BCP、太陽光発電などと相性抜群の蓄電システム

  • 印刷
  • 共有

各電力会社が料金の再値上げを検討する中、企業・公共施設など、電気代の節約が喫緊の課題。電気を効率的に貯めて使う「リチウムイオン蓄電システム」について東芝ITC 電機システム事業部の西貝氏にそのメリットについて話を聞いた。

リチウムイオン電池の寿命は10,000サイクル以上

東芝ITコントロールシステム株式会社 電機システム事業部 主幹 西貝定勝氏
東芝ITコントロールシステム株式会社
電機システム事業部
主幹 西貝定勝氏

東芝ITコントロールシステム(東芝ITC)は、蓄電システムにおいて高い技術力を持ち、機器の販売からシステムコーディネートまでトータルで提供できる。「蓄電システムにおいて肝となるのは、やはり電池」と電機システム事業部 主幹 西貝氏。

同システムには、2008年に東芝が開発し量産を開始した新型二次電池SCiB™を使用。SCiB™は、同社独自の酸化物系新材料を採用し、外部からの力で内部短絡が起きても熱暴走しない安全性の高い電池だ。

通常、4,000~6,000の充放電サイクルで電池容量が約60%まで落ちる従来のリチウムイオン電池に比べ、SCiB™は10,000サイクル以上使用しても90%近く残っており、寿命も長い。また、氷点下を下回る極寒冷地でも使用できる優れた低温性能も持つ。


※画像をクリックすると拡大します。

※本資料は保証値を示すものではありません。また予告なく仕様の改訂を行うことがあります。

東芝ITCの蓄電システムは、単相連系タイプ、三相連系タイプの両方をラインナップ。産業向けの蓄電システムで単相をラインナップするのは珍しいが、小さな事務所や個人の病院、集会場、コンビニなどの低圧需要家では、単相連系タイプのニーズが高い。

「単相タイプを開発したきっかけは、3年前の東日本大震災。蓄電システムは、特に災害時の電気供給に重要な役割を果たすシステムです」と西貝氏は語る。同社では、緊急時の事業継続計画(BCP)対応機として、この10月に10kWの単相連系タイプを市場に出す予定だ。

電力料金削減にも力を発揮

蓄電システムは、ピークカットにも効果的だ。ピークカットにより、電力がピークになる時間帯を蓄電池の電力で補い、電力デマンドを抑えることで契約電力を低減し、契約料金を引き下げることができる。電力デマンドに効いてくるピークカットは工場などでは特に重要だ。ピーク時に一度でも電力が大幅に上がってしまえば、それが翌年度の契約値になってしまう。

「システムでは、電力値が瞬間的にあがる時間帯を検知し、その電力を電池で補うことで全体の受電電力を下げる。ピークカットは、まずは電力のピークがいつ出ているのかを知ることが重要。そうしたエネルギーの見える化、マネジメントも含め対応している」と西貝氏。

画像左:単相連系タイプ(標準:屋外仕様)PCS出力 3kW/10kW 蓄電容量 4.4~176kWh 画像中央、右:三相連系タイプ(標準:屋内仕様) PCS出力 10kW/25kW 蓄電容量 11kW~176kWh ※画像をクリックすると拡大します。
画像左:単相連系タイプ(標準:屋外仕様)PCS出力 3kW/10kW 蓄電容量 4.4~176kWh
画像中央、右:三相連系タイプ(標準:屋内仕様) PCS出力 10kW/25kW 蓄電容量 11kW~176kWh

代替電源としての蓄電池

東芝ITCの蓄電システムは、太陽光発電との親和性が高い。西貝氏は「再生可能エネルギーを使うことを前提として製品開発を進めたので、太陽光等 との組み合わせは抜群」と語る。太陽光発電と蓄電システムを併用することで、平常時は両方の電気を利用し電力消費のピークを抑制。

電池が一杯になった時には、余剰電力を電力会社へ売電することで、電気を無駄なく活用できる。非常時は、昼間、太陽光発電の電気を利用し、余った電気を電池に貯め、夜間は蓄電池から電力を供給する。今後は電気自動車(EV)はもちろん、水素を使った燃料電池自動車(FCV)との組み合わせも考えていくという。

「避難施設や重要施設等で、太陽光の余剰電力を使って水素を作って貯めておき、災害時には燃料電池によりこれを電気と温水として施設に長期に渡り供給するインフラシステムの開発も行なっています」と西貝氏。東芝は今後、水素事業にも力を入れていく方針で、東芝ITCも新しい蓄電システム開発の一端を担っていく。

エネルギーシステムの中で、"ためる"を担うリチウムイオン蓄電システム。BCPや太陽光、電力の効率的な利用に不可欠な同システムは、今後スマートシティなど幅広い分野へ応用が期待されている。10000サイクルを超えてもなお衰えないタフさ、寒冷地でもパフォーマンスを落とさない性能など、オフィスや商業施設、公共施設で幅広く活用できるため、これからのエネルギーシステムの中核を担う機器として、是非チェックしておきたい注目のシステムだ。

【東芝ITCの蓄電システムについて】
資料請求・お問い合わせ
東芝ITコントロールシステム株式会社
〒160-0023 東京都新宿区西新宿6-24-1
西新宿三井ビルディング17F
TEL:03‒4574‒6876
http://www.toshiba-itc.com/

この記事にリアクションして1ポイント!(※300ポイントで有料記事が1本読めます)