八千代エンジニヤリングが地域に根差した「再エネ活用した事業開発」に本腰

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社会課題の解決に取り組む総合建設コンサルタンティングの八千代エンジニヤリングが、カーボンニュートラルの実現へ向けたトータルプロデュースと的確なソリューションを提供する再生可能エネルギー事業に乗り出した。需要創造の観点にフォーカスし、ステークホルダーとの連携を進めながら、企業・自治体に対し、脱炭素の実現を支援するのが狙いだ。地方自治体向けのビジネスでの高い知名度を生かし、街づくりに絡む地域の企業など民間分野にも食い込みを図る一方で、脱炭素の目標達成までのロードマップ作りや、具体的な施策の展開方法などを導入サポート及び事業開発する。

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自治体への知名度活かし、民間へも事業拡大

「新たに再エネ分野に本格的に進出し、エンジニアリング技術を活かしながら、社業の発展の成長を目指します。取引の案件を増やすというより、当社の考え方に賛同していただき、一緒に脱炭素社会の構築を目指すパートナーを求めています」。再エネ事業を担当する事業開発本部第二開発室の橋口 泰三室長はこう語る。

事業開発本部 第二開発室 橋口 泰三室長
事業開発本部 第二開発室 橋口 泰三室長

八千代エンジニヤリングが狙っているのは、大手企業が手を出さないニッチな分野での安全・安心な再エネ施設の設計、調査などのコンサルサービスだ。事業開発本部業務企画部の檀 智之部長は「八千代エンジニヤリングの強みは、総合建設コンサルタントとしてさまざまな分野のエンジニアを抱えていることです。地方自治体に対しては知名度も高く、まずは、公的セクターを突破口にして、周辺の民間企業にも顧客層を広げていきたいと考えています」と話す。

同社は、ダム建設やごみ処理施設の建設に関する設計や調査をはじめとする街づくり全般のインフラ施設の土木コンサルを手掛けている。再エネに関しては、ダムを活用した水力発電やゴミ処理施設を活用したバイオマス発電の技術を備える。また、太陽光発電に関しては、三か所の発電施設を持ち、売電事業も手掛けている。

栃木県日光市の公共施設の指定管理者に選定されたことで、再エネを含めたさまざまな事業の拡大に期待が高まっている。例えば、「日光電気プラン」をつくり、電力小売りサービスを展開することも可能だ。日光市には、湯葉を作っている商店が多数あり、湯葉を作る時にできる豆乳を絞った残りかすである「おから」が産業廃棄物として残るという課題を抱えている。橋口氏は「おからを使って、バイオマス発電ができないか、調査をしてみたいと考えています。そういった我々の技術+事業の組み合わせが、地域の課題をわずかでも解決できるなら嬉しいと思います」と話す。

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売電ビジネスに関しては、コスト増の要因や適地の減少など競争環境が厳しくなっている。第二開発室では、再エネのクレジット化によるCO2排出量のトータルな削減を支援するビジネスにも力を入れる方針だ。さらに、橋口氏は「FIT(固定価格買取制度)に伴い公的資金が投入されていると、自由なビジネス展開が難しい面もある」と話し、自家用発電設備の設置者が発電した電気を、一般電気事業者が送電するサービスである「自己託送」や、売電事業者と需要者が直接、電気の売買契約を結ぶ「PPA」などの積極的な活用も検討している。

「地域」をキーワードにターゲットへアプローチ

第二開発室が手掛ける再エネビジネスのファーストターゲットとなるのは、地方自治体や地域の民間企業である。事業開発本部業務企画部の光武 敬四郎氏は「どういう形で顧客のニーズを拾っていくのかについては、『地域』が重要なキーワードになります」と話す。

八千代エンジニヤリングは、総合建設コンサルタントとして、地域が抱える社会課題の解決に力を注いできた。地方自治体の土木関係部門にとっては、「八千代」のブランド力は浸透しており、いよいよ本腰を入れている再エネビジネスに関しても、その知名度を十分に生かしたマーケティングを展開することが重要だ。

光武氏は「地域にどう絡んで事業展開ができるかが重要であり、地域のニーズや社会課題を拾って、具体的な解決策を示す形でアプローチしていくのが、八千代エンジニヤリングのビジネスの本流です。地域には民間企業も含まれており、民間と公共が混在した中での課題解決策を、エネルギーを軸に提供していくつもりです」と話す。

また、新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、観光需要が激減している中で、地方の活性化には再生エネルギーを活用した売電ビジネスが新たな収益源として期待を集めているという。橋口氏は「電気を作って売るという行為は、利益がある程度見込めます。その生み出された利益を他のコミュニティ事業へ再投資する等、お金の流れを地域に循環させるノウハウを当社は持っています」と話す。

第二開発部が新たな市場として、民間企業に対する再エネ活用の導入サポート及び事業開発を強化する。2030年、2050年のカーボンニュートラルの目標を達成するための事前の準備やロードマップ作り、具体的な施策の展開方法などを導入サポート及び事業開発を行う。さらに、パートナー企業として協業・連係することで、事業を起こしながら、脱炭素の実現を一緒に進めるソリューションも展開する。

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協業連携で新ビジネスの実現を加速

持続可能な脱炭素社会の実現を視野に入れた場合、天然ガスなどの化石燃料の活用は中長期的には減少していく方向だ。そうした中で、八千代エンジニヤリングは新たに水素エネルギーの活用も検討している。

橋口氏は「水素エネルギーは低圧にすることで、プロパンガスのようにトラックを使って家庭に届けることが可能です。地方では都市ガスよりも、プロパンを使っている家庭が多いので、プロパンの代替エネルギーに水素を活用すれば、プロパン業者の新たな仕事も確保できるので一石二鳥です。当然クリアしなければならない技術的な課題も多いのは事実ですが、様々な企業と連携して粘り強く取り組んでいきたい」という。

同社は、水素エネルギーのビジネスモデルを確立するため、協業・連携に関する協議を始めている。このほか、環境省の脱炭素社会の先行モデル事業への採択や、台風や豪雨などの災害時のバックアップ電源としての活用を視野に、地方自治体・地域企業への働き掛けを強めている。

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八千代エンジニヤリング株式会社
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