エネマン、再エネアグリゲーション事業に採択 蓄電池で再エネ安定化

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太陽光発電の自家消費需要が拡大する中、産業用蓄電システムを開発・販売するエネマンが太陽光発電+蓄電システムのセットで攻勢をかける。さらにDER(分散型エネルギーリソース)のFIP対応や調整力への活用を目指し、DER構築実証事業にも参画する。エネマン代表取締役社長の三尾氏、取締役COOの菊地氏、取締役でエナジー・ソリューションズ代表取締役社長の森上氏に聞いた。

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DER構築実証事業にリソースアグリゲーターとして採択

2021年6月、再エネ向けの公共・産業用蓄電システムを開発・販売するエネマンが、経産省が公募するDER構築実証事業に採択された。「令和3年度再エネアグリゲーション実証事業」のSBエナジーコンソーシアムと、「DERアグリゲーション事業」の関西電力コンソーシアムに、リソースアグリゲーターの一員として参加する。逆潮流も含めた分散型リソースの制御による系統安定化、IoT技術を活用した分散型リソースの稼働状況把握、太陽光や蓄電池等を組み合わせたより高精度な発電予測・制御などの実証を進めていく。

エネマンのリソースアグリゲーターとしての役割
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独立電源システム「eneman(エネマン)」
独立電源システム「eneman(エネマン)」

同社はすでに2018年度からVPP構築実証事業に採択され、中小規模蓄電システム「eneman ERAS」(32kWh)を活用したアグリゲーションシステムの開発を推進してきた実績がある。

VPP(バーチャルパワープラント)とは、需要家側エネルギーリソース(発電設備や蓄電設備)をアグリゲート(束ね)し、遠隔・統合制御することで、電力の需給バランス調整などに活用する仮想発電所のこと。

三尾 泰一郎 氏
エネマン 代表取締役社長
三尾 泰一郎氏

エネマンの代表取締役社長、三尾 泰一郎氏は「我々は今年を『再エネ自立化元年』と位置づけています。FITから発電した電気を自家消費する時代が始まっています。当社は蓄電システムの低コスト化を促進し、ユーザーの需要に応じてシステムや容量を提案・提供することで、再エネの普及拡大の後押しをします」と意気込む。

DER構築実証事業では、参加する需要家が導入する太陽光発電システム、蓄電システム、EMSに対し、補助金が支給される。リソースを提供するエネマンには今年度、すでに公共施設、工場、倉庫など100件近い問い合わせや見積もり依頼があり、三尾氏は、再エネ自立化に手ごたえを感じている(補助金は予算額到達のため、8月18日に本年度分の受付は終了)。

自然変動電源の太陽光発電は蓄電池とセットで

エネマンの構想は、3.11東日本大震災を機に誕生した。震災後、同社の前身は東北地域の避難所整備を目的とした太陽光発電・蓄電池導入事業(地域グリーンニューディール基金)により、東北地域公共施設に100件以上の蓄電池を導入。蓄電システムに関わる技術・ノウハウを蓄積していった。

菊地 潤 氏
エネマン 取締役COO
菊地 潤氏

同社取締役COOの菊地 潤氏は「当時、産業用蓄電池はまだ、数千万単位と高額で100%補助金が出なければ導入できない状況でした。しかし、もし蓄電池の価格を下げることができれば、一般法人にもBCP対策を基本に太陽光発電+蓄電池のシステムを提案することができるのではないか。それが出発点でした」と振り返る。FIT売電価格が32円/kWの時代、エネマンは早くから太陽光発電+蓄電池による自家消費需要にターゲットを定めていた。

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電気料金と導入コストの削減で、さらなる再エネの普及に貢献

森上 寿生 氏
エナジー・ソリューションズ
代表取締役社長
森上 寿生氏

エネマンの太陽光発電+蓄電システムの特長はBCP対策に加え、ピークカットによるデマンド値削減と自家消費により、電気料金を削減できることだ。しかも、自家消費率を高めることで需要家は10年未満で投資回収も可能になる。蓄電システム開発に当たっては、導入コストをぎりぎりまで切り詰めるため、外国製のセルを採用し、安価な単方向インバータとDC/DCコンバータを組み合わせた。さらにエネルギーマネジメント技術開発を、再エネ向けのクラウドによる遠隔操作技術に定評のあるエナジー・ソリューションズの代表取締役社長、森上 寿生氏に依頼する。

現在、エネマン取締役も務める森上氏は「本来、太陽光発電は蓄電池とセットにすることで、初めて安定電源となる。従って、必ず蓄電池が普及する時がくると確信していました。開発事業に参加し、さらなる再エネの普及に貢献しようと決断しました」。

目標はストレージパリティ(6万円以下/kWh)の達成

現在、太陽光発電+蓄電システムの導入先は行政施設、学校、病院、高齢者施設、脱炭素化に取り組む企業の工場、倉庫、商業施設、駐車場、加えてオンサイト・オフサイトPPAなど様々だ。ユーザーの仕様、さらに環境配慮、経済効果、BCP等のどれを優先するのかにより、システムの設計、構成が変わってくる。

「我々の強みは、こうした個々のユーザーに最適なシステムを提供できることです。そういう意味では蓄電池メーカーというより、メーカー系システムインテグレーターです。蓄電システムの充放電を調整力や容量市場に対し、どう活用するか。市場価格と連動するFIPに対応するにはどのくらいの容量が必要かなど、課題もたくさんある」(菊地氏)。

さらに森上氏は「そのためにも、迅速で正確な発電予測、需要予測ができるAIシステムの開発に取り掛かっています。現在、太陽光発電で30分同時同量を達成しインバランスが出ないようにするには、無駄な電気がでてきます。ぴったり予測できれば今まで発電事業者が捨てていた電気に課金ができます。この仕組みはFIPだけではなく、例えばオフサイトPPAをどう調整し、使いこなすかなど応用が期待できます」と力説する。

三尾氏は、蓄電池は単に電気を貯める道具ではなく、エネルギーをコントロールする器機と捉える。「昼に発電した電気をコントロールし、夜に使う。遠隔で発電した電気をコントロールし、必要な場所で使う。いずれ分散電源の蓄電池を普及することが地域内で必要な電力を調達できる時代にもつながります。そのためにも機能を高めるとともに、価格を下げなければならない。すでにストレージパリティを達成する目途は付いています。期待してください」

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