やはりLED?2015年省エネ補助金採択結果の分析
エネルギー使用合理化等事業者支援補助金の2016年度概算要求額が、本年度の3倍近い1260億円となり、話題を呼んでいる。省エネ事業の補助金申請に精通するリミックスポイントに、2015年度の本補助金の傾向について取材した。
本年度の採択率は40%と難関
「補助金」と聞いて、全く興味がない企業はないだろう。省エネ補助金の代表格である「エネルギー使用合理化等事業者支援補助金」(以下、エネ合補助金)の2015年度予算は410億円であったが、2016年度は1260億円が概算要求され、大幅な予算額の増加に関心が高まっている。
省エネ事業の補助金支援を行っているリミックスポイント調べによると、本補助金の2015年度申請件数は約3300件あり、そのうち採択数は1332件、採択率は40.4%であった。2014年度の申請件数は約2400件、採択数1472件、採択率61%であったことから、人気が高まり、競争が激しくなっていることが分かる。
申請件数 | 採択数 | 採択率 | |
---|---|---|---|
2015年度 | 3,300* | 1,322 | 40.4% |
2014年度 | 2,400* | 1,472 | 61% |
「工場」「LED」の採択割合が高いのが特徴
採択された1332案件全体について業種別に分析すると、「生産工場」が390件*で全体の29.2%、「店舗」(飲食、ホームセンター、ディーラー、ショッピングなど)が240件*18.0%、「ドラッグストア」が177件*で13.3%を占めており、工場の採択割合が高いことが今回の大きな変化だ。「平成26年度の補正予算で公募された『A類型(最新モデル省エネルギー機器等導入支援事業)』では、工作機械が多く採択されたと言われていますが、工場で活用できる補助金を通して、設備更新への関心が高まり、平成27年度のエネ合補助金でも多く採択された結果につながったと見ています」とリミックスポイントの浜高 秀和(はまたか ひでかず)氏は分析する。
改修された設備別の分析では、「照明単体」の改修が454件*で34.1%、「空調・照明」が185件*で13.9%、「空調・照明・EMS」が135件*で10.1%と続く。
つまり既存の古い照明をLED照明に改修するだけの申請が、突出した採択数であった。「LED照明は、既存の照明からの置き換えだけでも、照明に費やすエネルギーの半分近くを削減する効果が見込めます。導入コストも安いので、費用対効果も高くなり、結果として採択に繋がりやすい設備です」と浜高氏は解説する。
では、そこから採択される事業にする方策とはどういうものか?「これが良いから申請が通るというものはありませんが、まずはエネマネ事業者を活用する際の要件である、省エネ率10%を超えるようにすることが重要かと思います。さらに公募要領にある評価項目に忠実に従い、総合評価を上げていくことが必要です」と浜高氏は語る。
次年度の補助金獲得に向けてすべきこと
平成28年度の補助金申請に向けて、今からできることはあるだろうか?「設備更新の計画を早く決めることが重要です」と浜高氏。補助金の公募期間は約1ヶ月。1ヶ月では、申請書類を作ることは可能でも、補助金が採択される事業に組み上げていくことが難しいという。「補助金採択のハードルも年々上がっています。申請の手間も非常にかかりますし、ぜひ専門家に相談してほしい」。
* 表、本文中の数値はリミックスポイント調べ
下記にて2015年度エネ合補助金の詳細な採択分析結果がダウンロード頂けます。
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