ADEKA 樹脂添加剤新ブランドで循環型社会の実現に貢献

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プラスチック製造に不可欠な樹脂添加剤。世界2位のシェアを誇るメーカーである株式会社ADEKAが、樹脂添加剤の環境貢献製品ブランドとして「アデカシクロエイド」シリーズを市場に投入した。リサイクル材の高性能化により適用用途を広げ、リサイクル材の使用比率を高めるというものだ。同社はこのシリーズを通して持続可能な社会への貢献を目指す。その意気込みを語ってもらった。

環境対応型樹脂添加剤を通して、環境課題を解決

世界的に海洋プラスチックごみが問題視される中、プラスチックの資源循環の促進が地球環境問題の重要な課題となっている。世界のプラスチックごみの排出量は年間3億2000万トンにも上るが、リサイクル率は20%(2015年)にとどまる。日本においてはリサイクル率が8割を超えるが、焼却処理するサーマルリサイクルがその大半を占めているのが現状だ。欧米ではサーマルリサイクルはリサイクルとして認められていないように、今後、日本は脱炭素化を進めるためにも、廃プラスチックを再生利用するメカニカルリサイクルを促進することが求められている。

そうした中で、樹脂添加剤メーカーとして世界第2位のシェアをもつADEKAが昨年、『環境貢献製品』としてメカニカルリサイクル向け添加剤「アデカシクロエイド UPR-001」、「アデカシクロエイド UPR-011」パッケージ剤をラインナップし、世界的にも注目を集めている。

ADEKAは化学品事業、食品事業、ライフサイエンス事業を中核とし、世界16の国と地域のネットワークを通じグローバルに展開する素材メーカー。1954年には化学品事業の柱の一つ樹脂添加剤分野に参入し、以後日本の樹脂産業の技術革新を支え、プラスチック製品の普及に貢献してきた。

樹脂添加剤はプラスチックに添加することで、熱や光による劣化を防ぎ、 強靭さ、透明性、難燃性など様々な機能性を付与することが可能。種類は透明化剤、難燃剤、光安定剤、酸化防止剤、可塑剤など10種以上に及ぶ。その用途も自動車を筆頭に、建材・産業資材、家電・電子機器、医療・包装とすそ野が広い。

樹脂添加剤開発研究所 所長 大 直子氏
樹脂添加剤開発研究所
所長 大 直子氏

「近年、プラスチックは海洋汚染を引き起こす悪者という扱いをされがちですが、軽量で加工しやすいというその特性を活かし、工業用途は今後ますます拡充していきます。たとえば自動車には、内外装材として現在も多くのプラスチックが使用されていますが、さらなる軽量化が要求される電気自動車では、従来にも増してプラスチックが重要な素材となります。そこで我々は樹脂添加剤を通じたプラスチック業界、また社会全体への貢献を目指し、環境貢献製品ブランドとして『アデカシクロエイド』を立ち上げました」同社の樹脂添加剤開発研究所、大 直子所長はこう話す。

ニーズに応じた商品開発力が功を奏す

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アデカシクロエイドの第一弾であるアデカシクロエイド UPRシリーズはポリマー用(ポリプロピレン、ポリエチレン等樹脂)のリサイクル向け添加剤だ。メカニカルリサイクルは廃プラスチックを樹脂に戻し、練りあげて新たなプラスチック製品に成形する。しかし従来、リサイクル材は自動車部品から食品パッケージまで、様々な色彩や多種類の樹脂、金属、塩ビなどが混入し、品質が劣化することがほとんどであった。このためパレット、フェンス、植木鉢など用途も一部に限られていた。

こうしたリサイクル材の性能を高め、適応用途を自動車部品などに広げるのが、今回の樹脂添加剤アデカシクロエイド UPRシリーズのポイントだ。「アデカシクロエイド UPR-001」と「アデカシクロエイド UPR-011」のラインナップで、UPR-001は添加すると熱安定性を、UPR-011は物性を向上させ、リサイクル材の混合比率を大幅に高めることが可能となる。

アデカシクロエイド UPR-001添加による熱安定性の向上(温度条件:150℃)
アデカシクロエイド UPR-001添加による熱安定性の向上(温度条件:150℃)

アデカシクロエイド UPR-011添加による物性の向上
アデカシクロエイド UPR-011添加による物性の向上
樹脂添加剤開発研究所 添加剤開発室 常泉 洋太氏
樹脂添加剤開発研究所
添加剤開発室 常泉 洋太氏

開発コンセプト作りから始め、UPRシリーズの開発に着手したのは2019年後半。開発に当たったのは同研究所の添加剤開発室だ。

同室長の常泉 洋太氏は「まず様々なリサイクル樹脂を集め、複数の添加剤を組合せて、どのプラスチックでもレベルアップが図れる処方を探りました。その上で、耐熱性、光に対する安定性、耐久性などの促進試験を実施し、性能を確認していきました。期間が1~2ヶ月かかるもの、中には半年間要するものもあります。そうした試行錯誤を重ねながら約1年間かけて、様々なお客様、様々なリサイクル樹脂に対応できる汎用性の高いものをパッケージとしてまとめました」と振り返る。

「以前より、お客様から相談を受け、多数の添加剤の中から適切なものを選び、組合せてカスタマイズすることで、お客様の要望に沿った添加剤を提案してきました。今回の開発でもそうした当社の強みが発揮されたかたちになります。添加剤というのはおもしろいもので、化合すると何倍にも機能がアップしたり、機能が複数に増える組合せがあるのです」と大氏は語る。

海外企業からの評価も高まりつつある

アデカシクロエイド UPRシリーズの販売によって、これまで接点のなかったリサイクラーの間でも、樹脂添加剤の存在が認知されたという。さらにリサイクル材が高性能になり用途が広がることで、リサイクルコストを製品に転嫁し、回収できる点も、リサイクラーにとっては大きなメリットだ。

大氏は「現在、リサイクル材の混合比率が30%の時代から、50%以上に高めようという時期に当たっています。アデカシクロエイド UPRシリーズは、リサイクル材の比率を高めるという効果により、国内既存のプラスチックメーカーの方々から評価をいただくとともに、海外の先進国のお客様にも興味を示していただいています」と手ごたえを感じているという。

常泉氏は「リサイクル向け添加剤のニーズは高いので、今後も新しい製品をどんどん開発し、お客様に要望に高い確率で応えていきたいです。そのためにも開発現場や他の開発室とのディスカッションや、他の分野の論文などからもアイデアのタネを拾い、現場からの声をあげていきたい」と意気込む。

すでに「アデカシクロエイド」シリーズの第2弾として、バイオマス原料を活用した塩ビ用可塑剤アデカシクロエイド PNBシリーズも投入し、さらに第3弾のテーマも絞られている。

大氏は「このシリーズで将来的には樹脂添加剤事業の総売上の10%を占めることを目標としています。さらに『アデカシクロエイド』は当社の環境経営のシンボル的製品になってきています」と製品への自信をみせた。

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株式会社ADEKA 株式会社ADEKA
東京都荒川区東尾久七丁目2番35号
03-4455-2845
https://www.adeka.co.jp/
アデカシクロエイドの特設ページを公開中
https://adeka-chemical.meclib.jp/library/adkcycloaid/book/list