平均省エネ率アップ、採択率はダウン 高まるエネ合補助金の壁
採択案件の平均省エネ率が大幅にアップし、年々、ハードルが高くなる省エネ補助金(現エネ合補助金)。しかし、補助金採択には幾つかのポイントがある。
環境ビジネスと宣伝会議が主催した「省エネルギー商材 ソリューション営業力養成講座」に、3年連続で「エネマネ事業者」に採択されたリミックスポイントのシニアコンサルタントとして補助事業のサポートをしてきた近藤文男氏に、講師として登壇してもらった。今回は近藤氏に「確実に採択されるための補助金申請テクニック」について話を聞いた。
こちら、もしくは文末より、講演資料「確実に採択されるための『申請と採択のポイント』」をダウンロードできます。

案件レベルアップで、年々、競争が激化する補助金採択
省エネソリューション営業には欠かせないといってもいい省エネ補助金の採択率が年々、低下している。平成25年度以降、申請額が予算額を大きく上回り、とくに27年度、28年度では採択件数・採択額とも申請件数・額に比べ、5割にも満たない状況だ。
もし採択に至らなければ、省エネ設備への更新費用が全額負担となることに加え、申請書作成に掛った労力も水の泡となる。加えて、今年度は、恒例の補正予算での公募も見込まれず、さらに採択ハードルが高まりそうだ。

しかし、だからこそ、採択案件の傾向を把握し、綿密に計画を立てて遂行し、補助金を獲得することができれば、お客様からの信頼を醸成することにもなる。
それでは、近年の申請・採択状況には、どのような傾向がみられるのだろうか?

第一事業部 第一営業グループ
グループマネージャー 近藤 文男 氏
補助金採択のポイントを押さえたコンサルティングで定評のあるリミックスポイントの近藤文男氏は「一つは申請案件の省エネ事業内容がレベルアップし、競争が激化していること。それに伴い採択案件の省エネ率は年々上昇しています。例えば、採択案件の平均省エネ率は、平成23年度に12.0%だったのが、平成28年度では22.5%と約2倍に跳ね上がりました。
それから、申請・採択とも約半数を中小企業が占めていますが、平成25年度以降は、中小企業の申請の方がその他の企業の申請に比べて採択率が上回っています。」と最近の傾向を指摘する。
空調・照明・EMSなどを組み合わせた複合的・広範囲な設備更新が有利
また、リミックスポイントが交付決定一覧(個人事業主は除く)から集計したデータによると、業種別では小売店舗(ドラッグストア、スーパー、その他店舗等)の割合が高く、対象設備別で見ると空調単体や照明単体の割合が減少し、空調・照明・EMSなど複合案件の割合が増加している点が目立つ。

さらにエネマネ事業者がEMS(エネルギー管理システム)の導入・管理支援を行う事業の申請割合が大きく増えており、EMS導入が採択結果に大きく影響を及ぼしていることも見逃せない。
平成27年度の採択事業のうちEMS導入案件は約24.5%だったが、28年度では約2倍の約48.3%を占めるまでに至った。つまり、申請件数が増加し、その事業内容もレベルアップする中で、採択を目指すには、まず省エネ率を効果的に高めることが必須条件となる。
近藤氏は、採択の可能性を上げるためのポイントとして、下記3点を挙げる。
- 複数の設備を更新する
- 更新する範囲を増やすなど、なるべく単体ではなく複合的に、かつ広範囲に設備更新を検討する
- トップランナー基準を満たすなど、より省エネ性の高い機器を選定する
また、交付申請に際しての注意事項として下記の3点が挙げられた。
- 現地状況(既存設備)の事前確認を徹底すること
- 能力不足等に陥らないように仕様を十分に確認し、新設備の機器選定をすること
- 省エネ計算の根拠を押さえること
「竣工図面と現地状況が異なる場合や、能力が不足している内容で申請した場合など、補助の対象外となることもあります。しっかり現地を確認し、現地状況とで相違がないことを確認した上で申請書を作成し、採択後は計画した内容通りに事業を実施することが必要です。」と近藤氏は助言する。
さらに、「エネマネ事業者の活用では補助率が1/3から1/2に上がるだけでなく、エネマネ事業者からのサポートで大幅に事務手数が軽減できます。また、1年後の成果報告まで、執行団体から入る様々なヒアリングや指摘などにも対応し、要件となる3年間のデータ管理や省エネ効果の検証などサポートも受けられます。」と活用メリットを挙げ、EMSの導入・エネルギー管理支援サービスを勧める。
スケジュールイメージを把握し、今からでも事前準備を
「補正予算での公募の有無や規模、他の補助金の活用可能性など、その時々で競争率は大きく変わります。そうした全体の情勢を考慮しながら、その時の予算額や申請額をもとに採択ラインを見極める必要があります。」と近藤氏。
そのためにも「公募期間や補助事業期間を早くから確認し事前準備をしておくことが大きなポイントになります。」と改めて強調する。

エネ合補助金では、通常、公募期間が毎年6月前後にかけての1カ月程度しかない。期日までに申請するには、お客様や関係者との打ち合わせを含め、綿密な事前準備が必要だ。
また、発注は通常8月下旬頃の交付決定日以降となり、翌年1月末までに事業を完了する必要がある。逆算すれば工事可能期間はおおむね9月初旬~12月末の間に限られる。
補助金を活用するにはこうした補助事業期間に沿うよう、事業実施時期や期間を調整することが不可欠だ。
近藤氏は「こうしたスケジュールイメージをしっかりと把握し、今から事前準備を進めていくことが補助金採択への近道です。」とアドバイスする。
リミックスポイントは、2017年2月15日(水)~ 17日(金)の3日間、東京ビッグサイトで開催される【ENEX2017 ~第41回地球環境とエネルギーの調和展~】に出展する。補助金申請支援や省エネコンサルティング、新電力ビジネスなど、総合的なエネルギーマネジメントのノウハウを展示予定。
【東京ビッグサイト東1・2ホール コマ番:1J-03】



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