PEFC(汎ヨーロッパ森林認証)

PEFCとは、各国で策定・運営されている森林認証制度を国際的に審査し、相互承認を推進する国際非政府組織(NGO)である。
正式名称は「Programme for the Endorsement of Forest Certification Schemes(森林認証制度相互承認プログラム)」。持続可能な森林管理の基準を国際的に満たした森林と木材製品を認証し、世界最大の認証森林面積を擁する。
Polymer electrolyte fuel cellの略であるPEFC(固体高分子形燃料電池)とは同じ略称だが別。
創設の背景と国際的な位置づけ
1999年に欧州11カ国の小規模森林所有者らによって「汎ヨーロッパ森林認証制度(Pan European Forest Certification Schemes)」として創設された。創設当初は欧州域内が対象であったが、北米のSFI(Sustainable Forestry Initiative)やアジア各国の認証制度が参画したことで欧州外へと拡大し、2003年に現在の組織名称「森林認証制度相互承認プログラム」へと改称された。
各国ごとの異なる法規や林業の地域事情を尊重しながら国際基準との整合性を審査する「アンブレラ型」の体制を採っている点が特徴である。林野庁の統計によると、2024年12月時点で53カ国の森林認証制度が相互承認されており、世界の認証森林面積は約2億9,722万haに達する。これはFSC認証制度(森林認証制度)の約1億6,045万haを上回り、認証森林面積として世界最大規模を誇る。また、CoC認証件数は約1万3,000件(2万9,000社以上)に及ぶ。
日本のSGECとの相互承認と国内実務
日本国内における独自の森林認証制度であるSGEC(一般社団法人 緑の循環認証会議)は、2016年6月にPEFCとの相互承認を完了した。これにより、国内でSGECの認証を取得した森林材は、国際市場においてPEFC認証材と同等の持続可能性基準を満たすものとして取り扱うことができる。
企業が製品にPEFCラベルを表示して環境配慮性を訴求するためには、森林管理そのものを審査するFM(Forest Management)認証に加え、サプライチェーンを構成する製材・加工・流通・印刷などの各事業者がCoC(Chain of Custody)認証を取得し、非認証材の混入を防ぐ分別管理とトレーサビリティを確立しなければならない。日本の木材・紙パルプ業界においては、SGECと連動した認証を取得することで、欧米やアジア向けの木材輸出の要件クリアや、国内外の大手企業が設けるESG調達方針への適合に活用されている。
EUDR(欧州森林破壊防止規則)等への最新対応動向
近年、木材調達における国際規制が一段と厳格化している。欧州連合(EU)市場に流通する木材製品等に森林破壊ゼロの証明を求めるEUDR(欧州森林破壊防止規則)への対応として、PEFCは2024年7月に任意追加規格である「PEFC EUDR DDS(デューデリジェンス・システム)モジュール(PEFC ST 2002-1:2024)」を採択した。
EUDRの法制度上、森林認証の取得のみをもって義務が全面的に免除されるわけではない。しかし、伐採地の地理的位置情報(ジオロケーション)の特定やデューディリジェンス手順を定めたPEFCのモジュールを活用することで、企業はEUDRへの適合証明やリスク評価にかかる実務負担を低減できる。持続可能な森林管理規格(PEFC ST 1003)等の改定やSGEC規格との整合が進められており、国内のクリーンウッド法に基づく合法性確認とも連動した木材サプライチェーン管理の標準基盤として機能している。
参考
- 林野庁 ― 令和5年度 森林・林業白書「主な森林認証制度」
- 環境省 ― 環境ラベル等データベース(PEFC 森林認証プログラム)
- 一般社団法人 緑の循環認証会議(SGEC/PEFCジャパン) ― SGEC/PEFCジャパン 公式サイト
- PEFC International ― PEFC Official Website
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