トタルエナジーズ、制度変更に伴い停滞するメガソーラー開発を支援

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2023年4月、着工申込みが提出されていない多くのFIT案件の認定が失効する。世界のエネルギーメジャー、トタルエナジーズがこうした認定失効の恐れがあるメガソーラー開発の掘り起こしに力をいれている。同社は日本で、制度変更で停滞する開発事業に取り組み、プロジェクトファイナンスを組成した実績をもつ。「協業で前に進めるFIT案件があれば」と呼びかける。

※停滞しているFIT案件の相談・協業について、こちら、もしくは文末より問い合わせを受け付けています。

メガソーラーは投資ではなく、売電事業

日本の太陽光発電市場では、ここ数年、FITの売電価格の下落、入札制度の導入、適地の減少などにより、新規開発が停滞している。特に昨年成立した 「再生可能エネルギー特別措置法」改正法では認定失効制度が盛り込まれた。改正法施工日の時点で運転開始期限 を超過し、系統連系工事の着工申込みが提出されていない事業は、2023年4月に待ったなしで認定が失効する。認定失効となれば、売電期間が短縮されるだけではなく、FITによる売電事業ができない。当然、それまでに投入した資金や時間も回収不能だ。そうした中で、世界のエネルギーメジャー、トタルエナジーズ(本社フランス)が長期の発電事業を視野に、開発がストップしているメガソーラー事業をサポートしている。

トタルエナジーズ 事業開発部 ジェネラル・マネージャー 榊󠄀田 剛 氏
事業開発部 ジェネラル・マネージャー
榊󠄀田 剛 氏

その日本法人の事業開発部のジェネラル・マネージャー榊田剛氏は「エネルギー会社として、メガソーラー開発は転売などを目的とした投資案件ではなく、あくまでも長期関与を前提とした発電事業として位置づけています。日本でのプロジェクトにおいても開発段階から参入することで、地元やパートナーと共に汗を流し、大規模エネルギー開発プロジェクトなどで培われた強みをEPCや融資組成などで発揮しています。現在、地元との合意形成に時間を要したり、あるいはファイナンスが組めないなどで開発が停滞し、認定失効の恐れがある案件を強く支援し、発電事業として蘇生するお手伝いをしています」とメガソーラー開発の協業に前向きだ。

トタルエナジーズはもともと、グローバルな石油・ガス田開発のスーパーメジャーとして知られ、日本の大手石油元売や電力・ガス会社、商社などとも取引がある。また、2021年3月末で世界の再生可能エネルギー発電設備容量が7.8GWに及び、すでに日本でも4つのメガソーラーの開発・運営に参入。今後、日本市場でも、工場・商業施設屋根上分散型太陽光、洋上風力、水素、燃料アンモニア、蓄電システムなど新領域への参入も目指す。トタルエナジーズは、総合エネルギー企業としてのアイデンティティを社名に反映させるために、今年5月にこれまでの「トタル」から社名を変更したばかりだ。

七尾メガソーラー

七尾メガソーラー

ルール変更に的確に対応し、プロジェクトファイナンスを組成

これまでも、FIT制度は複数回にわたり変更されている。メガソーラーは開発期間が長期に及ぶため、その都度、発電事業者は事後的な対応を余儀なくされてきた。たとえば2017年の改正FIT法や2019年の長期未稼働案件への措置では、長期未稼働案件に「運転開始期限」が設定され、期限から超過した分だけ売電期間が短くなることが決定した。

出力制御のルールも変更され、2015年1月以降の接続申込みとなった事業者には、無補償・無制限の出力抑制が接続条件となった。こうした制度変更では当初の事業経済性の見直しが必要となり、発電事業者へ与えるインパクトも大きい。その他にも林地開発許可、環境アセスメントの手続きや調整、あるいは系統制約、県や市の新たな条例制定など、法令順守へのきめ細かな対応が求められる。トタルエナジーズは日本でもこうした制度変更に直面し、その都度、たとえば出力制御のルール変更や、今回の認定失効制度にも的確に対応、それらの制度変更後、メガバンク主幹による初のプロジェクトファイナンスを組成した実績をもつ。「もしトタルエナジーズとの協業で前に進む可能性があるFIT認定案件があれば、事業権利譲渡も含めて、是非、協業を検討させていただきたい。ただし、着工期限の2023年3月から逆算し、今年末がリミットと考えています」と開発停滞に直面する事業者に呼びかける。

メガソーラーの土地を確保し、需要家にグリーン電力を販売

トタルエナジーズでは日本市場でFITに依存しない太陽光発電の事業モデルも推進している。すでに世界での太陽光発電開発は、自立した競争力のある電源としてFITに依存しないモデルが主流だ。トタルエナジーズではFIT終了後の日本でも、太陽光発電による遊休地の活用で、「土地の価値を上げるオプションはいくつもある」とする。中でも有望なのが、発電事業者が直接、需要家に電力を販売するコーポレートPPAだ。欧米ではすでに、発電事業者の主要な事業モデルとなっている。

「日本でもクリーン電力を購入したいという需要家が増えてきました。また、トタルエナジーズは欧米やアジア地域で大手企業を対象にコーポレートPPAを提供していますが、そうした需要家から日本の拠点でも同様のサービスを提供してくれないかとのオファーが多数寄せられています」と榊田氏。

適地が少ないといわれる日本だが工業団地用などに造成された自治体の遊休地、ゴルフ場やリゾート用地、さらに耕作放棄地など、活用すべき遊休地がまだまだ残されている。榊田氏は「立地は限定しませんが、できればトタルエナジーズの知見・ノウハウが活かせる二桁MW規模の土地を紹介していただきたい。トタルエナジーズグループの高い環境安全基準を厳守した開発により、信頼される発電事業者として地域に長く関与していきたい」と意欲的だ。

トタルエナジーズ
トタルエナジーズ
〒107-0052
東京都港区赤坂4丁目2番19号
赤坂シャスタ・イースト2F
https://corporate.totalenergies.jp/ja


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