サステナブルとワクワク感を両立、百貨店が挑戦する環境配慮型の売場づくり

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2021年11月から2022年1月にかけ、阪急うめだ本店とエプソン販売がタッグを組み、環境に配慮しながら魅力的な売場装飾を目指すプロジェクト『Sustainable Decoration Project』に挑戦した。『劇場型百貨店』をコンセプトに、モノを販売するだけでなくコト(文化的価値情報)を提供する新たな顧客体験の創出に力を入れている阪急うめだ本店。一方で、イベントごとに発生する装飾廃棄物が大きな課題となっていた。今回の取り組みでは、エプソンの印刷と映像技術を活用し、装飾廃棄物の削減と売場の新鮮さやワクワク感を両立。テクノロジーとの融合で、環境配慮型でありながら人を惹きつける、魅力的な売場づくりを実現した。

サステナブルな取り組みへ、阪急うめだ本店が先陣を切る

エイチ・ツー・オー リテイリングのグループ会社である阪急阪神百貨店。阪急百貨店、阪神百貨店、合わせて15店舗を運営する。なかでも、1929年に大阪・梅田で創業した阪急うめだ本店は、西日本最大の売上を誇る地域一番店。モノだけでなく、その背景にあるコト(文化的価値)を提案する『劇場型百貨店』として新たな価値を創造する。

阪急うめだ本店外観
阪急うめだ本店外観

エイチ・ツー・オー リテイリングが2021年11月に公開した『統合レポート2021』では、サステナビリティ経営方針を発表。阪急阪神百貨店の店舗の中でもサステナブルへの取り組みの先陣を切るのが阪急うめだ本店だ。

環境保護や地域活性化、文化・伝統の継承など、未来のためにできることを考えるキャンペーンとして『GOOD FOR THE FUTURE』を、2019年から年2回実施。2020年10月には、『身近なところにGOODな気づき』をテーマに、暮らしの中で気軽に取り入れられるエコなアクションの提案を行った。2021年3月には、繊研新聞社の『第13回百貨店賞』で新設された「サステイナブル賞」の第1回受賞店舗にも選ばれている。

テクノロジーを活用した課題解決を

阪急うめだ本店は、9階に4層吹き抜けの「祝祭広場」や「阪急うめだホール」「阪急うめだギャラリー」「アートステージ」などの大きな催事スペースを持ち、各階にもイベントスペースを備える。それぞれのイベントスペースでは、1週間から2週間に1回のペースを基本に、次々に新たなイベントを行い、常に新しい情報やワクワク感を顧客に届けている。

阪急阪神百貨店 阪急うめだ本店 吉田 篤史氏、立川 智一氏、山下 達也氏

写真左から
阪急阪神百貨店 阪急うめだ本店 OMO販売推進部 ゼネラルマネージャー 吉田 篤史氏 
同店 店舗事業計画部 事業計画部 マネージャー 事業計画担当兼サステナビリティ推進担当 立川 智一氏 
同店 OMO販売推進部 OMO商戦企画部 マネージャー 企画担当 兼 サステナビリティ推進担当 山下 達也氏 

阪急うめだ本店・OMO販売推進部ゼネラルマネージャーの吉田 篤史氏は「ここまで多数のイベントやキャンペーンをやり込んでいる百貨店はあまりないと思います。売上も評価軸にはなりますが、お客様に対し、どれだけ新しい発見を提供できるかが、我々の目指すところです」と『うめだ本店らしさ』を語る。

しかし、その『うめだ本店らしさ』の反動として、イベントごとの装飾で発生する廃棄物の削減が大きな課題となっていた。催事を減らす、同じ装飾を使い回すといった対策は簡単に思いつくが、それでは売場の新鮮さ、楽しさ、ワクワク感が失われてしまう。

阪急うめだ本店のサステナビリティ推進担当でこのコラボレーションを企画した立川 智一氏は「売場の新鮮さや装飾のクオリティと環境への配慮の両立が課題感としてありました。新しい打ち手として、テクノロジーの活用の可能性を考えていたところ、2021年2月に開催された『サステナブル・ブランド国際会議2021』でエプソン販売様の出展ブースに出会ったのです」と話す。

プロジェクターやプリント技術を使い構成されたブースは鮮やかで目を引くのと同時に、テキスタイルは廃棄するのではなく製品やエコバッグにして使うといった環境にも配慮されたものとなっていた。

「エプソン販売様の持つプリント技術やプロジェクション技術を使い、売場のワクワク感と装飾廃棄物の削減を両立できないかと思い声をかけたのが『Sustainable Decoration Project』への挑戦のきっかけでした」(立川氏)

廃棄物削減だけではなく、売場への誘引にも貢献

プロジェクトは2021年11月中旬から2022年1月上旬まで、8階のイベントスペース『プロモーションスペース81』で4回のイベントを行った。

エプソン販売の宮﨑 宏明氏は「4回のイベントの中で、いかに廃棄物を減らしながら、楽しさ、魅力を伝えられる売場を作るかにチャレンジしました」と話す。

宮﨑 宏明氏 (エプソン販売 特販営業本部 特販営業本部 課長)
エプソン販売 特販営業本部 商業機器営業推進課 課長
宮﨑 宏明氏

SIXPADのイベントでスタートを切ったプロジェクト。まずは、壁面ボードに着目した。これまでスチレンボード(石油由来の発泡スチロールを圧縮してボード状にしたもの)に塩ビ素材の出力紙を貼り、イベント終了後に産業廃棄物として処理してきた。今回は、スチレンボードを段ボールボードに変更し、出力紙も一般ごみとして廃棄可能な合成紙(再剥離糊)に変更。これにより、装飾変更時に出力紙を上から貼り替えるだけで様々なイベントに対応でき、ボードの廃棄も不要になった。

実証実験を行った「SIXPAD」の売場風景
実証実験を行った「SIXPAD」の売場風景

「『劇場型百貨店』のコンセプト通り、SIXPAD様のイベントも1週間後には全く違う売場に変化します。壁面ボードを変えずに出力紙を重ねて貼ることで、装飾廃棄物の量を削減することができます。」(宮﨑氏)

一方、魅力的な売場という意味では、エプソンの高輝度プロジェクターを活用し、動画を投影。プロジェクター什器には段ボールベースの材料を使用し、表面の出力紙を貼りかえることで、別のイベント時にも繰り返し同じ什器を使えるよう工夫した。

取り組みの結果、過去に行った4回のイベントと比較し、廃棄物を14%削減(注)。さらに、プロジェクターを活用した演出効果もあり、売場への誘引にも貢献している。

阪急うめだ本店は2023年春に、自然共生型のライフスタイルを提案する新たな売場を8階に開発する計画を進めている。

「新しくできる自然共生型の売場づくりにも環境配慮は欠かせません。お客様に楽しくお買い物をしていただき、特に意識することなく、気づけばエコにつながっているというのが理想だと思います。」と、阪急うめだ本店の山下 達也氏。

「エプソンとしては、プリンターを売るだけではなく、プリンターが生み出している成果物を使っていただいているお客様への貢献という意味で、新しい挑戦ができたと思います。環境と共創をクローズアップした活動として、今後も一緒に取り組んでいければと思います」(宮﨑氏)

注:類似した条件※下で開催された過去計4回の従来手法によるイベントの廃棄物量の合計を比較検証。
※比較対象イベントの統一条件
1)壁面全面に出力物が貼られていること
2)展示スペースには造作什器が使用されていること
3)同一の場所であること

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エプソン販売株式会社 エプソン販売株式会社
TEL:03-5919-5211
https://www.epson.jp/SR/