性証明(GO制度)の概要と日本の非化石証書の全量トラッキング化の流れを比較し、GHGプロトコル(スコープ2ガイダンス)改定を見据えた「アワリーマッチング」の要求が、RE100加盟企業をはじめとする需要家の調達戦略に及ぼすインパクトを把握したい方
- 蓄電池ビジネスの未来を見据え、「パフォーマンス(マイレージ)評価」の可能性を検討したい方
先行事例である米国PJMのRegulation市場を例に、蓄電池の応動精度や応動量(マイレージ)に応じた収益補正の仕組みを学び、日本市場へのパフォーマンス価値導入によって蓄電池の「高速性」が正当に評価され、調整力単価の下落(蓄電池飽和による影響)を補う新たな収益源となる可能性について知見を深めたい方
実施形式
オンデマンド講座配信:お申込後、マイページからご視聴
講座カリキュラム
第1章:はじめに
- 本講義の目的
- 各国の電力市場を把握するための考え方①「木だけ見て森を見ず」はNG
- 各国の電力市場を把握するための考え方②電力需給バランスから特徴を捉える
- 各国の電力市場を把握するための考え方③主要市場の有無から特徴を捉える
- 諸外国の電力市場のプロファイル分析 分析例:イギリス
第2章:卸電力市場(kWh市場)のグローバル・トレンド
- 諸外国の卸電力市場概要
- 卸電力市場のグローバルトレンド①ネガティブプライス
- グローバル・トレンドを踏まえた日本の卸電力市場の方向性
第3章:需給調整市場(ΔkW市場)のグローバル・トレンド
- 需給調整市場 取引の仕組み
- 需給調整市場|収益構造
- 需給調整市場|商品区分
- 需給調整市場のグローバルトレンド①周波数調整商品の価格急落
- 需給調整市場のグローバルトレンド②応動性の高いリソースへのパフォーマンス評価
- 番外編:系統用蓄電池のグローバル・トレンド イギリス|変幻自在なビジネスモデル
- 番外編:系統用蓄電池のグローバル・トレンド イギリス|蓄電池をごり押しする背景
- グローバル・トレンドを踏まえた日本の需給調整市場の方向性
第4章:「同時市場」における日米モデルの対比と独自進化
- 同時市場概要
- 用語解説①Three-part offer 情報
- 用語解説②SCUC SCED
- 用語解説③自己計画電源/市場計画電源
- 用語解説④入札に必要な出力容量の情報
- 日本への同時市場導入に向けた検討状況
- 日本への同時市場導入に向けた検討状況 運用スケジュール
- 日本への同時市場導入に向けた検討状況 入札に必要な情報
- 日本への同時市場導入に向けた検討状況 その他①
- 日本への同時市場導入に向けた検討状況 その他②
- 同時市場のグローバルトレンド①蓄電池の取り扱い
- 同時市場のグローバルトレンド①蓄電池の取り扱い NYISOの入札パラメータ
第5章:容量市場のグローバル・トレンド
- 容量市場でやりとりされるkW価値とは
- 容量メカニズムの類型
- 容量市場 収入の考え方
- 容量市場 約定価格の決定方法|需要曲線の想定
- 容量市場のグローバルトレンド①日本と同様の集中型市場への移行
- 容量市場のグローバルトレンド②需要曲線の細分化 PJMの事例
- 容量市場のグローバルトレンド②需要曲線の細分化 NYISOの事例
- 容量市場のグローバルトレンド③併設蓄電池への容量価値の付与 Co-locatedモデル
- 容量市場のグローバルトレンド③併設蓄電池への容量価値の付与 Hybridモデル
- グローバル・トレンドを踏まえた日本の容量市場の方向性
第6章:環境価値市場のグローバル・トレンド
- 諸外国の環境価値(電力に関するクレジット/証書)
- 環境価値市場のグローバルトレンド①GHGプロトコル スコープ2の改定
- 環境価値市場のグローバルトレンド②時間別市場の登場 Granular Certificate
- 環境価値市場のグローバルトレンド③先物市場 REC future/option
- 環境価値市場のグローバルトレンド④系統用蓄電池への価値付与 豪州REGO制度
- グローバル・トレンドを踏まえた日本の環境価値市場の方向性
第7章:海外の「ゲームチェンジ」から見る将来の日本電力市場の展望とビジネス機会
- 容量市場への季節別オークション導入がもたらすゲームチェンジ
- 時間単位での非化石証書市場創設と先物市場がもたらすゲームチェンジ
- 卒FIT時代が迎える灰色の世界
- 卒FIT時代に起こるゲームチェンジ① 併設蓄電池への容量価値の付与
- 卒FIT時代に起こるゲームチェンジ② 系統蓄電池が”ほぼ”併設蓄電池化する世界
- 系統用蓄電池ビジネスに起こるゲームチェンジ
講師紹介

株式会社日本総合研究所
リサーチ・コンサルティング部門シニアマネージャー 大阪大学大学院前期博士課程修了。株式会社日本総合研究所に入社。経済産業省 電力・ガス取引監視等委員会に出向。その後帰任し現在に至る。入社から一貫して環境・エネルギー分野に関するコンサルティング業務に従事。経産省時代は、容量市場の制度設計をはじめとして電力・ガス市場の制度設計を担当。帰任後も電力・ガス政策の動向を抑えつつ、再エネ発電事業、系統用蓄電池事業に関する各種リスク評価、事業性検証を支援
早矢仕 廉太郎
講座概要
受講形態 | 宣伝会議オンライン内でオンデマンド配信 お申込み日から30日間視聴可能。 | |
|---|---|---|
受講料金 | 1名受講 | 45,000円(税込 49,500円) |
受講のご案内 | 【実施上の注意】 | |
注意事項 | 受講は申込者本人に限ります。他人に貸与・譲渡することはできません。 | |












