木質チップ

木質チップとは、樹木や製材端材などの木材を細かく破砕・切削して小片状にした木質原料のこと。
従来は製紙用パルプやパーティクルボードなどのマテリアル利用が主流であったが、近年はバイオマス発電やボイラーの熱利用といったエネルギー用途が拡大している。カーボンニュートラルな地域資源として注目される一方、サプライチェーンにおける合法性や持続可能性の確保が求められている。
木質バイオマスの原料区分とエネルギー利用の動向
木質チップは由来によって主に3つに区分される。森林の間伐や主伐時に発生する未利用材を用いる「間伐材・林地残材等」、製材工場から発生する端材や背板、輸入材などを加工した「一般木質」、家屋の解体工事等から排出される木くずを活用した「リサイクル材」である。
農林水産省の「木質バイオマスエネルギー利用動向調査」によると、エネルギーとして利用された木材チップ量は年間1,200万絶乾トン前後で推移している。特に間伐材・林地残材等に由来するチップの利用量が増加基調にあり、地域の未利用バイオマスを活用した熱電供給の主原料として定着している。
FIT・FIP制度における環境基準とトレーサビリティ
バイオマス発電における木質チップ利用では、FIT・FIP制度下での持続可能性基準への適合が必須要件となっている。特に発電用燃料としてのライフサイクルGHG排出削減が求められ、火力発電比で2029年度までは50%削減、2030年度以降は70%削減(基準値:54g-CO2eq/MJ-電力以下)を満たす必要がある。
これに伴い、林野庁の「木質バイオマス証明ガイドライン」の運用が2024年4月に改正された。国内産木質チップを発電所に供給する際、従来の合法性や未利用材の証明に加え、伐採地からの輸送距離、積載量、チップ工場の加工動力など、GHG算定に必要なデータの伝達が義務付けられている。さらに改正クリーンウッド法の施行に伴い、デューディリジェンスによる合法伐採木材の確認など、調達網全体の透明性確保が実務上の前提条件となっている。
実務上の課題とカスケード利用
木質チップの利用現場では、品質管理が発電効率や設備保全を左右する。含水率や粒度、灰分のばらつきはボイラーの燃焼効率低下やクリンカ発生の原因となる。未乾燥チップの長期保管による自然発熱や火災リスクへの対策も欠かせない。
また、マテリアル産業(製紙・ボード業界)とバイオマス発電事業者の間での原木・端材の集荷競合が課題となっている。木材資源の価値を最大化するため、建築や製紙等へのマテリアル利用を優先し、最終段階でエネルギーとして熱電併給(CHP)などに活用するカスケード利用の原則に基づいた地域連携と収集運搬システムの効率化が進められている。
参考
- 林野庁 ― 発電利用に供する木質バイオマスの証明のためのガイドライン
- 農林水産省 ― 木質バイオマスエネルギー利用動向調査
- 資源エネルギー庁 ― 事業計画策定ガイドライン(バイオマス発電)
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