新電力で「自社の強み」を活かしたビジネスモデルを構築(2ページ目)

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電気を売るだけでなくプラスαの付加価値を創出

――それでは代理店事業に参入する場合、どのような新電力事業者を選んだらよいのでしょうか。

江田 一つはそうした代理店のアイデアに柔軟に対応する新電力事業者であること。それから、たとえば、loT(モノのインターネット)も関連しますが、今後30分値で使用電力が把握できるスマートメーターのデータを第三者でも利用できるようになります。いつ、どこで、何の電気機器を使用しているか詳細に分析可能になるでしょう。すると宅配便の荷物を届けるタイミングや、あるいは遠く離れた親御さんの見守りにも、そうしたデータが利用できる。

欧米では、使用電力データからどんな家電が使われているか推測するサービスもすでにあります。また使用電力データをリフォーム提案に活用するために新電力に参入したハウスメーカーもあります。

電力データからいろいろなことが読み取れます。デパートであれば各フロアーの顧客の分布がわかるし、省エネ対策のヒントも得られる。また電力データをビックデータとして解析すれば、夜型の人間はこうした商品・サービスを購入する傾向があるという具合にマーケティングにも活用できます。さらに2017年度にはネガワット取引市場も創設され、節電に応じた対価を得るなど、お客様にもメリットがでてきます。それにもIoTが重要な役割を果たすと思います。

代理店事業への参入を考える場合には、このように将来をにらみ、電気を売るだけでなく「プラスαの付加価値」を創出することに意欲のある新電力会社が選ぶことが重要です。

1990年代半ばインターネット革命が起き、それを事業に取り込めない事業者は市場からの撤退を余儀なくされました。現在インターネットの重要性を感じない人はほぼいないでしょう。ITバブルに乗ることができた企業は、強いストックを得ています。当時はその判断がつかなかった経営者が多かったのも事実です。

いま、電力・エネルギーの世界でそれに似た大きな変革の波が押し寄せています。経営者は先を見据えEMSやスマートメーターにより集めたエネルギー使用・管理のデータを「見える化」し、それをどう活用するかを考えなくてはなりません。新電力事業者、その代理店事業者はそうした経営者の新たなビジネス展開をサポートすることで、相互にWin-Winの関係を創りだしていくことができるポジションを担っています。

今回の「第1回:新電力への参入」では、新電力マーケットの動向と、その販売戦略のおおまかな外枠についてまとめた。第2回では、新電力を活用した、より具体的な販売戦略、拡販戦略について解説する。

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江田健二氏
江田健二氏
株式会社リミックスポイント 社外取締役
(RAUL株式会社 代表取締役社長、一般社団法人 エネルギー情報センター理事も務める) 著書では『かんたん解説!! 1時間でわかる 電力自由化入門』『3時間でわかる これからの電力業界』等があり、講演活動では、『新電力「勝てる」営業の仕組み作りセミナー』などの新電力関連はもちろん、エネルギー業界の動向などをテーマに、積極的にセミナー講演をしている。