社内意識が変わる!COOL CHOICEで顧客、社内を巻き込む活動へ

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「これからの脱炭素経営 ― 環境・エネルギー戦略で事業成長 ― 」をテーマに、2019年2月15日に開催された環境ビジネスフォーラム(主催:日本ビジネス出版)。当日は脱炭素経営に向けたヒントが紹介された。

脱炭素経営に欠かせないのが、社内啓発。パネルディスカッションでは、好事例企業が登壇。また環境省が掲げるCOOL CHOICEなど、社内での浸透・意識改革に役立つ施策も紹介された。

地道な工夫の積み重ねが先進事例をうみだす

COOL CHOICEは、地球温暖化対策に資する「賢い選択」をしていく国民運動。この活動では、社内啓発にも活用できるコンテンツが用意され、多くの企業で導入が進む。

「環境ビジョン2030」を策定し2017年にSBT認証を受けたLIXILは、地球にも人にも優しいエコを推進するため、「みんなでスマイルエコプロジェクト」を通して社内外に啓発。室内温度に着目した「THINK HEAT活動」では、オリジナル温度計を社員と顧客に配布し、冷暖房の設定温度と室内温度を測りその差を体感することで行動変容を促す。脱炭素経営で重視したのが、早期からの経営層の巻き込み。役員室を使わず堅苦しくない雰囲気で勉強会を実施し「環境を取り巻く現状を知ることで、おのずと、業界をリードする企業としてすべきことが見えてきた」(LIXIL EHS推進部部長川上敏弘氏)という。

ソフトウェアの受託開発などを行うアルファシステムズは、2004年にISO14001を取得し、現在も運用中。COOL CHOICEへの賛同登録は、「新しい取り組みができないか」(アルファシステムズ 品質管理部課長 大沼慶雄氏)との考えから。国民運動としての意識に加え、同サイトに好事例として紹介されたことで、「全社でやって良かったという気持ちで、取り組みが積極的になった」(大沼氏)という。従業員にとって『環境は業務と直接関係のない活動』になるのが悩みだった同社。しかし、地元の環境ボランティアへの参加など、社員交流の一環とした活動を推進し、意識向上に成功した。

セブン&アイ・ホールディングスの社是は1972年につくられた。まだCSRという言葉がなかった時代にもかかわらず、ステークホルダーの概念が取り込まれている先進事例だ。多くの顧客が来店する業態であるため、「使命は、日々接するお客様にどう伝えいていくか」(セブン&アイ・ホールディングス サステナビリティ推進部オフィサー 尾崎一夫氏)との考えを持つ。COOL CHOICEロゴをパッケージ、ポスターなどに掲出し、顧客へのPRに活用。「間伐材も使用するセブンカフェの容器など環境に配慮したものを使うことで訴求力を高めている」(尾崎氏)。

当日は400名がパネルディスカッションに聞き入った
当日は400名がパネルディスカッションに聞き入った

脱炭素化経営に取り組むために

事例から見えるのは、先進的な企業であっても小さな取り組みの積み重ねから始まったということ。これらを通し、環境省 地球環境局地球温暖化対策課長 奥山祐矢氏は「ただ我慢するだけでは社内にも社会にも浸透しない。付加価値ある取り組みが重要」と述べる。

今後について、セブン&アイ・ホールディングスは、「お客様にもご理解をいただけるよう、啓発を推進していくことが大切」とする。LIXILはみんなでスマイルエコプロジェクトなどで顧客や社員の意識を高め、環境を含めた価値判断ができる人材育成も視野に入れる。アルファシステムズはCOOL CHOICEでの社内外アピールに加え、自社製品に環境面への付加価値を絡めて訴求していく。最後に奥山氏は「環境を切り口に活動している企業の取り組みを応援していきたい」と、脱炭素経営をバックアップしていく姿勢を示した。

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COOL CHOICE COOL CHOICEとは?
脱炭素社会づくりに貢献する製品への買換え、サービスの利用、ライフスタイルの選択など、地球温暖化対策に資する「賢い選択」を促す国民運動


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