EV導入の切り札「電子ブレーカー」

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様々な環境機器を取り扱う省エネ・省コスト支援サービス企業のエスコ。同社は、電子ブレーカーを活用した画期的な省コストソリューションで特許を取得。将来のEV(電気自動車)社会を見据え、EV事業を始める自治体や事業者の電力削減に大きく貢献している。

EV普及の壁は、高いインフラコスト

CPUにより、電流値をデジタル測定し、JIS規格の許容範囲最大まで使用できるようにプログラムできる
CPUにより、電流値をデジタル測定し、JIS規格の許容範囲最大まで使用できるようにプログラムできる

スマートシティやスマートグリッドを活かした都市づくりを目指し、EVの導入促進を行っている自治体は多い。しかし、EVが市民の足として利用されるためには、コンビニやスーパーマーケット、大型商業施設といった人が往来する場所に急速充電器を設置するなど、インフラ設備の拡充が不可欠だ。

しかし、多くの場合、急速充電器を設置すると、電気料金が跳ね上がってしまう。これは、各メーカー標準的な急速充電器の容量を約50kWと設定しており、例えばぎりぎりの低圧契約をしているコンビニが導入した場合、高圧契約へ変更しなければならない上、キュービクル(高圧受変電設備)を設置する必要もある。高圧契約にしたことで電気基本料金が上がることに加え、キュービクルの費用、工事費などコストが大幅にかさんでしまう。

仮に、高圧契約をしている大型商業施設でも50kWもの余力を持っているケースは少なく、多くの場合キュービクルの新設・増設という形で余計なコストがかかってしまう。「急速充電器が普及し始めた頃、1施設あたり約1,000万円かかっており、そのほとんどが本体以外の設備費や工事費でした。そのため、導入に敷居が高かったのだと思います」と同社の事業企画部横山部長は語った。

特許技術でトータルコストを大幅削減

そこでエスコは、EVインフラ設備のイニシャルおよびランニングコストを削減する画期的な省コストソリューションを開発。イニシャルコストでは、急速充電器の設置に限って各電力会社に認められた「1需要地2引き込み」の制度を利用。通常、ひとつの事業所ではひとつの引き込み線しか用いることができないが、この制度を利用することで、急速充電器用の引き込み線の使用が許可され受電が可能となる。

前述したように一般的には急速充電器を導入すると電気容量が増すため、キュービクルの新設・増設が必要だ。「1 需要地 2 引き込み」の制度を使い、低圧契約で導入できればキュービクルの設置費用は発生しないためイニシャルコストが抑えられる。

次にランニングコストだが、大部分を占めるのが電気料金。その電気料金を下げる働きをするのが、電子ブレーカーだ。エスコの電子ブレーカーは電流計とタイマー機能を合わせ持っており、それが電気基本料金を下げる肝となる。通常、契約電力は設備のトータルkW量から算出する「負荷設備契約」であるが、実際の使用状況に合わせて契約電力を決定できる「主開閉器契約」もある。

これは、ブレーカー容量によって金額が決まる契約で、一度に多くの設備を使用しない限り、「負荷設備契約」より電気基本料金を安く抑えることができる。エスコの電子ブレーカーは従来のアナログ方式のブレーカーとは異なり、電流値をデジタル測定し、JIS規格の許容範囲ぎりぎりまで作動できるようにプログラムされている。

電子ブレーカー動作特性

電子ブレーカー動作特性

急速充電器の場合、この電子ブレーカーを用いて「主開閉器契約」にすることで、ブレーカー定格の189%以内であれば30分流せるようになり、安定した電力供給を確保した上で、契約電力だけを低く設定することが可能になる。同社の試算では、「急速充電器+電子ブレーカー」の導入で急速充電器1台あたり43kWの契約電力が必要なところ、28kWの契約で済み、年間188,364円削減することができる。

※基本料金は料金単価円/kW×契約電力×力率割引(=0.95)で計算。また、東京電力の基本料金単価1,101.60円/kW(低圧電力)で計算。

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