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最終更新日:2026年09月13日

デジタルプロダクトパスポート(DPP)

環境ビジネス編集部
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デジタルプロダクトパスポート(DPP、英語表記:Digital Product Passport、和名:デジタル製品パスポート)とは、製品の原材料調達から製造、流通、使用、廃棄・リサイクルに至るライフサイクル全体の持続可能性や循環性、トレーサビリティに関する情報を電子的に記録・共有する仕組みのこと。

欧州連合(EU)の「持続可能な製品のためのエコデザイン規則(ESPR)」などを法的根拠とし、製品の環境負荷低減や資源循環の促進、グリーンウォッシュの防止を目的として導入が進められている。EU市場に流通する対象製品に対して段階的に適用され、EU域外から輸出するサプライヤー企業にもデータ開示などの対応が求められる。

DPPの仕組みと記録される主な情報

DPPは、製品本体や外装に付与された二次元コード(QRコード)やRFIDタグなどのデータキャリアを通じてアクセスする設計となっている。国際標準に準拠したGTIN(国際取引商品番号)などの一意の識別コードを用いて、個々の製品やロットごとの情報と紐付ける。

データ管理においては、単一の巨大データベースに情報を集中させるのではなく、各企業が自社の「分散型データスペース」でデータを保有・管理し、欧州委員会が設ける中央登録簿(DPP Registry)と連携するアーキテクチャが採用される。これにより、企業の機密情報を保護しながら、必要なデータのみを取引先や消費者、規制当局に開示することが可能となる。

記録対象となる情報は多岐にわたり、構成素材や懸念化学物質の含有状況、耐久性や製品寿命、修理・分解の手順、リサイクル材の含有率、製品単位のカーボンフットプリントなどが含まれる。対象範囲は、食品や飼料、医薬品など一部の適用除外品目を除く、EU域内で上市されるほぼすべての物理的な製品に及ぶ。

導入スケジュールと義務化の流れ

欧州におけるDPPの法制化と運用開始は、複数の法令および段階的なスケジュールに基づいて進行している。

2024年7月に包括的な枠組みを定めたESPRが正式発効した。欧州委員会は2026年7月までに、すべてのDPP情報を一元的に検索・照合するための「DPP登録簿(DPP Registry)」の運用を開始する計画である。

個別の製品群において初の実装義務化となるのは、先行法令である「EU電池規則」に基づく蓄電池である。2027年2月18日以降、容量2kWhを超える産業用電池、電気自動車(EV)用電池、軽量輸送手段(LMT)用電池を対象に「バッテリーパスポート」の付与が義務付けられる。

さらに、ESPRの作業計画(2025〜2030年)に基づき、優先製品群として位置づけられた繊維(衣料・履物)、鉄鋼・アルミニウム、電子機器・ICT製品、家具、化学品などに対しても、順次個別の委任法令(Delegated Acts)が策定され、2027年から2030年にかけて義務化が順次拡大していく見通しである。

製造業の実務担当者が直面する課題と対策

DPPへの対応は、欧州へ直接最終製品を輸出している企業にとどまらず、国内外の多層サプライチェーン全体に波及する。自社の部品や素材が組み込まれた完成品がEU市場で販売される場合、サプライチェーン上位のメーカーから原材料調達履歴や環境負荷データの提出を強く求められるためである。

実務面では、Tier1からTierNに及ぶサプライヤーからカーボンフットプリント算定に必要な一次データを正確に収集・集計する体制の構築が急務となる。あわせて、素材の配合比率や製造ノウハウなどの営業秘密を保護しつつ、求められた環境指標のみを選択的に共有するデータガバナンスが欠かせない。

現在、欧州自動車産業のデータ連携基盤「Catena-X」をはじめ、日本国内においても経済産業省が主導する「ウラノス・エコシステム(Ouranos Ecosystem)」など、相互運用性を持った業界横断のデータスペース構築が進められている。実務担当者には、国際的なデータ標準規格の動向を注視し、社内の情報管理システムの改修やサプライヤーとの連携プロセスの標準化を進めることが求められる。

参考

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環境ビジネス編集部

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環境ビジネスは、温暖化防止のための世界で初めての国際協定である京都議定書が1997年に採択されたことを受けて、その翌年創刊しました。当時、『21世紀は、環境の世紀』といわれ、私たちは、新たな時代の到来はもちろんのこと、新たな産業の息吹を感じ、環境に関するビジネスに役立つメディアを出版することになりました。ウェブマガジン「環境ビジネスオンライン」では、環境業界の注目ニュース・最新トレンド・政策・企業情報解説記事など、実務に役立つ情報・サービスを提供しており、多くの実務層の方々にご参照いただいています。

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