太陽光発電システムの普及を決めるパワコン技術

住宅用パワーコンディショナ(以下:パワコン)メーカー大手のオムロン(山田義仁社長、本社・京都府)は昨年10月、複数台連系試験不要の単独運転防止技術・AICOT搭載型パワコン「KP40Kシリーズ」を開発した。ソーラータウン建設のため局所集中地域でも太陽光発電システム(以下:PV)設置が制限されず、複数台が電力系統に連系可能で、PV普及に大きく貢献できる。
「すべての家庭にソーラーを」という理念のもと、PV普及化を図り、太陽光発電の認証機関であるJETの新認証として本技術が採用された。
AICOT(アイコット)とはAnti-Islanding COntrol Technorogyの略称で単独運転防止技術という意味である。停電が発生しても0.2秒以内で高速検出し、他の干渉を受けずに安全停止できるという仕組み。現認証のパワコンと比べ、町全体で単独運転が検出できるため、守備範囲が広いことも特徴だ。

PVが単独運転し続けると復旧人員の感電、設備火災などの要因になる可能性がある。このため、PV設置時の電力会社との連系協議には、パワコンメーカーに複数台連系試験を要請しなければならないことがある。試験には1~2ヶ月の期間を要すため納期の長期化や顧客満足の低下につながる。

だが、AICOTであれば複数台連系試験が不要なため、このリスクを解消できる。施工業者にとって工数削減は大きなメリットになるといえる。
同様にPV設置時には、7割ルールという運用が設けられている。同ルールは、停電時に現認証のパワコンでも安全に停止できるように、地域の分散型電源の設置容量を昼間最低消費電力の7割に抑えるというもの。この7割ルールから、試算すると町全体の約1割程度しか導入できないことになる。ソーラタウン建設には、この問題を解消させる技術が必須である。

そこで同社は02年よりNEDOの委託事業「集中連系太陽光発電システム実証研究」で技術開発を行った。群馬県太田市のソーラータウン「Pal Town城西の杜」では総数533戸、総発電量2129kWと世界でも最大規模の集中連系に成功、業界初のシステムとなったのである。
─PV普及に向け動き出したAICOT─。家庭だけでなく産業分野に展開。縁の下の力持ちとして安全で安定した電力供給を実現する。

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