羽田空港、自家消費型太陽光を導入で「エコ・エアポート」を目指す
施設やインフラの運営管理を通じ、国内12空港に「空港機能」を提供する空港施設(AFC)がグリーンボンドを発行し、羽田空港貨物ターミナル地区に自家消費型のメガソーラーを稼働。国土交通省が推進する東京の空の玄関口「エコ・エアポート」化の実現を目指す。
エコ・エアポート実現に向け、自家消費太陽光発電を導入
東京の空の玄関口である羽田空港にメガソーラー(出力1,141kW)が出現した。空港施設(AFC)が賃貸管理する国内貨物ターミナル施設2棟の屋上に設置された太陽光発電施設は、太陽光パネル約2,800枚(トリナ・ ソーラー製)、出力62.5kW分散型パワコン16台から構成される。年間発電量は119万5,000kWh(約270世帯分)が見込まれ、施設全体の約8%を再エネ由来の電力で賄い、CO2削減量は年間585トンに達する。
2020年12月から稼働し、発電した電気はすべて貨物ターミナル施設で自家消費する。空港施設では設置資金の一部を調達するために、国内空港への投資としては初の試みとなるグリーンボンドを発行した。
空港施設 経営企画部経営企画課 課長の深沢 秀章氏は「我々は現在、国土交通省が進める羽田空港の『エコ・エアポート』実現に取り組んでいますが、羽田空港は物流の一大拠点であり、貨物ターミナルでは24時間、大型冷蔵庫や自動仕分け装置など様々な設備が稼働し、多量の電力を消費しています。そこで屋根上のスペースを有効活用し、エコ・エアポート実現に向けた一環として自家消費型太陽光発電を導入しました」と話す。
施設部 次長 兼 品質管理課 課長の二ノ宮 一記氏は、自家消費太陽光発電のメリットとして「東京都環境確保条例におけるCO2排出量削減目標の達成に寄与するだけでなく、屋根に太陽光パネルを敷くことで貨物上屋内における暑さ軽減にも役立ち、従業員の労働環境改善にも貢献しています」と語った。
離着陸する航空機に対する安全性への配慮
空港施設ではFITを活用し、早くから太陽光発電を導入し、知識・ノウハウを蓄積してきた。2013年10月に千葉県成田市の自社所有地に出力695kWの本三里塚ソーラー発電所を稼働、その後も相次いで他の施設にも太陽光発電所を建設し、空港施設が所有する太陽光発電施設は合計で約3,100トンのCO2排出量相当分電力を発電している。
こうした発電所建設・運用で得られた経験が空港内貨物ターミナル屋上の太陽光発電施設導入に注ぎ込まれており、空港施設では今後、羽田空港の太陽光発電施設の成果を踏まえ、羽田空港内のその他の施設や地方、および海外施設の有効活用、さらに蓄電池の導入も検討していくとしている。
同社では、社会的にサステナビリティを巡る課題への取組みが一層評価されてきている状況を踏まえ、そのムーヴメントを一層加速させるためサステナビリティ推進部を設立。
「当社は地域冷暖房、給排水、通信などのインフラを支える役割を担っており、再生可能エネルギー由来の電力導入への取組みもこの一環だと考えております。太陽光だけではなく水素や風力など、空港の特性に見合った環境負荷軽減への取組みを進めていきたいと考えております」と二ノ宮氏は今後の取組みについて力強く語った。