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最終更新日:2026年09月20日

EUバッテリー規則

環境ビジネス編集部
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EUバッテリー規則とは、EU市場に投入されるすべてのバッテリーを対象に、原材料調達から製造、使用、廃棄・リサイクルに至るライフサイクル全体の持続可能性や循環性、安全性を義務付ける包括的なEU規則である。従来のEU電池指令を全面刷新し、国内法化を介さず加盟国へ一律に直接適用される規則として2023年7月に採択され、同年8月17日に発効した。欧州グリーンディールやサーキュラーエコノミー行動計画の中核を担う政策の一つに位置付けられている。

EUバッテリー規制の対象区分と主な要求事項

本規則の正式名称は「Regulation (EU) 2023/1542」であり、電池単体だけでなく機器への内蔵・同梱品も含めたほぼすべての電池が対象となる。用途や構造に応じて以下の5つに分類される。

  • ポータブルバッテリー(携帯型): 密閉型かつ重量5kg以下
  • LMTバッテリー(軽車両用): 電動アシスト自転車や電動スクーター等に牽引力を供給するバッテリー(重量25kg以下)
  • EVバッテリー(電気自動車用): ハイブリッド車(HEV/PHEV)や電気自動車(BEV)等の駆動用
  • SLIバッテリー(始動・照明・点火用): 車両や機械の始動・点火用
  • 産業用バッテリー: 産業用途や電力貯蔵等に供されるバッテリー(2kWh超を含む)

実務上留意すべきEUバッテリー規制の中核要件

EU域内で上市・使用するための主要な要求事項は多岐にわたり、環境配慮設計からサプライチェーン管理までを包括する。

まず、製造から廃棄までの温室効果ガス排出量を算定・開示するカーボンフットプリント(CFP)要件が導入され、申告義務から性能クラス表示、将来的には上限値超過製品の上市禁止へと段階的に厳格化される。また、コバルト、天然黒鉛、リチウム、ニッケル等の調達における人権・環境リスクを管理するサプライチェーン・デューディリジェンス(DD)と第三者監査が義務付けられる。

さらに、再生原材料の利用義務や、個体ごとに性能や由来情報を追跡・開示するデジタルバッテリーパスポート(DBP)の導入、生産者責任に基づく回収・再資源化目標の設定、一般消費者や専門業者が容易に取り外し・交換できる設計要件などが盛り込まれている。欧州における廃電気電子機器(WEEE)規制に基づく太陽光パネルのリサイクル動向と同様に、使用済み製品の適正処理と重要資源の域内循環を促す枠組みがバッテリー分野でも構築されている。

段階的適用のスケジュールと目標数値

規則は2024年2月18日より本格適用が開始され、各種の義務や数値目標が段階的に施行される。

時期 対象・項目 要件・目標値
2027年2月 デジタルバッテリーパスポート(DBP) EV、LMT、2kWh超の産業用バッテリーに適用義務化
2027年 取り外し・交換の容易性 携帯型バッテリーを機器から容易に取り外して交換可能にする設計の義務化
2027年末 / 2031年末 廃バッテリーからのリチウム回収率 2027年末に50%、2031年末に80%
2027年末 / 2030年末 廃棄携帯型バッテリーの回収率 2027年末に63%、2030年末に73%(2023年末実績目標は45%)
2031年 / 2036年 再生原材料の最低使用比率(EV・産業用等) 2031年: コバルト16%、鉛85%、リチウム6%、ニッケル6% / 2036年: コバルト26%、鉛85%、リチウム12%、ニッケル15%

日本企業の実務対応とサプライチェーンへの影響

本規則の影響は、電池メーカー単体にとどまらず、蓄電池を組み込んだ自動車、工作機械、電動工具、家電などを欧州へ輸出するサプライチェーン全体に及ぶ。基準に適合しないバッテリーはCEマーキングを取得できず、域内での上市が不可能となる。

特にCFPの精緻な算定や再生材使用比率の証明、サプライチェーンDDには、Tier1からTier Nに及ぶ一次データの収集とトレーサビリティの確保が不可欠である。日本国内でも欧州のデータスペースとの連携を見据えた「ウラノス・エコシステム」などのデータ共有基盤の整備が進んでいる。さらに、算定結果やDD体制について第三者認証機関(Notified Body)による適合性評価が求められるため、早期の証憑管理や社内体制の構築が求められる。

参考

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環境ビジネス編集部

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環境ビジネスは、温暖化防止のための世界で初めての国際協定である京都議定書が1997年に採択されたことを受けて、その翌年創刊しました。当時、『21世紀は、環境の世紀』といわれ、私たちは、新たな時代の到来はもちろんのこと、新たな産業の息吹を感じ、環境に関するビジネスに役立つメディアを出版することになりました。ウェブマガジン「環境ビジネスオンライン」では、環境業界の注目ニュース・最新トレンド・政策・企業情報解説記事など、実務に役立つ情報・サービスを提供しており、多くの実務層の方々にご参照いただいています。

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