売却じゃない!太陽光の権利IDを『現物出資』して、安定収益を得る事業スキーム

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太陽光発電の適地が減少する中、様々な形で再エネ発電を普及させようとする動きが始まっている。そんな中、発電事業に参入しようとせっかく取得したものの、未着工で「休眠状態」の発電所権利IDに注目したのが、株式会社ゼックが今回の新しいビジネスモデルを構築した背景だ。事業化に課題をかかえる権利IDの所有者に対し、ファンドに権利IDを「現物出資」することで、発電事業に取り組もうと呼びかける。

権利ID売却のケースに比べ、1.6倍の売電収入が見込める

2017年4月1日、改正FIT法が施行され、太陽光発電(10kW以上)の事業認定(権利ID)取得から運転開始までの期限が3年と定められた。期間内に権利を行使しなければ、20年の買取期間が短縮されることになる。その上、新たな要件として、20年間という長期間の発電事業計画を定めること、発電設備の適切な保守点検と維持管理を行うこと、事業を廃止する際に発電設備を適切に処理することなどが加わり、発電事業へ参入するハードルも上がった。

こうした中で、『金融機関から融資を受けられない』『事業の進め方がわからない』『発電所を20年間、運営していく不安』などの悩みを抱える事業者も目立つ。さらに事業化の目途がたたずに、せっかく取得した権利IDを売却する事業者も増えている。

ただし売却の場合、取引には複数のブローカーが介在するなど仲介プロセスが不透明で、必ずしも売主の意向が反映されないケースもある。また、権利IDの情報が出回ることや成約まで時間がかかること、さらに高額な所得税を一度に納めなければならないことなどから二の足を踏む事業者も多い。

そうした事業者に向け、再エネ市民ファンドの組成・運営を行うゼックが新たな選択肢を提案している。ゼックが運用する分譲ファンドに所有する発電所権利IDを提供することで、市民ファンドの発電事業に参加し、権利相当の売電収入を20年間にわたって受け取ることができるというプランだ。

ゼックが提案する発電所権利IDを「現物出資」する事業スキーム
ゼックが提案する発電所権利IDを「現物出資」する事業スキーム
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同社代表取締役の柳川 勇夫氏は「権利IDを現物出資していただくだけで、他に費用負担はありません。建設資金は市民ファンドによって集め、発電システムの構築から電力会社との折衝、メンテナンスまですべて当社が担当するので手間もかかりません。もし権利IDを売却してしまえば、発電所を持ちたいという夢は果たせませんが、権利IDそのものを現物出資していただけば、市民ファンドと一緒に発電所を完成させ、間接的に発電所オーナーになることができます。しかも、20年間に受け取れる金額は、従来の市民ファンドの実績からみて、権利売却の場合に比べ1.6倍を見込めます」と事業スキームの特長を語る。

受取金額比較イメージ

市民ファンドを組成し、全国14カ所の発電所を建設・運営

ゼックの市民ファンド組成事業は、再生エネルギーの普及を図り、ゼロエネルギー社会を実現しようと2012年のFIT法施行と共にスタートした。スタート前には当時の再エネ先進国ドイツを訪れ、現地で市民ファンド組成・運営のノウハウを蓄積。現在、13の市民ファンドを組成、14カ所の太陽光発電所(計約8MW)の建設・運営の実績を持つ。

株式会社ゼック 代表取締役 柳川 勇夫氏
株式会社ゼック 代表取締役 柳川 勇夫氏

柳川氏は「出資者を集めて発電所を建設することが、事業の終点ではありません。事業の目的は出資者の皆さんに代わり、20年間長期安定的に発電することで、予測した収益を確保することです。そのための運営・管理はトラブル時の人員派遣も含め、すべて我々が手配します」と同社太陽光発電事業の特長を挙げる。さらに出資者に対し発電データなど運用実績をオープンにし、定期的にファンドの財務資料を発行するなど、情報の透明性が高いことも特長の一つだ。「遠隔監視のデータなども出資者全員にIDパスを発行して、オープンにしています。当初は再エネファンド自体の知名度も低く、出資者を集めるのにも苦労しました。しかし、現在はこうした姿勢が出資者の方から評価いただき、1.5MWの発電所でも2週間で募集を締め切るほどです」(柳川氏)

出資者の半分以上はリピーター、再エネ普及の関心が高い

出資者は毎回、半分ほどがリピーターで埋まるという。「無理なく社会貢献したい」「電源構成改善につながる機会を得られた」などの声が寄せられ、投資リターンを期待して投資すると言うのは当然ですが、再エネに関心が高い層が多いのが特長だ。次のファンド組成はいつごろかという問い合わせも多く、柳川氏は「自前で用地・権利を調達するだけでなく、広く権利IDの現物出資を募集し、さらに再エネの普及を促進していきたい」と話す。

ゼックでは、現在1MW~2MW規模の太陽光発電所の規模を中心に運営・管理しているが、今後出力数百kW~7MW(事業費2~20億円程度)まで、広範囲での権利IDの提供を呼びかける。また、今後は太陽光発電だけではなく、小水力、バイオマス、風力など他の再エネ発電所についても検討し、一緒に開発していきたいとしている。

柳川氏は「権利IDの現物出資は名義の変更を伴いますが、IDを売却することとは全く異なります。ファンド出資者と一緒に発電所を建設し、20年間発電事業を楽しむことができます」と発電所ビジネスにおける同社事業の意義を強調する。

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