『空気環境』から世界の課題を解決する。空気を起点に、循環型ビジネスを創出

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人が生きていくうえで欠かせない要素である『空気』。世界では大気汚染による健康問題なども起きており、『よい空気環境』を作り出すことは共通の課題だ。企業の枠を越えてパートナーシップを組み、『空気』の視点で世界の課題解決に貢献する、ダイアン・サービスとエステーの取り組みを伺った。

『空気をよくする』事業を通じた課題解決

―ご両社とも、長年『空気』をテーマとして事業を行っていらっしゃいますね。

佐伯氏 当社は大手空調メーカーの代理店としてスタートしましたが、ユーザー様の声を受け、エアコンの吹き出しから出る風が直接当たらないようにする風よけ「エアーウィング」の開発をきっかけに、ものづくりに取り組んできました。『空気をコントロールする』ことをコンセプトとし、今ある動力を利用していかに付加価値を生み出せるか?を起点にものづくりをしています。現在、弊社で提供しているエアーウィングはプラスチック製ですが、近年の脱プラスチックの潮流に対応するため、紙製にできないか検討しているところです。今、SDGsがビジネスの世界で盛り上がっていますが、社会への広がり、インパクトを考えたとき、日本企業の大半を占める中小企業こそが取り組むべきだと感じています。

奥平氏 当社は衣類の防虫剤からスタートした企業ですが、社会構造の変化に対応し、成長するなかで、現在は消臭力に代表されるエアケア(消臭芳香剤)が売上構成比4割を超える主力カテゴリーになっており、今後とも空気を通じて、お客様の暮らしを明るく元気にしていきたいと考えています。

左から、奥平壮臨氏(エステー株式会社 事業統括部門 ビジネス開発事業部 クリアフォレスト担当部長)、 佐伯午郎氏(株式会社ダイアン・サービス 代表取締役)、池 裕次郎氏(株式会社ダイアン・サービス 副社長 第二営業本部長)
左から、奥平 壮臨氏(エステー 事業統括部門 ビジネス開発事業部 クリアフォレスト担当 事業部長)、佐伯 午郎氏(ダイアン・サービス 代表取締役)、池 裕次郎氏(ダイアン・サービス 副社長 第二営業本部長)

オープンイノベーションによる製品開発とSDGsへの貢献

―『エアークエストグリーン』はエステーのもつシーズと、ダイアン・サービスのエンジニアリングの融合により誕生しました。会社を越えた製品開発が実現した経緯を教えてください。

奥平氏 かねてから「森林が空気を浄化する」ということはいわれており、一般にもそういったイメージがあると思います。しかしそれがどういう仕組みなのか、詳しくはわかっていませんでした。そこで、当社グループ会社で香りの基礎研究を専門に行っている、日本かおり研究所が国立研究開発法人森林研究・整備機構と共同で研究を行い、日本中のさまざまな樹木を調べた結果、北海道の固有種である、トドマツ(マツ科モミ属)の枝葉の香り成分が二酸化窒素などの大気汚染物質を浄化する働きが非常に高いことを発見しました。

そこで、このトドマツから抽出された機能性樹木抽出成分を空気浄化剤「クリアフォレスト」として製品化しました。同時に、このシーズは自社で日用品に活用するだけでなく、異業種他社と組むことで空気を浄化するというポテンシャルをもっと活かせるのではと考えていました。そんなときにダイアン・サービス様と出会い、製品開発の検討が始まりました。いわばオープンイノベーションですね。

エアークエストグリーン
エアークエストグリーン

佐伯氏 当社は10数年前より、業務用エアコンの吸込口に貼り付ける『後付けフィルター』を市場に提供してきました。エステー様からご相談をいただき、そのフィルターにトドマツの成分を塗工させることで森の空気浄化機能をもった、まったく新しいフィルターをつくろうとしたのですが、製品化までには試行錯誤を繰り返し、「エアークエストグリーン」が誕生するまでに1年以上を要しました。

池氏 既存の製品に新たな技術を導入することで付加価値が加わりました。エアコンは職場や学校、病院などあらゆるところに設置されています。「エアークエストグリーン」は生活空間や職場の空気を森の空気に変えることで、より健康的で快適なものにできると考えています。

奥平氏 現在、全世界で大気汚染により年間700万人もの方が亡くなっているとの報告があります。また、日本でも花粉症が国民病として課題となっていますが、森の近くに居住する人には花粉症罹患者が少ないというデータもあり、「森の空気」は日本国内でも、世界でも、課題解決に役立つ可能性を感じています。

『循環型』こそがSDGs時代のビジネスモデル

―今後の事業の目標・展望をお聞かせください。

池氏 日本国内はもちろん、世界でも非常にニーズが高く、また貢献できる製品であると思っています。今の世界はインターネット、AIの登場で大きく変わりましたが、これからの世界では空気と水がキーワードになると考えています。当社は空気の会社として、事業の成長と課題解決を両立できればと思っています。

奥平氏 「クリアフォレスト」は、これまで林地に捨てられていた未利用資源トドマツの枝葉を利用しています。SDGsでいえばゴール8・9・12につながりますし、枝葉から成分を抽出する工程が必要なため、林業に今までなかった抽出作業という新たな雇用も生まれています(ゴール15)。循環的なビジネスモデルはSDGs的であると考えています。

佐伯氏 本業自体が社会貢献である、ということが事業継続のために最も重要です。これからも私たちに不可欠な心地よい『空気』をテーマに、持続可能なよいシーズ・よい技術でつくられた製品を広く使っていただき、人々の健康や働きやすさ(ゴール3・11)に貢献したいと考えています。

―本日はありがとうございました。

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