3社のノウハウが結集した新発電所! その舞台裏に迫る

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太陽電池メーカーのサンテックパワージャパンが事業の柱の一つに掲げるIPP事業。2019年度は約200MWの案件開発を計画している。そんな同社が昨年12月21日に稼働を開始した「熊谷太陽光発電所Ⅱ(2.6MW)」は、EPC事業者の京セラコミュニケーションシステム、そしてファイナンスの面では三菱電機クレジットと連携した。今後同社は、FIT買い取り価格が低下する中で低単価の案件にも果敢にチャレンジし自社のIPP事業の拡大を目指す。

ロケーションに恵まれた熊谷太陽光発電所Ⅱを竣工

熊谷太陽光発電所Ⅱ

熊谷太陽光発電所Ⅱ

太陽電池メーカーとして豊富な実績をもつサンテックパワージャパンが国内外で太陽光発電所の開発を加速させ注目されている。同社では2016年より太陽光発電のトータルソリューション企業を目指し、IPP事業を新たな事業の柱に据えようと積極的に開発をしている。IPP・O&Mセールスグループのグループマネージャー、武田 宏樹氏は「2019年には計200MW超の案件を仕込む計画を進め、今後FIT価格14円という条件においても案件開発に継続的に取り組んでいく予定です」と意欲的だ。

サンテックパワージャパン IPP・EMSグループのグループマネージャー 武田 宏樹氏

サンテックパワージャパン IPP・O&Mセールスグループのグループマネージャー 武田 宏樹氏

昨年も国内で出力計8.1MWの太陽光発電所を稼働。中でも最大の発電設備は昨年12月21日に稼働を開始した埼玉県熊谷市に建設された熊谷太陽光発電所Ⅱだ。使用モジュール325W×8010枚、発電能力約2.6MW、初年度年間予測発電量311万8000kWh/年、面積約3万7700m2、売電価格は21円/kWh。敷地は山林だが傾斜や起伏もほとんどなく、日照条件も良い。そのうえ系統連系に要する期間も短く、負担金も検討範囲内で、条件にも恵まれた。EPC事業者は再エネ発電のエンジニアリング事業に実績のある京セラコミュニケーションシステム(KCCS)に委託した。

初の21円案件に挑戦し、コスト削減に大きな成果 ~京セラコミュニケーションシステム~

京セラコミュニケーションシステム 環境エネルギー営業部東日本営業課責任者 徳永保之氏

京セラコミュニケーションシステム 環境エネルギー営業部東日本営業課責任者 徳永保之氏

京セラコミュニケーションシステム(以下、KCCS)の環境エネルギー営業部東日本営業課責任者の徳永保之氏は「サンテックパワー様からの受注事業は今回が初めてです。しかも当社にとって初の21円案件であり、いかにコスト削減を図るかという大きな課題にチャレンジできました。想定した予算内、工期内でやり遂げたことは今後、FITの単価が下がる中でEPC事業を進める上でも大きな成果となりました」と振り返る。

同社は1990年代後半から公共・産業・住宅用の太陽光発電設備の建設を手がけ、2012年に本格的にメガソーラー発電所のEPC事業に参入。メガソーラー(1MW以上)については、2019年1月時点で施工中の案件を含め67件、容量約385MWの実績がある。もともと全国の携帯電話の無線基地局建設からEPC事業をスタートし、その高い技術力・ノウハウには定評がある。さらに基地局工事により全国に協力会社網を構築。現場に近い地元協力会社に工事を発注し、コストを削減できることも強みだ。今回の施工期間は約5カ月間で、人手不足問題がいわれる中、土地造成から設備施工まで工事会社を一社に絞り込み、建機、作業員、部材搬入などスケジュールを徹底的に管理することでコスト削減に成功した。

サンテックパワージャパンの武田氏は「今回は厳しいコスト削減の要求にきっちりと対応していただき、しかも高い品質の設計・施工を実現していただいた。加えて、プロジェクト・ファイナンスを組むので、金融機関の要請による条文や特殊な要件が入るが、何ら問題なく対応していただいた」と評価する。

一方、徳永氏は「エンジニアリング部門からは、現場で想定外のことが起きたときにもサンテックパワー様に相談すると迅速に対応していただける一方で、こちらからの提案にも積極的に耳を傾け、取り入れていただくなど、相互にコミュニケーションが円滑に図れ、工事もスムーズに進行したとの声が上がっています」という。

サンテックパワージャパンでは今後、地上案件に加え、水上太陽光発電所の開発も検討中。水上太陽光発電所では日本最大規模の発電所など多くの施工実績をもつKCCSに「今後ともぜひ、ご協力いただきたい」と呼びかける。

迅速にファイナンスを提供する優れたノウハウ、~三菱電機クレジット~

三菱電機クレジット エネルギー・インフラソリューション営業部主任 下岡晴彦氏

三菱電機クレジット エネルギー・インフラソリューション営業部主任 下岡晴彦氏

サンテックパワーのIPP事業では案件ごとにプロジェクト・ファイナンスを組成。発電施設の資産・権利を担保とし、売電収益によるキャッシュフローで返済する。熊谷太陽光発電所Ⅱプロジェクトでは、三菱電機クレジットがファイナンスを提供した。同社はさまざまなリース・ローン事業などとともに再エネ発電事業者向けにプロジェクト・ファイナンスのサービスソリューションも提供。同社エネルギー・インフラソリューション営業部では現在まで設備容量約200MW、約60カ所の再エネ発電設備に融資を提供している。

一般的にプロジェクト・ファイナンスはコーポレート・ファイナンスよりも、事業性検証のための審査書類等が多くなるなど、審査に時間や手間がかかる。そのため「融資案件は1案件で10MW以上とか、2MWくらいの規模であれば複数案件をまとめてという具合に規模要件が厳しくなる」(武田氏)。そんな中で武田氏が熊谷太陽光発電所Ⅱの資金調達先を検討しているところに、三菱電機クレジットの下岡晴彦氏から営業の電話がかかった。サンテックパワーが積極的にIPP事業を推進しているとの情報を得たからだ。三菱電機クレジットでは他の金融機関と差別化を図るために、社内で審査情報を標準化し、1MW、2MW規模でもスピード感をもってプロジェクト・ファイナンスを組めるようにノウハウを磨いてきた。

武田氏は「今回の熊谷太陽光発電所Ⅱ(2.6MW)のプロジェクトについて早速検討をいただいたが、審査も迅速で、契約後も施工期間やコストの変更などさまざまな場面でも素早く対応していただき、本当に助かりました」と振り返る。

また下岡氏も「再エネ発電事業を金融商品のように捉える事業者も多い中で、サンテックパワー様は業界のリーディングカンパニーとして、発電事業にかかわる正確な知識や経験も豊富で、不測の事態が起きても素早く対応し情報を共有していただけるので、安心して取り組むことができました」と評価する。

また同社ではFIT価格21円案件への初めての融資ということもあり「今後のプロジェクト・ファイナンスを組成する上で、勉強もさせていただいた。これからの太陽光発電市場は知識・ノウハウを持たない発電事業者は淘汰される時代になると思うので、サンテックパワー様のような会社といかに連携して取り組んでいけるかが課題となる」と話す。

「すでに事業化できそうな案件が追加で出てきている。下岡さんに相談しながら次回以降の案件も検討をしていきたい」と、武田氏もこの先の展開を見据える。

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