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最終更新日:2026年09月18日

同時市場

環境ビジネス編集部
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同時市場とは、卸電力取引所で取引される電力(kWh:電力量)と、需給調整市場で取引される調整力(ΔkW:予備能力)を、単一の市場メカニズムにおいて一体的に取引・約定する市場制度である。英語ではコ・オプティマイゼーション(Co-optimization)と呼ばれる。従来の別個の市場による電源の奪い合いや売り入札不足に伴う価格高騰を解消し、変動性再生可能エネルギーが大量導入された電力系統において全体コストを最小化しつつ安定供給を確保することを目的としている。

同時市場における約定メカニズム、取引の仕組み

同時市場の取引対象は、実需給断面で供給される電力量(kWh)と、周波数維持や需給バランス調整に充てられる予備力としての調整力(ΔkW)である。これらを最適配分するため、送電線の混雑といった系統制約を織り込みながら全体コストを最小化する高度な数理計算アルゴリズムが用いられる。具体的には、電源の起動・停止計画を策定するSCUC(系統制約付き起動停止計画)および出力配分を決定するSCED(系統制約付き経済負荷配分)が連動して機能する。

入札方式にはスリーパート・オファー(Three-Part Offer)の採用が検討されている。発電事業者は単一の売り値ではなく、起動費、最低出力費用、増分費用カーブ(限界費用)の3要素からなる実コスト情報を登録する。約定価格は需給均衡点における限界費用(シャドウプライス)に基づいて決まるが、市場価格からの収入だけでは起動費などを回収できない電源に対しては、個別補償(アップリフト)を行って回収漏れを防ぐ仕組みが組み込まれる。

取引の断面としては、実需給の前日に取引を行う前日同時市場を軸としつつ、実需給直前までの変動に対応してSCUCやSCEDを繰り返し実行する時間前同時市場や直前市場(ED)など、多段階での運用が構想されている。

「同時市場」制度創設の背景と導入工程

従来の電力システムでは、電力量取引と調整力公募・取引が独立して運用されていたため、電源確保の非効率や市場分断による価格高騰が課題視されてきた。こうした課題を解決するため、経済産業省・資源エネルギー庁と電力広域的運営推進機関(OCCTO)は2023年8月に「同時市場の在り方等に関する検討会」を立ち上げ、制度設計に着手した。

検討会では2024年11月の中間取りまとめを経て、2025年10月に『第二次中間取りまとめ』を公表し、市場開設に向けた5段階のロードマップを策定した。2026年時点では第1フェーズとして詳細業務設計が進められているほか、米国PJMやCAISOなどの先行市場の実績を参考にした高度計算アルゴリズムの技術研究と実現可能性評価が集中的に実施されている。

同時市場の国の検討状況を整理した解説記事でも触れられているように、系統運用を支える次期中央給電指令システム等の刷新時期と連動させ、2030年代前半の本格導入を目指して制度設計が進められている。

発電・蓄電事業者や実務への影響

同時市場の開設は、発電事業者、系統用蓄電池の運用事業者、アグリゲーターの収益モデルや実務運用に大きな転換をもたらす。

最大の変革は入札行動の転換である。これまでは卸電力市場と需給調整市場の価格動向を予測し、より高い収益が見込める市場を選択して価格入札を行う裁定行動が一般的であった。しかし同時市場では、設備の物理的制約や実コストを正確に申告するコストベース入札が基本となり、市場システム側が自動的に最適な配分を決定する。

これにより、系統用蓄電池や分散型エネルギーリソース(DER)のマルチユース運用が大幅に効率化されることが考えられる。現行制度下で課題となっていた充電状態(SOC)管理の複雑化や市場間の二重応札制約が緩和され、エネルギータイムシフト(kWh)と調整力供出(ΔkW)の双方がシステム上で自動最適化される。一方で、事業者側はスリーパート・オファーなどの新仕様に合わせたエネルギーマネジメントシステム(EMS)の改修や運用プロセスの再構築が必要となる。

参考

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環境ビジネス編集部

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環境ビジネスは、温暖化防止のための世界で初めての国際協定である京都議定書が1997年に採択されたことを受けて、その翌年創刊しました。当時、『21世紀は、環境の世紀』といわれ、私たちは、新たな時代の到来はもちろんのこと、新たな産業の息吹を感じ、環境に関するビジネスに役立つメディアを出版することになりました。ウェブマガジン「環境ビジネスオンライン」では、環境業界の注目ニュース・最新トレンド・政策・企業情報解説記事など、実務に役立つ情報・サービスを提供しており、多くの実務層の方々にご参照いただいています。

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